【第57回 気象予報士試験 一般知識】問11 地球温暖化の現状をわかりやすく解説
こんにちは!今回は第57回気象予報士試験 一般知識 問11を解説します!
この問題は、地球温暖化の現在の状況について問う問題です。
気温上昇、海洋への熱の蓄積、海面水位上昇の原因を正しく整理できているかがポイントです。
特に受験生がつまずきやすいのは、北極海の海氷の融解が海面水位上昇の主因になるのかという点です。
この問題で重要なポイント
- 気温上昇は海上より陸上の方が大きい
- 北半球高緯度では気温上昇が特に大きい
- 地球に蓄積された熱の大部分は海洋に入っている
- 海洋は比熱が大きく、熱を大量に蓄える
- 海面水位上昇の主因は海水の熱膨張と陸上氷の融解
- 北極海の海氷は海に浮いているため、融けても海面水位上昇への直接寄与は小さい
- 「海氷」と「氷床・氷河」を区別することが重要
■ 問題文
地球温暖化の現在の状況について述べた次の文(a)〜(c)の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。
(a) 最近のおよそ100年間の地上気温の変化傾向を見ると、世界の気温上昇の割合は海上より陸上の方が大きく、陸上のうちでは北半球の高緯度地域で大きい。
(b) 最近のおよそ50年間に大気中の温室効果ガス濃度の増加にともなって地球全体で増加した熱エネルギーの約9割は海洋に蓄積されていると見積もられている。
(c) 地球温暖化に伴う世界平均の海面水位の上昇は、海水温の上昇と北極海の海氷の融解による海水の体積の増加が主な原因であると考えられている。
| 選択肢 | (a) | (b) | (c) |
|---|---|---|---|
| ① | 正 | 正 | 正 |
| ② | 正 | 正 | 誤 |
| ③ | 正 | 誤 | 正 |
| ④ | 誤 | 正 | 正 |
| ⑤ | 誤 | 誤 | 誤 |
■ 解答
②
(a) 正
(b) 正
(c) 誤
■ 解き方の方針
この問題は、地球温暖化に関する3つの基本事項を整理して解きます。
気温上昇
↓
陸上 > 海上
北半球高緯度で大きい
熱の蓄積
↓
大部分は海洋
海面水位上昇
↓
海水の熱膨張
+
陸上の氷河・氷床の融解
特に(c)では、北極海の海氷という言葉に注意します。
■ (a) 気温上昇は陸上・北半球高緯度で大きいか
(a)は正しいです。
最近のおよそ100年間の地上気温の変化傾向を見ると、気温上昇の割合は海上よりも陸上の方が大きくなっています。
これは、海洋が大きな熱容量を持ち、温まりにくいのに対して、陸地は比較的温まりやすいためです。
また、北半球の高緯度地域では、雪氷の減少による反射率の低下なども関係し、気温上昇が大きくなりやすいです。
気温上昇の特徴
海上
↓
海洋の熱容量が大きい
↓
温まりにくい
陸上
↓
熱容量が小さい
↓
温まりやすい
北半球高緯度
↓
雪氷減少
↓
反射率低下
↓
昇温が大きい
したがって、(a)は正しいです。
■ (b) 増加した熱エネルギーの約9割は海洋に蓄積されるか
(b)は正しいです。
地球温暖化により地球全体に蓄積される熱エネルギーの大部分は、海洋に蓄積されます。
海洋は比熱が大きく、さらに深い層まで熱を蓄えることができるため、大気よりもはるかに多くの熱を受け取ります。
なぜ海洋に熱がたまるのか
海洋
↓
比熱が大きい
↓
大量の熱を蓄えられる
大気
↓
熱容量は海洋より小さい
結果
↓
増加した熱の大部分は海洋へ
したがって、(b)は正しいです。
■ (c) 海面水位上昇の主因は北極海の海氷融解か
(c)は誤りです。
地球温暖化に伴う世界平均海面水位の上昇の主な原因は、次の2つです。
- 海水温上昇による海水の熱膨張
- 陸上の氷河・氷床の融解による海水量の増加
問題文では「北極海の海氷の融解」が主な原因として挙げられていますが、ここが誤りです。
北極海の海氷は、もともと海に浮いている氷です。
浮いている氷が融けても、海面水位を大きく上昇させる原因にはなりません。
ここが受験生の最大のつまずきポイントです
北極海の海氷
↓
海に浮いている氷
↓
融けても海面水位上昇への直接寄与は小さい
陸上の氷河・氷床
↓
陸の上にある氷
↓
融けて海に流れ込む
↓
海面水位を上げる
したがって、(c)は誤りです。
■ 選択肢確認表
| 項目 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| (a) | 正 | 気温上昇は海上より陸上で大きく、北半球高緯度で大きい |
| (b) | 正 | 増加した熱エネルギーの大部分は海洋に蓄積される |
| (c) | 誤 | 海面水位上昇の主因は海水の熱膨張と陸上氷の融解であり、北極海の海氷融解ではない |
以上より、正しい組み合わせは②です。
■ 受験生がつまずくポイント
1. 地球全体で同じように気温が上がると思ってしまう
気温上昇は一様ではありません。
海上より陸上、低緯度より北半球高緯度で大きくなりやすいです。
2. 熱は主に大気にたまると思ってしまう
温暖化と聞くと大気の気温上昇だけを考えがちです。
しかし、地球全体で増えた熱の大部分は海洋に蓄積されています。
3. 海氷と氷床を混同する
北極海の海氷は海に浮いている氷です。
一方、グリーンランド氷床や山岳氷河などは陸上にある氷です。
海面水位上昇に大きく関係するのは、主に陸上の氷です。
4. 「氷が融ける=海面水位上昇」と単純化してしまう
氷がどこにあるかが重要です。
海に浮いている氷か、陸上にある氷かで影響が異なります。
5. 海面水位上昇の原因を1つだけで覚えてしまう
海面水位上昇は、主に海水の熱膨張と陸上氷の融解の両方で説明します。
■ まとめ
- 気温上昇は海上より陸上で大きい
- 北半球高緯度で気温上昇が大きい
- 地球に蓄積された熱の大部分は海洋に入る
- 海面水位上昇の主因は海水の熱膨張と陸上氷の融解
- 北極海の海氷融解は、海面水位上昇の主因ではない
- したがって、(a)正、(b)正、(c)誤
正解は②
この問題で必ず押さえたいこと
気温上昇
↓
海上より陸上で大きい
北半球高緯度で大きい
増加した熱
↓
大部分は海洋へ
海面水位上昇
↓
海水の熱膨張
+
陸上の氷河・氷床の融解
北極海の海氷
↓
海に浮いている氷
↓
主因ではない
※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。
以上、第57回 一般知識 問11の解説でした!
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皆で最高の独学環境を作っていきましょう!
