【第63回 気象予報士試験 実技1】問2を徹底解説|500hPaトラフ・正渦度移流・前線解析の考え方

こんにちは!今回は第63回 気象予報士試験 実技1 問2を解説します!

今回の問2では、

  • 500hPaトラフの追跡
  • 正渦度域の読み取り
  • ジェット気流軸の推定
  • 850hPa暖気移流・寒気移流
  • 700hPa鉛直流
  • 閉塞前線解析
  • 低気圧の進路予想

など、実技試験で非常に重要な「総観気象の立体構造」が問われています。

特に、 「地上低気圧と500hPaトラフの位置関係」 は頻出テーマです。

実技試験記述5型

基本セット:どこで(場所・高さ・時刻)+ なぜ(原因・背景場)+ 何が起きている(現象)

  • 分布型:「A側では○○、B側では△△」
  • 時間変化型:「◯時にはA、△時にはBへ変化」
  • メカニズム型:「〜ため□□が強まり、その結果△△」
  • リスク型:「〜のおそれがあり注意が必要」
  • 構造型:「◯◯hPa付近が前線面に対応」

■ 問2(1) 500hPaトラフの位置を読む

模範解答

12時間後:東経127°
24時間後:東経137°

◇ 解説

図3〜図5では、500hPa高度・渦度解析図からトラフの移動を追跡します。

トラフ解析では、次の3点が重要です。

トラフ解析のポイント

  • 等高度線が南へ張り出している
  • 正渦度域(正渦度極大域)が存在する
  • 風向シアーがある

解析時刻では、華北付近に500hPaトラフがあります。

12時間後の図4では、正渦度域と等高度線の張り出しが日本海付近へ進んでいます。

5460m等高度線とトラフ軸の交点を読むと、

東経127°

付近です。

さらに24時間後の図5では、日本付近へ進み、

東経137°

付近に位置しています。

つまずきポイント

「トラフ軸=等高度線が最も南へ張り出した場所」 だけでは不十分です。

実際には、

  • 正渦度域
  • 風向シアー
  • 等高度線の曲率

を総合的に見て判断します。

■ 問2(2) トラフと地上低気圧の関係

模範解答

トラフは東北東に進み、西側から地上低気圧に接近する。

◇ 解説

地上低気圧は東シナ海から日本海へ北東進しています。

一方、500hPaトラフも中国大陸から日本海へ東北東進しています。

ここで重要なのは、

上空トラフは地上低気圧の西側から近づく

という点です。

低気圧発達期では、

  • 地上低気圧
  • 500hPaトラフ

が適切な位置関係になることで、上昇流が強化されます。

つまり、

上空の気圧の谷が後ろから追いつく

ことで、地上低気圧が発達します。

記述式解答のポイント:時間変化型

どこで・いつ:12〜24時間後にかけて

なぜ:500hPaトラフが東北東進するため

何が起きている:西側から地上低気圧へ接近している

■ 問2(3) 強風軸と500hPa等高度線

模範解答

5520m

理由:500hPa正渦度域の南縁(渦度ゼロ線)に最も近いため。

◇ 解説

問題は、東経135°において、強風軸に最も近い500hPa等高度線を答えるものです。

ジェット気流軸付近では、

  • 等高度線が密集
  • 風速が極大
  • 正渦度域南縁と対応

する傾向があります。

図5を見ると、

5520m

の等高度線が、

  • 正渦度域南縁
  • 等高度線密集帯

と一致しています。

そのため、強風軸に最も近い等高度線は5520mと判断します。

ここで混乱しやすい!

ジェット軸そのものは描かれていません。

そのため、

  • 等高度線密集
  • 渦度分布
  • トラフ位置

から推定する必要があります。

■ 問2(4) 温度移流と鉛直流

模範解答

① 地上低気圧の南東側で、850hPa暖気が集中し相対的高温域となっている。

② 850hPa面では地上低気圧東側で暖気移流、南側で寒気移流が顕著。

700hPa面では中心〜東側で強い上昇流、南側で下降流。

◇ 解説

① 850hPa気温分布

850hPa面では、低気圧中心南東側に暖気が集中しています。

これは、

  • 温暖前線側
  • 暖域
  • 南風による暖気流入

によるものです。

一方、南西〜西側には寒気が広がっています。

この図で確認するポイント

  • 暖域は低気圧南東側
  • 寒気は西側〜南側
  • 等温線集中帯の位置

② 温度移流

850hPa面では、

  • 東側:暖気移流
  • 南側:寒気移流

となっています。

これは温帯低気圧の典型構造です。

記述式解答のポイント:分布型

どこで:低気圧東側/南側

なぜ:低気圧の典型構造により

何が起きている:暖気移流/寒気移流

③ 700hPa鉛直流

700hPa面では、

  • 中心〜東側:強い上昇流
  • 南側:下降流

となっています。

特に東側では、

−80 hPa/h

の強い上昇流があります。

これは、

  • 暖気移流
  • 正渦度移流
  • 前線帯

による強制上昇です。

マイナス符号に注意!

鉛直流では、

  • 負:上昇流
  • 正:下降流

です。

ここを逆に覚えてしまう受験生が非常に多いです。

■ 問2(5) 前線解析(作図)

模範解答

(作図問題)

◇ 解説

前線解析では、次の順番で考えます。

前線解析の基本手順

  • 閉塞しているか判断
  • 高層天気図で前線位置推定
  • 閉塞点決定
  • 閉塞前線の型決定
  • 地上風を参考に作図

今回の低気圧は、

  • 強風軸巻き込み
  • 寒気流入
  • 暖気突っ込み

が見られるため、

閉塞している

と判断できます。

閉塞前線の型

閉塞前線前後で気温を比較すると、

後面の方が寒い

ため、

寒冷型閉塞前線

です。

つまずきポイント

閉塞前線の型は、

  • 前面
  • 後面

どちらの寒気が強いかで決まります。

単純に「閉塞=寒冷型」ではありません。

■ 問2(6) 36時間後の低気圧予想

模範解答

① 北緯40° 東経140°

② 東北東・20ノット・+4hPa

③ 遅い

◇ 解説

24時間後から36時間後にかけて、低気圧は東北東進しています。

移動距離から計算すると、

約20ノット

です。

また中心気圧は、

1004 → 1008hPa

へ変化しており、

+4hPa

となります。

つまり低気圧は、

  • 閉塞
  • 衰弱
  • 移動速度低下

の段階へ入っています。

■ 問2 全体まとめ

  • 500hPaトラフは正渦度域と等高度線から解析する
  • 上空トラフは西側から地上低気圧へ接近する
  • ジェット軸は等高度線密集帯と渦度分布から推定する
  • 低気圧東側は暖気移流、南側は寒気移流
  • 700hPaでは東側に強い上昇流が発生する
  • 閉塞前線は前後の気温比較で型を判断する
  • 低気圧は閉塞後に衰弱・減速する

※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。

以上、第63回 気象予報士試験 実技1 問2の解説でした!

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