【第62回 気象予報士試験 一般知識】問10 中層大気の気温と循環をわかりやすく解説

こんにちは!今回は第62回 気象予報士試験 一般知識 問10を解説します!

この問題は、中層大気の気温・循環・オゾン輸送・成層圏突然昇温についての問題です。

成層圏や中間圏は、日常の天気予報ではあまり意識しにくい分野ですが、気象予報士試験では定期的に問われます。

この問題で重要なポイント

  • 下部成層圏のオゾンは、低緯度で生成され高緯度へ輸送される
  • 冬季北半球の中高緯度では、成層圏から中間圏にかけて西風が卓越する
  • 成層圏突然昇温は、対流圏から伝播するプラネタリー波と関係する
  • 成層圏突然昇温では、昇温は成層圏上層から始まり下層へ伝わる

■ 問題文

中層大気の気温と循環について述べた次の文(a)〜(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

(a) 下部成層圏では、高緯度で生成・蓄積されたオゾンがプラネタリー波により低緯度に運ばれる。

(b) 1月の北半球中高緯度における経度方向に帯状平均した東西風は、成層圏ではほぼ西風、中間圏ではほぼ東風となっている。

(c) 成層圏突然昇温は対流圏からのプラネタリー波の伝播により引き起こされ、下層から昇温が始まる。

(a) (b) (c)

■ 解答

(a) 誤
(b) 誤
(c) 誤

■ 参考イメージ

中層大気の循環イメージ1

■ 解き方の方針

この問題は、次の3つを区別できれば解けます。

オゾンの生成・輸送

冬季中高緯度の東西風

成層圏突然昇温

特に(a)と(c)は、流れの向きを逆にしたひっかけです。

■ (a) オゾンは低緯度で作られ、高緯度へ運ばれる

(a)は誤りです。

成層圏のオゾンは、主に低緯度域で強い太陽紫外線によって生成されます。

そして、成層圏の大規模な循環によって高緯度側へ輸送されます。

低緯度

紫外線が強い

オゾン生成

生成されたオゾン

高緯度へ輸送・蓄積

問題文では、 「高緯度で生成・蓄積されたオゾンが低緯度に運ばれる」 としています。

これは向きが逆です。

ここがひっかけ!

オゾン量は高緯度側で多くなることがありますが、生成場所そのものは主に低緯度です。

「多く存在する場所」と「作られる場所」を混同しないようにしましょう。

したがって(a)はです。

■ (b) 1月の北半球中高緯度では中間圏でも西風が卓越する

(b)は誤りです。

1月の北半球は冬です。

冬季の北半球中高緯度では、成層圏に強い西風が現れます。

これは冬の極夜ジェットに関係します。

また、中間圏でもおおむね西風が卓越します。

問題文では、 「成層圏ではほぼ西風、中間圏ではほぼ東風」 としています。

しかし、中間圏でほぼ東風になるという記述は不適切です。

ここがポイント!

1月の北半球中高緯度

成層圏:西風
中間圏:おおむね西風

「中間圏は東風」としている部分が誤りです。

したがって(b)はです。

■ (c) 成層圏突然昇温は上層から始まり下層へ伝わる

(c)は誤りです。

成層圏突然昇温は、冬季成層圏で発生する大規模な昇温現象です。

原因として重要なのが、対流圏から上方へ伝播するプラネタリー波です。

このプラネタリー波が成層圏の西風を減速させ、極域成層圏で急激な昇温を引き起こします。

ここまでは問題文の前半は正しいです。

しかし、問題文では「下層から昇温が始まる」としています。

これは誤りです。

成層圏突然昇温では、一般に昇温は成層圏上層から始まり、下層へ伝わると考えます。

問題文の誤り

誤:下層から昇温が始まる

正:上層から昇温が始まり、下層へ伝わる

したがって(c)はです。

■ 選択肢の確認表

記号 正誤 判断ポイント
(a) オゾンは主に低緯度で生成され、高緯度へ輸送される
(b) 1月の北半球中高緯度では、中間圏もほぼ西風
(c) 成層圏突然昇温は上層から始まり下層へ伝わる

■ 受験生がつまずくポイント

1. オゾンの「生成場所」と「蓄積場所」を混同する

オゾンは主に低緯度で生成されます。

しかし、大気循環によって高緯度側に輸送され、そこに多く存在することがあります。

2. 成層圏と中間圏の風向を雑に覚える

1月の北半球中高緯度では、成層圏から中間圏にかけて西風が卓越します。

「成層圏は西風、中間圏は東風」と単純に覚えると誤ります。

3. 成層圏突然昇温の進行方向を逆にする

成層圏突然昇温は、対流圏から伝わるプラネタリー波がきっかけになります。

ただし、昇温そのものは成層圏上層から下層へ進行します。

■ まとめ

  • (a) オゾンは高緯度で生成されるのではなく、主に低緯度で生成されるため誤り
  • (b) 1月の北半球中高緯度では、中間圏もほぼ西風なので誤り
  • (c) 成層圏突然昇温は下層からではなく上層から始まるため誤り

正解は⑤

(a) 誤・(b) 誤・(c) 誤

この問題で必ず押さえたいこと

オゾン
= 低緯度で生成
= 高緯度へ輸送

1月北半球中高緯度
= 成層圏〜中間圏で西風

成層圏突然昇温
= 上層から下層へ

中層大気の問題では、「向き」を逆にしたひっかけがよく出ます。

※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。

以上、第62回 一般知識 問10の解説でした!

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