【第58回 気象予報士試験 一般知識】問6 温度風と寒気移流・水平温度勾配をわかりやすく解説

こんにちは!今回は第58回気象予報士試験 一般知識 問6を解説します!

この問題は、850hPaと700hPaの風ベクトルから、寒気移流・平均気温の高い側・水平温度勾配の大きさを判断する問題です。

ポイントは、温度風を「上層風 − 下層風」として読み取り、その向きから暖かい側を判断することです。

この問題で重要なポイント

  • 温度風は、上層の地衡風から下層の地衡風を引いたベクトル
  • ここでは 700hPaの風 − 850hPaの風 を見る
  • 寒気移流かどうかは、下層風から上層風への風向変化で判断する
  • 北半球では、高度とともに風向が反時計回りに変化すると寒気移流
  • 南半球では、高度とともに風向が時計回りに変化すると寒気移流
  • 南半球では、温度風の左側が高温側
  • 水平温度勾配が大きいほど、温度風ベクトルは大きい

■ 問題文

図は北緯45°にある2つの地点(a)、(b)と南緯45°にある2つの地点(c)、(d)の850hPaと700hPaの高度の風をベクトルで示したものである。この4地点の850hPaから700hPaの層について以下の3つの条件、ア寒気移流場である、イ平均気温が西側の方が高い、ウ水平温度勾配が最も大きい、をすべて満たすものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。ただし、風は地衡風で、静力学平衡が成り立ち、850hPaから700hPaにかけての風向の変化は90°以内である。また、風のベクトルの大きさを示す目盛りの間隔はすべて等しいものとする。

図
選択肢 地点
(a)
(b)
(b)と(d)
(c)
(d)

■ 解答

(d)

■ 解き方の方針

この問題は、いきなり全部を同時に考えると混乱します。

次の順番で絞り込むのが安全です。

① 寒気移流場か

② 西側が高温か

③ 水平温度勾配が最大か

特に大事なのは、北半球と南半球で温度風と高温側の関係が逆になることです。

■ まず寒気移流場かどうかを見る

寒気移流か暖気移流かは、850hPaから700hPaに向かって、風向がどちら向きに変化しているかで判断します。

寒気移流の判定

北半球

高度とともに反時計回り

寒気移流

南半球

高度とともに時計回り

寒気移流

図を見ると、(a)は北半球で850hPaから700hPaにかけて時計回りに変化しているため、寒気移流ではありません。

一方、(b)は北半球で反時計回り、(c)と(d)は南半球で時計回りに変化しているため、寒気移流場の候補になります。

この時点で候補は、(b)(c)(d)です。

■ 次に「平均気温が西側の方が高い」を見る

次に、温度風から高温側を判断します。

温度風は、上層風から下層風を引いたベクトルです。

温度風 = 700hPaの風 − 850hPaの風

温度風と高温側の関係は、半球によって異なります。

ここが受験生のつまずきポイントです

北半球

温度風の右側が高温

南半球

温度風の左側が高温

北半球のルールをそのまま南半球に使うと間違えます。

(b)は北半球なので、温度風の右側が高温側です。 図の関係から、西側が高温とはなりません。

(c)と(d)は南半球なので、温度風の左側が高温側です。 このうち、西側が高温側になる条件を満たすのは(d)です。

■ 最後に水平温度勾配が最も大きいかを見る

水平温度勾配の大きさは、温度風の大きさに対応します。

つまり、850hPaの風ベクトルと700hPaの風ベクトルの差が大きいほど、水平温度勾配が大きいと判断できます。

水平温度勾配が大きい

温度風が大きい

700hPaの風 − 850hPaの風 が大きい

図では、(d)の850hPaと700hPaの風ベクトルの差が大きく、水平温度勾配も最も大きいと判断できます。

したがって、3つの条件をすべて満たすのは(d)です。

■ 選択肢確認表

地点 判定 理由
(a) 北半球で高度とともに時計回りに変化しており、寒気移流場ではない
(b) 寒気移流場ではあるが、西側が高温という条件を満たさない
(c) 寒気移流場ではあるが、西側高温・最大温度勾配の条件を満たさない
(d) 寒気移流場で、西側が高温、かつ温度風が大きく水平温度勾配も最大

以上より、正しい選択肢はです。

■ 受験生がつまずくポイント

1. 温度風を「実際に吹く風」と考えてしまう

温度風は、実際に吹いている風そのものではありません。

上層風と下層風の差で表されるベクトルです。

温度風

上層風 − 下層風

2. 北半球と南半球のルールを混同する

温度風の右側が高温なのは北半球です。

南半球では逆に、温度風の左側が高温側になります。

3. 寒気移流の判定を逆にする

北半球では、高度とともに反時計回りに風向が変化すると寒気移流です。

南半球では、高度とともに時計回りに風向が変化すると寒気移流です。

4. 水平温度勾配を風速そのものと見てしまう

水平温度勾配に対応するのは、850hPaや700hPa単独の風速ではありません。

見るべきなのは、上層風と下層風の差、つまり温度風の大きさです。

5. 条件を1つだけ満たして選んでしまう

この問題では、ア・イ・ウの3条件をすべて満たす必要があります。

寒気移流だけで選ぶと、(b)(c)(d)まで残ります。

そこから、西側が高温、水平温度勾配最大まで確認する必要があります。

■ まとめ

  • 寒気移流は、風向の鉛直変化で判断する
  • 北半球では反時計回り、南半球では時計回りの変化が寒気移流
  • 温度風は 700hPaの風 − 850hPaの風
  • 北半球では温度風の右側、南半球では左側が高温
  • 水平温度勾配の大きさは温度風の大きさに対応する
  • 3条件をすべて満たすのは(d)

正解は⑤

(d)

この問題で必ず押さえたいこと

温度風

700hPaの風 − 850hPaの風

水平温度勾配を表す

寒気移流

北半球:高度とともに反時計回り
南半球:高度とともに時計回り

高温側

北半球:温度風の右側
南半球:温度風の左側

3条件を満たす

(d)

※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。

以上、第58回 一般知識 問6の解説でした!

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