【第60回 気象予報士試験 専門知識】問15 寒帯前線ジェット気流と北極振動をわかりやすく解説
こんにちは!今回は第60回気象予報士試験 専門知識 問15を解説します!
この問題は、寒帯前線ジェット気流、北極振動、そして海面気圧偏差図の読み取りを組み合わせて判断する問題です。
この問題で重要なポイント
- 寒帯前線ジェット気流は、おおむね300hPa付近に中心をもつ
- 寒帯前線ジェットは、高緯度の寒気と中緯度の暖気の境界付近に対応する
- 北極振動が負の位相では、北極域と中緯度の気圧差が小さくなりやすい
- 気圧差が小さいと、寒帯前線ジェット気流は弱くなりやすい
- 蛇行が強いと、シベリア高気圧の変動などを通じて日本の天気に影響する
- 高度場の正偏差域は、地上では高気圧偏差に対応しやすい
- 図の対応関係は、上空の偏差と地上の気圧配置を結びつけて読む
■ 問題文
図1はある年の1月中旬における、対流圏上層のある気圧面の10日平均の高度とその平年偏差を示し、図2のア〜ウは同じ期間の10日平均海面気圧と平年偏差を示している。 これらの図に基づき、北半球の冬季の大気循環について述べた次の文章の空欄(a)〜(c)に入る語句の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。
ジェット気流のうち、高緯度側に位置し(a) hPa高度付近に中心をもつものが寒帯前線ジェット気流である。
その強弱の変動は北極振動と関係しており、北極振動が負の位相、すなわち極域で平年より高く、中緯度域で平年より低いときには、(b)傾向がある。
ユーラシア大陸上で寒帯前線ジェット気流が大きく蛇行すると、これに伴ってシベリア高気圧が変動し、日本の天気に大きく影響する。 たとえば、図1のような蛇行が起きているときには図2の(c)のような海面気圧分布が見られる。
| 選択肢 | (a) | (b) | (c) |
|---|---|---|---|
| ① | 300 | 弱い | ア |
| ② | 300 | 弱い | ウ |
| ③ | 300 | 強い | イ |
| ④ | 100 | 弱い | ア |
| ⑤ | 100 | 強い | ウ |
■ 解答
①
(a) 300
(b) 弱い
(c) ア
■ 解き方の方針
この問題は、図を細かく読み込む前に、まず知識で(a)(b)を決めると楽です。
寒帯前線ジェット
↓
300hPa付近
北極振動が負
↓
極域と中緯度の気圧差が小さい
↓
寒帯前線ジェットは弱い
ここまでで、選択肢は①か②に絞れます。 あとは図1と図2の対応から、(c)を判断します。
■ (a) 寒帯前線ジェット気流の中心高度
(a)は300hPaです。
寒帯前線ジェット気流は、高緯度側の寒気と中緯度側の暖気の境界付近に形成される強い西風です。
その中心は、対流圏上層の300hPa付近にあります。
ジェット気流の高度イメージ
寒帯前線ジェット気流
↓
対流圏上層
↓
300hPa付近
100hPaは成層圏下部に近い高度であり、寒帯前線ジェット気流の中心高度としては不適切です。
■ (b) 北極振動が負の位相のとき、寒帯前線ジェットは強いか弱いか
(b)は弱いです。
北極振動が負の位相のときは、北極域で平年より気圧が高く、中緯度域で平年より気圧が低い傾向になります。
このとき、極域と中緯度の気圧差が小さくなり、寒帯前線ジェット気流は弱まりやすくなります。
ここがつまずきやすいポイントです。
北極振動が負
↓
寒気が南下しやすい
↓
だからジェットが強い?
ではなく
極域と中緯度の気圧差が小さい
↓
ジェットは弱い
ジェットが弱いからこそ、大きく蛇行しやすく、寒気が中緯度まで南下しやすくなります。
■ (c) 図1に対応する海面気圧分布はどれか
(c)はアです。
図1では、北極域で高度が平年より高く、中緯度帯で高度が低い分布が見られます。 これは北極振動の負の位相に対応するパターンです。
このような場合、地上付近ではシベリア高気圧の張り出しや、アリューシャン低気圧などの配置が変動し、日本付近の冬の天気に影響します。
図2のうち、この上空の蛇行と対応する海面気圧分布として最も適切なのはアです。
図の対応イメージ
図1
上空の高度偏差を見る
↓
北極振動の負の位相
↓
寒帯前線ジェットが蛇行
↓
地上の海面気圧偏差にも反映
↓
図2はア
■ 選択肢確認表
| 空欄 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| (a) | 300 | 寒帯前線ジェット気流は、対流圏上層の300hPa付近に中心をもつため。 |
| (b) | 弱い | 北極振動が負の位相では、極域と中緯度の気圧差が小さくなり、ジェットが弱まりやすいため。 |
| (c) | ア | 図1の高度偏差パターンに対応する海面気圧分布として、図2のアが適切なため。 |
以上より、正しい組み合わせは①です。
■ 受験生がつまずくポイント
1. 寒帯前線ジェットを100hPaと迷ってしまう
寒帯前線ジェット気流は対流圏上層の300hPa付近です。
100hPaは高すぎます。 「ジェット=300hPa付近」とまず押さえましょう。
2. 北極振動が負ならジェットが強いと考えてしまう
北極振動が負のときは寒気が南下しやすいので、ジェットが強いと感じるかもしれません。
しかし、実際には極域と中緯度の気圧差が小さく、寒帯前線ジェットは弱まりやすくなります。
3. ジェットが弱いことと寒気南下がつながらない
ジェットが強いと、寒気は高緯度側に閉じ込められやすくなります。
ジェットが弱まると蛇行しやすくなり、寒気が中緯度へ南下しやすくなります。
4. 図1と図2を別々に見てしまう
図1は上空の高度場、図2は地上の海面気圧場です。
上空の蛇行が地上のシベリア高気圧や低気圧配置にどう対応するかを考える必要があります。
5. 図を細かく見すぎて選択肢を絞れない
この問題は、(a)(b)を知識で先に決めると、選択肢を①か②まで絞れます。
その後、(c)だけを図から判断すればよいので、時間を節約できます。
■ まとめ
- 寒帯前線ジェット気流は300hPa付近に中心をもつ
- 北極振動が負の位相では、寒帯前線ジェット気流は弱まりやすい
- ジェットが弱いと蛇行しやすく、寒気が南下しやすくなる
- 図1の上空の高度偏差に対応する海面気圧分布は図2のア
正解は①
(a) 300
(b) 弱い
(c) ア
この問題で必ず押さえたいこと
寒帯前線ジェット
↓
300hPa付近
北極振動が負
↓
寒帯前線ジェットが弱い
↓
蛇行しやすい
↓
寒気が南下しやすい
上空の高度偏差
↓
地上の海面気圧偏差
↓
対応関係で読む
この問題は、図の読み取り問題に見えますが、実際には寒帯前線ジェット気流と北極振動の基本知識でかなり絞れます。
※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。
以上、第60回 専門知識 問15の解説でした!
訂正・ご意見などありましたら、ぜひコメントで教えてください!
皆で最高の独学環境を作っていきましょう!
