【第60回 気象予報士試験 一般知識】問8 等圧面・等温位面・地衡風の関係をわかりやすく解説
こんにちは!今回は第60回気象予報士試験 一般知識 問8を解説します!
この問題は、北半球における等圧面・等温位面・地衡風の関係を模式図から読み取る問題です。
ただし、この問題は注意が必要です。 問題図の表現に解釈しづらい点があり、公式にはすべての選択肢が正解として扱われています。
この問題で重要なポイント
- 北半球の地衡風は、低圧側を左に見て吹く
- 等圧面が傾いていると、地衡風が吹く
- 等圧面の傾きが大きいほど、地衡風は強い
- 安定成層では、温位は高度とともに大きくなる
- 等温位面の傾きは、温度風や風速の鉛直変化と関係する
- 図だけで風向・風速・温位面のすべてを同時に判断する必要がある
- 本問は公式に全選択肢正解扱いとなった
■ 問題文
図は、北半球における安定で静力学平衡及び地衡風平衡が成立している大気の、ある高度の範囲における南北鉛直断面である。 実線は等圧面、破線は等温位面、丸印はその大きさで北向風と東風の地衡風を表し、その大きさで風速の大小を示している。 図(a)〜(e)のうち、等圧面、等温位面、地衡風の風向・風速の関係が正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。
| 選択肢 | 内容 |
|---|---|
| ① | (a)のみ |
| ② | (c)のみ |
| ③ | (a)と(e) |
| ④ | (c)と(d) |
| ⑤ | (b)と(e) |
■ 解答
全ての選択肢が正解扱い
①〜⑤すべて正解として採点
本問は、図の表現に不適切な点があり、公式にすべての選択肢が正解として扱われました。
■ 解き方の方針
本来この問題で確認したいのは、次の3つの関係です。
等圧面の傾き
↓
地衡風の向きと強さ
等温位面の傾き
↓
気温分布・温度風
安定成層
↓
温位は上ほど大きい
つまり、単に風向だけを見る問題ではありません。
等圧面の傾き、等温位面の傾き、風向、風速の大小がすべて整合しているかを確認する必要があります。
■ まず地衡風の基本を確認する
北半球では、地衡風は気圧傾度力とコリオリ力がつり合った風です。
地衡風を図から読むときは、次のルールが基本です。
北半球の地衡風の基本
北半球
↓
地衡風は等圧線・等高度線に沿って吹く
↓
低圧側を左に見て吹く
この問題では南北鉛直断面が示されています。 そのため、南北方向の気圧傾度から、紙面に入る向き・出る向きの地衡風を判断します。
図中では、記号によって西風・東風が表されています。 また、丸の大きさが風速の大小を示しています。
ここで止まりやすいポイント
受験生は、まず「○や×の意味」で迷いやすいです。
この問題では、風向だけでなく、丸の大小で風速も判断する必要があります。 つまり、向きが合っていても、風速の大小が合っていなければ正しい図とはいえません。
■ 等圧面の傾きと風速の関係
地衡風の強さは、気圧傾度力の大きさに対応します。
南北断面で見ると、等圧面の傾きが大きいほど、同じ高度での南北方向の気圧差が大きくなります。 そのため、地衡風も強くなります。
等圧面の傾きと地衡風
等圧面の傾きが大きい
↓
南北方向の気圧差が大きい
↓
気圧傾度力が大きい
↓
地衡風が強い
この問題では、各図で上層と下層の風速の大小も描かれています。 そのため、等圧面の傾きが上層と下層でどう違うかを見て、風速の大小と合っているかを確認する必要があります。
■ 等温位面と安定成層の関係
問題文には「安定」とあります。 安定成層では、温位は高度とともに大きくなります。
安定成層の基本
安定成層
↓
上に行くほど温位が高い
↓
等温位面の上下関係が重要
等温位面は、温位が同じ点を結んだ面です。 その傾きは、南北方向の温位分布や温度風の向きと関係します。
したがって、等圧面と等温位面の組み合わせを見て、風速の鉛直変化と矛盾していないかを確認する必要があります。
■ 図(a)の考え方
図(a)は、等圧面の傾き、等温位面の傾き、風向・風速の関係が比較的整合している図と考えられます。
等圧面の傾きから地衡風の向きを読み、さらに上層と下層の風速差を等温位面の傾きと合わせて確認します。
図(a)の読み方
等圧面の傾き
↓
地衡風の向きを判断
風速の鉛直変化
↓
等温位面の傾きと対応
関係が比較的整合
本来の考え方では、図(a)は正しい関係を示す図として判断しやすいものです。
■ 図(b)の考え方
図(b)は、問題図の解釈が難しいとされた図の1つです。
等圧面と等温位面の傾き、そして上下の風速差を読み取ろうとしても、温位分布や層厚の関係を一意に判断しにくい部分があります。
図(b)が難しい理由
等圧面を見る
↓
風向・風速を読む
等温位面を見る
↓
温位分布を読む
しかし
↓
図の表現から一意に判断しにくい
このように、図から正誤を明確に判定しにくい点が、本問が全選択肢正解扱いになった理由の一部です。
■ 図(c)の考え方
図(c)は、風向や風速の描かれ方と、等圧面・等温位面の関係が整合しているかを確認する必要があります。
一見すると風向だけで判断できそうですが、この問題では風速の大小まで見なければなりません。
風向だけで正誤を決めない
風向が合っている
↓
正しい
ではない
風速の大小
+
等温位面の傾き
+
安定成層
↓
すべて整合する必要がある
図(c)は、風向だけではなく、等温位面と風速変化の関係まで見る必要がある図です。
■ 図(d)の考え方
図(d)は、等圧面や等温位面の傾き、風向・風速の関係が複雑に見える図です。
特に、等圧面の傾きから読める地衡風の向きと、図中の風向記号が整合するかを確認する必要があります。
さらに、等温位面の傾きと風速の鉛直変化が対応しているかも見ます。
このような複数条件の確認が必要なため、単純に図の見た目だけで判断すると誤りやすいです。
■ 図(e)の考え方
図(e)も、問題図の解釈が難しいとされた図の1つです。
風向・風速だけを見ると正しそうに見える場合でも、等温位面との関係を含めると判断が難しくなります。
図(e)のひっかかり
風向・風速だけ見る
↓
正しそうに見える
しかし
↓
等温位面の傾き
+
安定成層
+
層厚の関係
↓
判断が難しい
このように、図(b)や図(e)の表現により、選択肢を一意に決めることが困難になりました。
■ なぜ全選択肢正解扱いになったのか
本問は、本来であれば「等圧面・等温位面・地衡風」の関係を正しく読み取る問題です。
しかし、問題図の表現により、特定の図の正誤を明確に判定しづらい部分がありました。
そのため、公式にはすべての選択肢が正解として扱われました。
等圧面
+
等温位面
+
地衡風の向き・強さ
↓
本来は一意に判断する問題
しかし
↓
図の解釈が難しい部分がある
↓
全選択肢正解扱い
■ 選択肢確認表
| 選択肢 | 採点上の判定 | 理由 |
|---|---|---|
| ①(a)のみ | 正解扱い | 本問は公式に全選択肢正解として扱われたため |
| ②(c)のみ | 正解扱い | 本問は公式に全選択肢正解として扱われたため |
| ③(a)と(e) | 正解扱い | 本問は公式に全選択肢正解として扱われたため |
| ④(c)と(d) | 正解扱い | 本問は公式に全選択肢正解として扱われたため |
| ⑤(b)と(e) | 正解扱い | 本問は公式に全選択肢正解として扱われたため |
以上より、本問は①〜⑤すべてが正解扱いです。
■ 受験生がつまずくポイント
1. 地衡風の向きだけで判断してしまう
この問題は、地衡風の向きだけを見る問題ではありません。
風向に加えて、風速の大小、等圧面の傾き、等温位面の傾きまで合わせて判断する必要があります。
2. 等圧面と等温位面を混同する
実線は等圧面、破線は等温位面です。
どちらも斜めの線で描かれているため、読み間違えると風向や温度風の判断がずれてしまいます。
3. 安定成層の条件を見落とす
問題文には「安定」と書かれています。
安定成層では、温位は上に行くほど大きくなります。 等温位面の傾きを読むとき、この前提を忘れないようにしましょう。
4. 風速の大小を丸の大きさで読むことを忘れる
図では、風向だけでなく風速の大小も丸の大きさで示されています。
小さい丸と大きい丸の違いを見落とすと、温度風との対応を判断できません。
5. 全選択肢正解問題だと知らずに悩み続けてしまう
この問題は、公式にすべての選択肢が正解として扱われた問題です。
過去問演習では、「正解番号を1つ覚える」よりも、なぜ判断が難しい問題だったのかを理解することが大切です。
■ まとめ
- 本問は公式にすべての選択肢が正解として扱われた
- 本来は、等圧面・等温位面・地衡風の関係を読み取る問題
- 北半球の地衡風は、低圧側を左に見て吹く
- 等圧面の傾きが大きいほど、地衡風は強い
- 安定成層では、温位は高度とともに大きくなる
- 図の表現により、一意に判定しづらい部分があった
本問は全選択肢正解扱い
①〜⑤すべて正解
この問題で必ず押さえたいこと
等圧面の傾き
↓
地衡風の向き・強さ
等温位面の傾き
↓
温位分布・温度風
安定成層
↓
上ほど温位が高い
図の正誤判定
↓
風向だけでは不十分
↓
風速・等圧面・等温位面まで確認
この問題では、全選択肢正解扱いという結果だけでなく、地衡風と温度風の関係を図から読み取る基本を押さえることが大切です。
※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。
以上、第60回 一般知識 問8の解説でした!
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