【第60回 気象予報士試験 一般知識】問11 温室効果と気候変動をわかりやすく解説

こんにちは!今回は第60回気象予報士試験 一般知識 問11を解説します!

この問題は、世界平均気温の上昇率・温室効果の仕組み・二酸化炭素濃度について問う問題です。

ポイントは、温室効果の仕組みは正しく押さえつつ、数値表現が大きすぎないかを冷静に確認することです。

この問題で重要なポイント

  • 世界平均気温は長期的に上昇している
  • ただし、100年あたり2℃以上という表現は大きすぎる
  • 温室効果気体は、地表面から放出される赤外放射を吸収する
  • 大気からの赤外放射を地表や下層大気が吸収し、地表付近が暖まる
  • 二酸化炭素濃度は工業化前より増加している
  • ただし、2010年代後半に800ppmを超えていたわけではない
  • 気候変動問題では「方向性」と「数値の大きさ」を分けて判断する

■ 問題文

温室効果や気候変動について述べた次の文(a)〜(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

(a)世界の年平均地上気温は、1891年以降の統計で、長期的には100年あたり2℃以上の割合で上昇している。

(b)温室効果は、大気中の温室効果気体が、地表面から射出される赤外放射を吸収し、これらの気体から再び射出される赤外放射を地表面が吸収して地表面及び地表面付近の大気が暖まることにより生じている。

(c)大気中の二酸化炭素の世界平均の濃度は、2010年代後半には工業化前のおよそ1.5倍に達しており、800ppmを超えている。

選択肢 (a) (b) (c)

■ 解答

(a)誤
(b)正
(c)誤

■ 解き方の方針

この問題は、気候変動に関する基本知識を問う問題ですが、注意したいのは数値が大げさに書かれていないかです。

気温は上昇している

これは正しい方向性

でも

100年あたり2℃以上か?

数値が大きすぎる

また、二酸化炭素濃度も工業化前より増えています。 ただし、800ppmを超えているかというと、これは明らかに大きすぎます。

温室効果の仕組みは、地表から出る赤外放射を大気が吸収し、再び赤外放射を出すことで地表付近が暖まる、という流れで理解します。

■ (a)世界平均気温は100年あたり2℃以上で上昇しているか

(a)では、世界の年平均地上気温が、1891年以降の統計で長期的には100年あたり2℃以上の割合で上昇していると述べています。

これは誤りです。

世界の年平均気温は長期的に上昇しています。 しかし、100年あたり2℃以上という上昇率は大きすぎます。

方向性は正しいが、数値が大きすぎる

世界平均気温

長期的に上昇

ここまでは正しい

しかし

100年あたり2℃以上

大きすぎる

誤り

受験生がつまずきやすいのは、「温暖化している」という知識だけで、すぐに正しいと判断してしまうところです。

試験では、気候変動の問題でも数値の妥当性を確認する必要があります。 「上昇している」は正しくても、「100年あたり2℃以上」と言われたら、過大ではないか疑いましょう。

したがって、(a)は誤りです。

■ (b)温室効果の説明は正しいか

(b)では、温室効果について、大気中の温室効果気体が地表面から射出される赤外放射を吸収し、それらの気体から再び射出される赤外放射を地表面が吸収して、地表面及び地表面付近の大気が暖まると述べています。

これは正しいです。

地表面は、太陽放射によって暖められたあと、赤外放射を出します。 この赤外放射を、水蒸気や二酸化炭素などの温室効果気体が吸収します。

温室効果の基本

太陽放射

地表面を暖める

地表面

赤外放射を出す

温室効果気体

赤外放射を吸収

再び赤外放射を出す

地表面・下層大気

暖まりやすくなる

ここで大切なのは、温室効果気体が主に吸収するのは、太陽から来る可視光ではなく、地表面から出る赤外放射だという点です。

そして、大気から地表面方向にも赤外放射が戻ってくるため、地表面付近が暖められます。

したがって、(b)は正しいです。

■ (c)二酸化炭素濃度は800ppmを超えているか

(c)では、二酸化炭素の世界平均濃度が、2010年代後半には工業化前のおよそ1.5倍に達しており、800ppmを超えていると述べています。

これは誤りです。

工業化前の二酸化炭素濃度は、およそ280ppm程度です。 その1.5倍は、およそ420ppmです。

二酸化炭素濃度のざっくり計算

工業化前

約280ppm

1.5倍

280 × 1.5
= 約420ppm

つまり、「工業化前の約1.5倍」という部分から考えても、800ppmを超えるという記述は合いません。

800ppmは、工業化前の約280ppmと比べると約3倍に近い値です。 そのため、2010年代後半に800ppmを超えているという説明は大きすぎます。

1.5倍と800ppmは両立しない

工業化前 約280ppm

1.5倍なら 約420ppm

800ppm

約2.9倍

1.5倍とは合わない

ここは計算で気づけるポイントです。 詳しい最新値を知らなくても、工業化前の濃度を約280ppmと覚えていれば、「1.5倍で800ppm」はおかしいと判断できます。

したがって、(c)は誤りです。

■ 選択肢確認表

項目 判定 理由
(a) 世界平均気温は長期的に上昇しているが、100年あたり2℃以上は大きすぎる
(b) 温室効果気体が地表面からの赤外放射を吸収・再放射し、地表面付近を暖める
(c) 工業化前の約1.5倍なら約420ppmであり、800ppmを超えるという記述は誤り

以上より、正しい組み合わせはです。

■ 受験生がつまずくポイント

1. 「温暖化している」だけで(a)を正しいと判断する

世界平均気温が上昇していること自体は正しいです。

しかし、問題文は「100年あたり2℃以上」と具体的な数値を出しています。 気候変動の問題では、方向性だけでなく数値の妥当性を見る必要があります。

2. 温室効果を「太陽放射を閉じ込める」と雑に覚えてしまう

温室効果気体が主に吸収するのは、地表面から出る赤外放射です。

太陽放射そのものを単純に閉じ込めているわけではありません。 「地表面からの赤外放射を吸収・再放射する」と押さえましょう。

3. 二酸化炭素濃度の桁感を持っていない

二酸化炭素濃度はppmで表されます。

工業化前がおよそ280ppm、1.5倍ならおよそ420ppmです。 800ppmという値は、現状の説明としては大きすぎます。

4. 「1.5倍」と「800ppm」を別々に読んでしまう

(c)は、文章の中に2つの情報があります。

「工業化前の約1.5倍」と「800ppmを超えている」です。 この2つをつなげて考えると、1.5倍なら800ppmにはならないと気づけます。

5. 環境問題の印象で数値を大きく見積もってしまう

気候変動は深刻な問題ですが、試験では実際の観測値に基づいた判断が必要です。

「深刻だから2℃/100年や800ppmもありそう」と感覚で判断せず、基本的な数値を確認しましょう。

■ まとめ

  • 世界平均気温は長期的に上昇しているが、100年あたり2℃以上という表現は大きすぎる
  • 温室効果気体は、地表面から出る赤外放射を吸収・再放射する
  • その結果、地表面や地表面付近の大気が暖められる
  • 工業化前の二酸化炭素濃度は約280ppm
  • その1.5倍は約420ppmであり、800ppm超とは合わない

正解は④

(a)誤
(b)正
(c)誤

この問題で必ず押さえたいこと

世界平均気温

長期的に上昇

でも100年あたり2℃以上は大きすぎる

温室効果

地表面からの赤外放射

温室効果気体が吸収

再放射

地表面付近が暖まる

二酸化炭素濃度

工業化前 約280ppm

1.5倍なら約420ppm

800ppm超ではない

この問題では、気候変動の方向性だけでなく、数値の桁感を持って判断することが大切です。

※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。

以上、第60回 一般知識 問11の解説でした!

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