【第56回 気象予報士試験 専門知識】問8 気象衛星画像の雲域判読をわかりやすく解説

こんにちは!今回は第56回 気象予報士試験 専門知識 問8を解説します!

この問題は、気象衛星画像の可視画像赤外画像を見比べて、破線で囲まれた雲域A〜Dがどの雲域に対応するかを判断する問題です。

衛星画像の問題で受験生がつまずきやすいのは、雲の形だけで判断しようとしてしまうところです。

この問題では、雲の形に加えて、可視画像での見え方赤外画像での明るさをセットで見ることが大切です。

この問題で重要なポイント

  • 可視画像は、太陽光の反射の強さを見る画像である。
  • 赤外画像は、雲頂温度の低さを見る画像である。
  • 赤外画像で白く明るい雲ほど、雲頂高度が高い。
  • 赤外画像で暗い雲は、雲頂高度が低い雲や霧・層雲の可能性がある。
  • トランスバースラインは、上層の強風軸付近に見られる横縞状の雲列である。
  • にんじん状雲は、積乱雲群が風下側へ広がる特徴的な雲域である。
  • 霧や層雲は、可視では白く見えても赤外では地表面と区別しにくいことがある。

■ 問題文

図は、4月のある日の15時における気象衛星画像(可視、赤外)である。破線で囲まれた領域の雲域について述べた次の文(a)〜(d)と領域A〜Dの組み合わせとして、適切なものを下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

(a) トランスバースラインが発生している。

(b) にんじん状の雲が発生している。

(c) 巻雲などの上層雲を主とする雲域である。

(d) 霧または層雲を主とする雲域である。

図
選択肢 (a) (b) (c) (d)
ADBC
BCAD
BDCA
CBAD
CDBA

■ 解答

(a) C
(b) D
(c) B
(d) A

■ 解き方の方針

衛星画像の問題では、いきなり雲の名前を当てにいくのではなく、次の順番で見ます。

可視画像を見る

雲の形・模様を見る

赤外画像を見る

雲頂高度を判断する

雲域の種類を決める

可視画像だけで判断すると、低い雲も高い雲も白く見えてしまうことがあります。

一方、赤外画像を見ると、雲頂高度の高い雲は白く明るく、雲頂高度の低い雲は暗く見えやすくなります。

■ 可視画像と赤外画像の基本

可視画像

太陽光の反射

厚い雲・白い雲ほど明るい

昼間しか使えない

赤外画像

雲頂温度を見る

雲頂温度が低い

雲頂高度が高い

白く明るい

この問題では、可視画像と赤外画像を見比べることで、A〜Dの雲域を判定していきます。

■ (a) トランスバースラインはC

(a)のトランスバースラインは、領域Cに対応します。

トランスバースラインとは、上層の強い流れにほぼ直交するように並ぶ、細かい横縞状の雲列です。

強風軸付近やジェット気流の近くで見られることがあり、衛星画像では筋状・波状の雲として見えます。

トランスバースラインのイメージ

上層の強い風

風に直交するような細い雲列

横縞状・波状に見える

トランスバースライン

図の領域Cでは、細く並んだ筋状の雲域が見られます。 この特徴がトランスバースラインに対応します。

ここでつまずきやすいポイント

トランスバースラインは「線状降水帯」のような地上付近の降水帯ではありません。

衛星画像では、上層の流れに関係した細い横縞状の雲として見るのがポイントです。

したがって、(a)はCです。

■ (b) にんじん状の雲はD

(b)のにんじん状の雲は、領域Dに対応します。

にんじん状雲は、積乱雲群が発達し、風下側へ雲が広がっていくことで、にんじんのような形に見える雲域です。

先端側に発達した対流雲があり、そこから風下側へ上層雲が広がるように見えるのが特徴です。

にんじん状雲のイメージ

発達した積乱雲群

上空の風で雲が流される

風下側へ広がる

にんじんのような形

領域Dでは、発達した雲域がまとまっており、そこから雲が広がる形が見られます。

このような形状から、にんじん状雲と判断できます。

ここで間違えやすいポイント

にんじん状雲は、単に「細長い雲」ではありません。

対流雲が発達し、その上層雲が風下側へ広がることで、先端と尾をもつような雲域になります。

したがって、(b)はDです。

■ (c) 巻雲などの上層雲はB

(c)の巻雲などの上層雲を主とする雲域は、領域Bに対応します。

上層雲は雲頂高度が高いため、赤外画像では白く明るく見えやすくなります。

一方、可視画像では薄い雲として見え、下の地表や下層雲が透けるように見えることもあります。

上層雲の判定ポイント

赤外画像

白く明るい

雲頂温度が低い

雲頂高度が高い

可視画像

薄く広がる

巻雲などの上層雲

領域Bは、赤外画像で明るく見える雲域であり、雲頂高度の高い雲が主体と考えられます。

この特徴から、巻雲などの上層雲を主とする雲域と判断できます。

受験生が迷いやすいポイント

可視画像だけを見ると、薄い雲は目立ちにくいことがあります。

しかし赤外画像で白く明るく見えるなら、雲頂温度が低く、上層雲である可能性が高くなります。

したがって、(c)はBです。

■ (d) 霧または層雲はA

(d)の霧または層雲を主とする雲域は、領域Aに対応します。

霧や層雲は、地表付近や下層にできる雲です。

そのため、雲頂高度が低く、雲頂温度は地表面の温度に近くなります。

このため、赤外画像では地表面と温度差が小さく、あまり白く明るく見えません。

霧・層雲の判定ポイント

可視画像

白く見えることがある

赤外画像

地表面と温度差が小さい

暗く見えやすい

低い雲

霧・層雲

領域Aは、可視画像では雲域として確認できる一方、赤外画像ではそれほど明るくありません。

これは、雲頂高度の低い霧または層雲の特徴です。

ここで間違えやすいポイント

可視画像で白く見えるからといって、雲頂高度が高いとは限りません。

低い雲でも、太陽光を反射すれば可視画像では白く見えます。

だからこそ、赤外画像とセットで見る必要があります。

したがって、(d)はAです。

■ 領域A〜Dの整理

領域 対応する雲域 判断のポイント
A 霧または層雲 可視では見えるが、赤外では明るくない。雲頂高度が低い。
B 巻雲などの上層雲 赤外画像で明るい。雲頂高度が高い。
C トランスバースライン 細い筋状・横縞状の雲列が見られる。
D にんじん状の雲 発達した対流雲から風下側へ雲が広がる形。

■ 選択肢確認表

対応領域 理由
(a) トランスバースライン C 細い横縞状・筋状の雲列が見られ、上層の強風軸付近に発生するトランスバースラインの特徴に合うため。
(b) にんじん状の雲 D 発達した対流雲群から風下側に雲が広がる形をしており、にんじん状雲の特徴に合うため。
(c) 巻雲などの上層雲 B 赤外画像で明るく、雲頂高度の高い上層雲と判断できるため。
(d) 霧または層雲 A 可視では雲域として見えるが赤外では明るくなく、雲頂高度の低い霧・層雲と判断できるため。

以上より、組み合わせは(a)C、(b)D、(c)B、(d)Aです。

したがって、正解はです。

■ 受験生がつまずくポイント

1. 可視画像だけで判断してしまう

可視画像では、雲が白く見えるかどうかは太陽光の反射に左右されます。低い雲でも白く見えることがあるため、赤外画像とセットで見る必要があります。

2. 赤外画像の白さを「雲の厚さ」とだけ考えてしまう

赤外画像で白く明るい雲は、雲頂温度が低く、雲頂高度が高いことを示します。雲の厚さだけを見ているわけではありません。

3. 霧・層雲を上層雲と間違える

霧や層雲は可視画像では白く見えますが、赤外画像では地表面との温度差が小さいため暗く見えやすいです。

4. トランスバースラインを普通の筋状雲と見分けられない

トランスバースラインは、上層の強い風に関連して、細い横縞状に並ぶ雲列です。形だけでなく、上層の流れを示す雲として理解しましょう。

5. にんじん状雲を単なる雲のかたまりと見てしまう

にんじん状雲は、発達した対流雲と、その風下側へ広がる上層雲がセットになった特徴的な形です。激しい現象と関連しやすい雲域として押さえましょう。

■ まとめ

  • 衛星画像は、可視画像と赤外画像を見比べて判断する。
  • 可視画像は太陽光の反射を見る。
  • 赤外画像は雲頂温度を見ており、白いほど雲頂高度が高い。
  • Aは霧または層雲。
  • Bは巻雲などの上層雲。
  • Cはトランスバースライン。
  • Dはにんじん状の雲。

正解は⑤

この問題で必ず押さえたいこと

可視画像

太陽光の反射

雲の形を見る

赤外画像

雲頂温度

雲の高さを見る

A

低い雲

霧・層雲

B

高い雲

巻雲などの上層雲

C

細い横縞状の雲列

トランスバースライン

D

発達した対流雲+風下側への広がり

にんじん状雲

※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。

以上、第56回 専門知識 問8の解説でした!

訂正・ご意見などありましたら、ぜひコメントで教えてください!
皆で最高の独学環境を作っていきましょう!