【第60回 気象予報士試験 一般知識】問9 成層圏の季節変化とアリューシャン高気圧をわかりやすく解説
こんにちは!今回は第60回気象予報士試験 一般知識 問9を解説します!
この問題は、7月と1月の成層圏における北極周辺の気温分布・高層天気図の気圧配置・アリューシャン高気圧について問う問題です。
ポイントは、対流圏の感覚で考えないことです。 成層圏では、オゾンによる紫外線吸収や冬季の極夜の影響により、北極周辺の気温や気圧配置が大きく季節変化します。
この問題で重要なポイント
- 問題の対象は高度30km〜50km付近の成層圏
- 7月は北半球の夏で、北極周辺の成層圏は高温になりやすい
- 7月の成層圏天気図では、北極を中心とする高気圧が見られる
- 1月は北半球の冬で、北極周辺の成層圏は低温になりやすい
- 1月の成層圏では、北極周辺に低気圧性の極渦が見られる
- 1月には等高度線が同心円状ではなく南北に蛇行しやすい
- アリューシャン列島付近には、しばしばアリューシャン高気圧が現れる
■ 問題文
7月及び1月の成層圏内の高度30km〜50km付近について述べた次の文章の空欄(a)〜(e)に入る語句の組み合わせとして適切なものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。
7月は、北極周辺が全球の中で最も気温が(a)、北極を中心とする高層天気図で見ると、気圧の等高度線が北極を中心とする同心円状の(b)となっている。 一方、1月は一般に北極周辺が全球の中で最も気温が(c)、(d)となっている。 また、1月は7月に比べて、等高度線は同心円状ではなく南北に蛇行しており、しばしばアリューシャン列島付近に(e)が現れる。
| 選択肢 | (a) | (b) | (c) | (d) | (e) |
|---|---|---|---|---|---|
| ① | 高く | 高気圧 | 低く | 低気圧 | 高気圧 |
| ② | 高く | 低気圧 | 低く | 高気圧 | 高気圧 |
| ③ | 高く | 高気圧 | 低く | 低気圧 | 低気圧 |
| ④ | 低く | 低気圧 | 高く | 高気圧 | 低気圧 |
| ⑤ | 低く | 高気圧 | 高く | 低気圧 | 高気圧 |
■ 解答
①
(a)高く
(b)高気圧
(c)低く
(d)低気圧
(e)高気圧
■ 解き方の方針
この問題は、対流圏の天気図ではなく、成層圏の高度30km〜50km付近の話です。
まず、7月と1月を北半球の季節として整理します。
7月
↓
北半球の夏
↓
北極周辺の成層圏が暖まりやすい
↓
高温・高気圧
1月
↓
北半球の冬
↓
北極周辺は日射が少ない
↓
低温・低気圧
さらに、冬の成層圏では北極周辺に低気圧性の極渦ができ、等高度線が南北に蛇行しやすくなります。 その代表的な特徴として、アリューシャン列島付近にアリューシャン高気圧が現れます。
■ (a)7月の北極周辺の成層圏は高温か低温か
7月は北半球の夏です。
成層圏では、オゾンが紫外線を吸収することで加熱されます。 夏の北極周辺は日射を受けるため、成層圏では北極周辺の気温が高くなりやすいです。
7月の成層圏
北半球の夏
↓
北極周辺にも日射がある
↓
成層圏のオゾンが紫外線を吸収
↓
北極周辺の気温が高くなりやすい
したがって、(a)には高くが入ります。
■ (b)7月の北極周辺は高気圧か低気圧か
7月の成層圏では、北極周辺が高温になります。
成層圏の高層天気図で見ると、北極を中心に等高度線が同心円状となり、北極周辺に高気圧性の場が見られます。
7月の北極成層圏
北極周辺が高温
↓
成層圏天気図では
北極を中心とする同心円状の高気圧
ここで受験生がつまずきやすいのは、「高温なら低気圧では?」と対流圏の地上天気図の感覚で考えてしまうところです。
しかし、この問題は高度30km〜50km付近の成層圏の話です。 高層天気図では、等高度線の分布として高気圧・低気圧を考えます。
したがって、(b)には高気圧が入ります。
■ (c)1月の北極周辺の成層圏は高温か低温か
1月は北半球の冬です。
北極周辺は極夜となり、日射がほとんどありません。 そのため、成層圏では北極周辺の気温が非常に低くなります。
1月の北極成層圏
北半球の冬
↓
北極周辺は極夜
↓
日射による加熱が弱い
↓
成層圏が強く冷える
↓
全球の中でも低温
したがって、(c)には低くが入ります。
■ (d)1月の北極周辺は高気圧か低気圧か
1月の北極周辺の成層圏は強く冷えます。
その結果、北極周辺には低気圧性の循環、つまり成層圏の極渦が形成されます。
冬の成層圏極渦
北極周辺が低温
↓
寒冷な成層圏
↓
北極周辺に低気圧性の場
↓
極渦
したがって、(d)には低気圧が入ります。
■ (e)1月にアリューシャン列島付近に現れるのは何か
1月は、7月に比べて成層圏の等高度線が同心円状ではなく、南北に蛇行しやすくなります。
このとき、しばしばアリューシャン列島付近に現れるのがアリューシャン高気圧です。
アリューシャン高気圧
冬の北半球成層圏
↓
等高度線が南北に蛇行
↓
アリューシャン列島付近に
高気圧が現れやすい
名称に「高気圧」と入っているので、ここは素直に高気圧を入れます。
したがって、(e)には高気圧が入ります。
■ 選択肢確認表
| 空欄 | 入る語句 | 理由 |
|---|---|---|
| (a) | 高く | 7月は北半球の夏で、北極周辺の成層圏が高温になりやすい |
| (b) | 高気圧 | 7月の成層圏では、北極を中心とする同心円状の高気圧が見られる |
| (c) | 低く | 1月は北半球の冬で、北極周辺の成層圏が強く冷える |
| (d) | 低気圧 | 冬の北極成層圏には、低気圧性の極渦が形成される |
| (e) | 高気圧 | 1月には、アリューシャン列島付近にアリューシャン高気圧が現れやすい |
以上より、正しい組み合わせは①です。
■ 受験生がつまずくポイント
1. 対流圏の感覚で「夏の北極=低気圧」と考えてしまう
この問題は地上天気図ではなく、高度30km〜50km付近の成層圏の話です。
地上付近の低気圧・高気圧のイメージをそのまま当てはめると間違えやすいです。
2. 7月と1月を北半球の季節として整理し忘れる
7月は北半球の夏、1月は北半球の冬です。
まずここを整理すると、北極成層圏が暖まりやすいか、冷えやすいかを判断しやすくなります。
3. 成層圏ではオゾンによる紫外線吸収が重要なことを忘れる
成層圏の温度分布では、オゾンが紫外線を吸収して加熱することが重要です。
そのため、夏の北極成層圏では高温になりやすいと考えます。
4. 冬の北極成層圏の低気圧をイメージしづらい
1月の北極周辺は極夜で、日射による加熱が弱く、成層圏が非常に冷えます。
その結果、北極を中心に低気圧性の極渦が形成されます。
5. アリューシャン高気圧を対流圏のアリューシャン低気圧と混同する
冬の地上天気図ではアリューシャン低気圧が有名です。
しかし、この問題で問われているのは成層圏のアリューシャン高気圧です。 「アリューシャン」と聞いて反射的に低気圧を選ばないように注意しましょう。
■ まとめ
- 7月は北半球の夏で、北極周辺の成層圏は高温になりやすい
- 7月の成層圏天気図では、北極を中心とする高気圧が見られる
- 1月は北半球の冬で、北極周辺の成層圏は低温になりやすい
- 1月の北極成層圏には、低気圧性の極渦が形成される
- 1月には、アリューシャン列島付近にアリューシャン高気圧が現れやすい
正解は①
高く・高気圧・低く・低気圧・高気圧
この問題で必ず押さえたいこと
7月
↓
北半球の夏
↓
北極成層圏は高温
↓
北極中心の高気圧
1月
↓
北半球の冬
↓
北極成層圏は低温
↓
北極中心の低気圧・極渦
さらに
↓
等高度線が蛇行
↓
アリューシャン高気圧
この問題では、対流圏の天気図ではなく、成層圏の季節変化として整理することが大切です。
※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。
以上、第60回 一般知識 問9の解説でした!
訂正・ご意見などありましたら、ぜひコメントで教えてください!
皆で最高の独学環境を作っていきましょう!
