【第56回 気象予報士試験 専門知識】問10 梅雨前線・オホーツク海高気圧・水蒸気輸送をわかりやすく解説
こんにちは!今回は第56回 気象予報士試験 専門知識 問10を解説します!
この問題は梅雨前線の維持機構、梅雨期の低気圧、オホーツク海高気圧、水蒸気輸送など、梅雨の気象を総合的に問う問題です。
一見すると知識問題ですが、「温度傾度」と「水蒸気傾度」を混同しやすいことや、オホーツク海高気圧の構造、梅雨前線上の低気圧の鉛直構造など、受験生が引っ掛かりやすいポイントが数多く含まれています。
この問題で重要なポイント
- 梅雨前線は大量の水蒸気輸送によって維持される。
- 水蒸気輸送には太平洋高気圧の縁を回る南風とインドモンスーン(チベット高原南縁の西風)が関係する。
- 梅雨前線上の低気圧は背が低く、上層ほど強くなるわけではない。
- オホーツク海高気圧は下層寒気型である。
- 西日本では温度傾度よりも水蒸気傾度が大きい。
- 西日本では大量の水蒸気流入により降水量が多くなりやすい。
■ 問題文
梅雨期の気象について述べた次の文(a)〜(d)の正誤について、下記の①〜⑤の中から正しいものを1つ選べ。
(a) 梅雨前線を維持している水蒸気輸送には、太平洋高気圧の縁に沿う南よりの気流とチベット高原の南縁を通る西よりの気流が密接に関連している。
(b) 梅雨前線上には、数百km程度の水平間隔で形成される低気圧が見られるが、この低気圧は上層ほど強い低気圧循環を持ち、しばしば激しい雷雨を引き起こす。
(c) 梅雨期にオホーツク海付近に形成され、「やませ」をもたらすオホーツク海高気圧は、中心付近の寒気層が下層から上層まで達している。
(d) 一般的に、西日本以西の梅雨前線では、東日本以東の梅雨前線に比べて下層での南北方向の温度傾度が大きいため、降水量が多い傾向がある。
| 選択肢 | 内容 |
|---|---|
| ① | (a)のみ正しい |
| ② | (b)のみ正しい |
| ③ | (c)のみ正しい |
| ④ | (d)のみ正しい |
| ⑤ | すべて誤り |
■ 解答
①
(a) 正
(b) 誤
(c) 誤
(d) 誤
■ 解き方の方針
この問題は梅雨前線が何によって維持されるのかを理解しているかどうかが最大のポイントです。
インド洋
↓
南西モンスーン
↓
チベット高原南縁
↓
梅雨前線
太平洋高気圧
↓
縁を回る暖湿気
↓
梅雨前線
この2つの大量の水蒸気供給によって梅雨前線は維持されています。
また、西日本では温度傾度ではなく、水蒸気傾度が大きいことも頻出です。
■ 補足講義 梅雨前線を維持する水蒸気輸送とは?
梅雨前線は単なる寒暖の境界ではありません。
大量の水蒸気が継続的に供給されることで、前線活動が維持されています。
① 太平洋高気圧の縁
↓
暖湿な南風
② インド洋
↓
南西モンスーン
↓
チベット高原南縁
↓
西風として流入
この二方向から大量の水蒸気が供給されるため、梅雨前線は長期間維持されます。
■ (a) 水蒸気輸送の説明
(a)は正しいです。
梅雨前線を維持する大量の水蒸気は、
- 太平洋高気圧の縁を回る暖湿な南風
- チベット高原南縁を通る西風(インドモンスーン由来)
の二つが重要です。
南風
+
西風
↓
大量の水蒸気
↓
梅雨前線維持
したがって(a)は正しいです。
■ (b) 梅雨前線上の低気圧は上層ほど強い?
(b)は誤りです。
梅雨前線上の低気圧は背が低い低気圧です。
700hPa付近では確認できますが、500hPa以上では不明瞭になります。
ここが引っ掛け
温帯低気圧のように上層まで発達するわけではありません。
「上層ほど強い」は誤りです。
■ (c) オホーツク海高気圧は上層まで寒気?
(c)は誤りです。
オホーツク海高気圧は下層寒気型です。
寒気は主に下層に存在し、上層まで達していません。
下層のみ寒気
↓
オホーツク海高気圧
これにより北日本では冷たい東風「やませ」が吹きます。
■ (d) 西日本は温度傾度が大きい?
(d)は誤りです。
西日本で降水量が多い理由は、 温度傾度ではありません。
理由は水蒸気傾度が非常に大きいからです。
西日本
↓
水蒸気傾度が大きい
↓
大量の水蒸気供給
↓
降水量が多い
ここが頻出!
温度傾度と水蒸気傾度を入れ替えた問題は毎回のように出題されます。
■ 選択肢確認表
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| (a) | 正 | 南風と西風による大量の水蒸気輸送が梅雨前線を維持するため。 |
| (b) | 誤 | 梅雨前線上の低気圧は背が低く、上層ほど強くならないため。 |
| (c) | 誤 | オホーツク海高気圧は下層寒気型であるため。 |
| (d) | 誤 | 西日本では温度傾度ではなく水蒸気傾度が大きいため。 |
■ 受験生がつまずくポイント
① 温度傾度と水蒸気傾度を混同する
西日本で降水量が多い理由は温度差ではなく、水蒸気が豊富だからです。
② オホーツク海高気圧は寒気が上層まであると思ってしまう
寒気は下層だけです。
③ 梅雨前線上の低気圧を温帯低気圧と同じだと思ってしまう
梅雨前線低気圧は背が低いことが特徴です。
④ 水蒸気輸送を太平洋高気圧だけで説明してしまう
チベット高原南縁を通る西風も重要です。
⑤ 「大量の雨=温度差が大きい」と覚えてしまう
梅雨では温度より水蒸気量を優先して考えます。
■ まとめ
- 梅雨前線は大量の水蒸気輸送で維持される。
- 梅雨前線低気圧は背が低い。
- オホーツク海高気圧は下層寒気型。
- 西日本は水蒸気傾度が大きく降水量が多い。
- 温度傾度との混同に注意。
正解は①
この問題で必ず押さえたいこと
太平洋高気圧
+
インドモンスーン
↓
大量の水蒸気輸送
↓
梅雨前線維持
西日本
↓
温度傾度 ×
水蒸気傾度 ○
↓
降水量増加
※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。
以上、第56回 専門知識 問10の解説でした!
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皆で最高の独学環境を作っていきましょう!
