【第61回 気象予報士試験 一般知識】問10 成層圏・中間圏の大気の特徴をわかりやすく解説
こんにちは!今回は第61回 気象予報士試験 一般知識 問10を解説します!
この問題は、成層圏や中間圏の大気の特徴についての問題です。
ポイントは、赤道成層圏の準二年周期振動、夏季成層圏の循環、成層圏の気温鉛直構造、そして中間圏の夏極低温です。
この問題で重要なポイント
- 赤道付近の成層圏では、東風と西風が約2年周期で交替する
- この現象を準二年周期振動、QBOという
- 北半球夏季の成層圏では、等高度線が北極付近を中心とする同心円状になりやすい
- 夏季成層圏では東風が卓越し、対流圏で励起されたプラネタリー波が伝播しにくい
- 成層圏では高度とともに気温が上昇する
- 上部成層圏の方が下部成層圏より気温の鉛直勾配は大きい
- 中間圏では北半球夏季の気温が北極付近で最も高くなるわけではない
■ 問題文
成層圏や中間圏の大気の特徴について述べた次の文(a)〜(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。
(a) 赤道付近の成層圏では、東風と西風が約2年周期で入れ替わる準二年周期振動が観測される。
(b) 北半球中高緯度の成層圏で、夏季に等高度線が北極付近を中心とする同心円状になるのは、対流圏で励起されたプラネタリー波が成層圏に伝播しなくなるためである。
(c) 一般的に、上部成層圏の気温の鉛直勾配は下部成層圏に比べて大きい。
(d) 成層圏と中間圏では、北半球の夏季の気温は北極付近で最も高くなる。
| 選択肢 | (a) | (b) | (c) | (d) |
|---|---|---|---|---|
| ① | 正 | 正 | 正 | 誤 |
| ② | 正 | 正 | 誤 | 誤 |
| ③ | 正 | 誤 | 正 | 正 |
| ④ | 誤 | 正 | 誤 | 誤 |
| ⑤ | 誤 | 誤 | 誤 | 正 |
■ 解答
①
(a) 正、(b) 正、(c) 正、(d) 誤です。
■ 解き方の方針
この問題は、成層圏と中間圏をまとめて問う問題です。
まずは、次のように分けて考えると整理しやすいです。
赤道成層圏
↓
準二年周期振動
夏季成層圏
↓
東風・プラネタリー波の伝播抑制
成層圏の気温
↓
高度とともに上昇
中間圏の夏
↓
極域が高温とは限らない
特に(d)は、成層圏と中間圏を一緒にしているところがひっかけです。
■ (a) 赤道成層圏の準二年周期振動
(a)は正しいです。
赤道付近の成層圏では、東風と西風が約2年周期で交互に現れる現象が観測されます。
これを準二年周期振動といいます。
英語では QBO と呼ばれます。
赤道成層圏
↓
東風と西風が交替
↓
約2年周期
↓
準二年周期振動
したがって、(a)は正です。
■ (b) 夏季成層圏とプラネタリー波
(b)は正しいです。
北半球の夏季成層圏では、極付近を中心とする同心円状の高度場が見られやすくなります。
これは、夏季の成層圏で東風が卓越し、対流圏で励起されたプラネタリー波が成層圏へ伝播しにくくなるためです。
北半球夏季の成層圏
↓
東風が卓越
↓
プラネタリー波が伝播しにくい
↓
擾乱が少ない
↓
同心円状の高度場になりやすい
冬季はプラネタリー波が成層圏に伝播しやすく、成層圏突然昇温なども起こります。
一方、夏季は波の影響が小さく、比較的対称的な構造になりやすいと考えます。
したがって、(b)は正です。
■ (c) 上部成層圏と下部成層圏の気温鉛直勾配
(c)は正しいです。
成層圏では、オゾンが紫外線を吸収するため、高度とともに気温が上昇します。
特に上部成層圏では、下部成層圏に比べて気温の上昇が大きくなります。
成層圏
↓
オゾンが紫外線を吸収
↓
高度とともに気温上昇
上部成層圏
↓
下部成層圏より
気温の鉛直勾配が大きい
したがって、(c)は正です。
■ (d) 成層圏と中間圏で夏季の北極付近が最も高温になるか
(d)は誤りです。
成層圏では、夏季の極域付近で気温が高くなる傾向があります。
しかし、中間圏では話が変わります。
中間圏では、夏半球の極域で上昇流が起こり、断熱膨張による冷却が生じます。
そのため、北半球夏季の中間圏では、北極付近が最も高温になるわけではありません。
ここがひっかけポイントです。
設問は「成層圏と中間圏では」とまとめて述べています。
成層圏だけなら成り立つ部分があっても、中間圏まで含めると不適切になります。
成層圏
↓
夏極で高温になりやすい
中間圏
↓
夏極で上昇流
↓
断熱冷却
↓
低温になりやすい
したがって、(d)は誤です。
■ 選択肢の確認表
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| ① | 正 | (a)正、(b)正、(c)正、(d)誤で一致するため |
| ② | 誤 | (c)は正であるため |
| ③ | 誤 | (b)は正、(d)は誤であるため |
| ④ | 誤 | (a)と(c)は正であるため |
| ⑤ | 誤 | (a)、(b)、(c)は正で、(d)は誤であるため |
■ 受験生がつまずくポイント
1. 準二年周期振動を「対流圏の現象」と混同する
QBOは赤道付近の成層圏で見られる東風・西風の交替です。
対流圏の季節風や偏西風の変動とは分けて覚えましょう。
2. 夏季成層圏でプラネタリー波が伝播しにくい理由があいまいになる
夏季成層圏では東風が卓越します。
このため、対流圏で励起されたプラネタリー波が成層圏へ伝播しにくくなります。
その結果、高度場は比較的なめらかで同心円状に近づきます。
3. 成層圏全体で気温勾配が同じだと思ってしまう
成層圏では高度とともに気温が上昇しますが、その上昇のしかたは一様ではありません。
一般に、上部成層圏の方が下部成層圏より気温の鉛直勾配は大きくなります。
4. 成層圏と中間圏を同じ温度構造で考えてしまう
成層圏では高度とともに気温が上がります。
一方、中間圏では高度とともに気温が下がります。
さらに夏季の中間圏極域では上昇流による断熱冷却が重要です。
そのため、「成層圏と中間圏で北半球夏季の北極付近が最も高温」とまとめるのは不適切です。
■ まとめ
- (a) 赤道成層圏では東風と西風が約2年周期で入れ替わるため正
- (b) 夏季成層圏ではプラネタリー波が伝播しにくく、同心円状の高度場になりやすいため正
- (c) 上部成層圏の気温鉛直勾配は下部成層圏より大きいため正
- (d) 中間圏では夏季極域が最も高温になるわけではないため誤
- 正しい組み合わせは、正・正・正・誤
- 正解は①
正解は①
この問題で必ず押さえたいこと
赤道成層圏
↓
東風・西風が約2年周期で交替
↓
準二年周期振動
夏季成層圏
↓
東風が卓越
↓
プラネタリー波が伝播しにくい
成層圏
↓
高度とともに気温上昇
中間圏の夏極
↓
上昇流による断熱冷却
↓
低温になりやすい
※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。
以上、第61回 一般知識 問10の解説でした!
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皆で最高の独学環境を作っていきましょう!
