【第62回 気象予報士試験 専門知識】問3 気象レーダー観測をわかりやすく解説
こんにちは!今回は第62回気象予報士試験 専門知識 問3を解説します!
この問題は気象レーダーの基本原理、電波の減衰、異常伝搬、二重偏波レーダーについて問う問題です。
レーダー分野は専門知識で頻出ですが、受験生は「ドップラー効果」「反射強度」「二重偏波」の役割を混同しやすいので注意しましょう。
この問題で重要なポイント
- 降水強度は反射強度から推定する
- ドップラー効果は風や降水粒子の移動速度を調べる
- 強い降水域の奥では電波が減衰してエコーが弱くなる
- 異常伝搬は完全には除去できない
- 二重偏波レーダーは粒子の形状や降水強度推定精度向上に利用される
■ 問題文
気象レーダー観測について述べた次の文(a)〜(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。
(a)気象レーダーは、発射した電波と戻ってきた電波の周波数のずれ(ドップラー効果)を利用して降水強度を観測している。
(b)発射した電波が反射されて戻ってくるまでの経路上に強い降水がある場合、その強い降水域より遠方にある降水は実際より強く観測されることがある。
(c)気象レーダーで観測される異常伝搬に伴うエコーは、観測データの品質管理により完全に取り除くことができる。
(d)二重偏波レーダーでは、水平偏波と垂直偏波の反射波の振幅の比から降水強度を推定している。
| (a) | (b) | (c) | (d) | |
|---|---|---|---|---|
| ① | 正 | 正 | 誤 | 誤 |
| ② | 正 | 誤 | 正 | 誤 |
| ③ | 誤 | 正 | 正 | 誤 |
| ④ | 誤 | 誤 | 正 | 正 |
| ⑤ | 誤 | 誤 | 誤 | 誤 |
■ 解答
⑤
(a)誤
(b)誤
(c)誤
(d)誤
■ 解き方の方針
この問題はレーダーの各機能の役割を整理できているかがポイントです。
反射強度
↓
降水強度
ドップラー効果
↓
風・移動速度
二重偏波
↓
粒子の形状
まずこの3つを区別できれば正解に近づきます。
■ (a) ドップラー効果は降水強度ではなく速度を調べる
(a)は誤りです。
ドップラー効果とは、観測対象が近づいたり遠ざかったりすると周波数が変化する現象です。
気象レーダーでは、この周波数のずれから降水粒子の移動速度や風を推定しています。
一方、降水強度は戻ってきた電波の強さ(反射強度)から推定します。
ここが頻出!
反射強度
↓
降水強度
ドップラー効果
↓
風速・移動速度
この役割を逆にしたひっかけ問題は非常によく出題されます。
したがって、(a)は誤です。
■ (b) 強い降水域の奥ではエコーは弱くなる
(b)は誤りです。
レーダーの電波は降水粒子によって吸収・散乱されるため、強い降水域を通過すると弱くなります。
そのため、強い降水域よりさらに遠くにある降水から返ってくる電波も弱くなります。
強雨域
↓
電波が減衰
↓
遠方のエコーが弱く見える
問題文では「実際より強く観測される」としているため誤りです。
したがって、(b)は誤です。
■ (c) 異常伝搬は完全には除去できない
(c)は誤りです。
異常伝搬とは、電波が通常とは異なる経路を通ることで発生する偽のエコーです。
地表や海面、山岳などが映り込むことがあります。
品質管理により多くは除去できますが、完全に取り除くことはできません。
異常伝搬のイメージ
電波の異常屈折
↓
地面や海面を観測
↓
雨ではないのにエコーが現れる
問題文では「完全に取り除ける」としているため誤りです。
したがって、(c)は誤です。
■ (d) 振幅比は粒子形状を推定する
(d)は誤りです。
二重偏波レーダーでは、水平偏波と垂直偏波の反射波を利用します。
その振幅比(Zdr:反射因子差)から、降水粒子が丸いのか、扁平なのかなどの形状を推定できます。
例えば、
- 雨粒 → 横に潰れた形
- 雪 → 不規則な形
- ひょう → ほぼ球形
といった判別が可能になります。
受験生が最も混同しやすいポイント
Zdr(振幅比)
↓
粒子形状
Kdp(位相差)
↓
降水強度推定
「振幅比=降水強度」ではありません。
したがって、(d)は誤です。
■ 選択肢確認表
| 選択肢 | 正誤 | 判断ポイント |
|---|---|---|
| (a) | 誤 | ドップラー効果は風速・移動速度を観測 |
| (b) | 誤 | 電波は減衰するため遠方エコーは弱くなる |
| (c) | 誤 | 異常伝搬は完全には除去できない |
| (d) | 誤 | 振幅比は粒子形状を推定する |
■ 受験生がつまずくポイント
① ドップラー効果と降水強度を混同する
ドップラー効果は速度です。
降水強度は反射強度から求めます。
② 電波減衰の向きを逆に考える
強雨域の奥では電波が弱くなります。
遠方エコーは強くではなく弱く見えます。
③ 「完全に」という表現に引っかからない
試験では「完全に」「必ず」などの表現は誤りになることが多いです。
異常伝搬も完全除去はできません。
④ ZdrとKdpを混同する
Zdrは粒子形状、Kdpは降水強度推定です。
ここは専門知識で非常によく問われます。
■ まとめ
- (a) ドップラー効果は風速観測なので誤り
- (b) 電波減衰により遠方エコーは弱くなるので誤り
- (c) 異常伝搬は完全除去できないので誤り
- (d) 振幅比は粒子形状を表すので誤り
正解は⑤
(a)誤・(b)誤・(c)誤・(d)誤
この問題で必ず押さえたいこと
反射強度
↓
降水強度
ドップラー効果
↓
風速・移動速度
Zdr
↓
粒子形状
Kdp
↓
降水強度推定
レーダー分野では「何を観測しているのか」を整理して覚えることが重要です。
※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。
以上、第62回 専門知識 問3の解説でした!
訂正・ご意見などありましたら、ぜひコメントで教えてください!
皆で最高の独学環境を作っていきましょう!
