【第56回 気象予報士試験 一般知識】問8 発達期の温帯低気圧の構造をわかりやすく解説

こんにちは!今回は第56回 気象予報士試験 一般知識 問8を解説します!

この問題は、北半球における発達期の温帯低気圧について、風、上昇流・下降流、上層の気圧の谷、熱輸送、エネルギー源を整理する問題です。

受験生がつまずきやすいのは、温帯低気圧と熱帯低気圧の発達メカニズムを混同してしまうところです。

この問題で重要なポイント

  • 発達期の温帯低気圧では、暖気側で上昇流、寒気側で下降流が起こりやすい。
  • 暖域では南寄りの風で暖気が流入しやすい。
  • 寒域では北寄りの風で寒気が流入しやすい。
  • 地上低気圧の中心は、上層の気圧の谷の東側に位置しやすい。
  • 温帯低気圧は、南北温度傾度の大きい偏西風帯で発達する。
  • 温帯低気圧は、低緯度の熱を高緯度へ輸送する。
  • 温帯低気圧の発達に、水蒸気の凝結による熱供給は不可欠ではない。

■ 問題文

北半球における発達期の温帯低気圧について述べた次の文(a)〜(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

(a) 低気圧周辺の相対的に高温の領域では北よりの風で上昇流、低温の領域では南よりの風で下降流となっている。

(b) 地上の低気圧の中心は上層の気圧の谷の東側にある。

(c) 低気圧は南北温度傾度の大きい偏西風帯で発達し、熱を高緯度に運んでいる。

(d) 低気圧の発達には水蒸気の凝結による熱エネルギーの供給が不可欠である。

選択肢 (a) (b) (c) (d)

■ 解答

(a) 誤
(b) 正
(c) 正
(d) 誤

■ 解き方の方針

この問題では、温帯低気圧の発達を次の3つに分けて考えます。

地上低気圧

暖気と寒気の境目で発達

上層の気圧の谷

地上低気圧の西側にあると発達しやすい

エネルギー源

南北温度差

傾圧不安定

特に(d)は、熱帯低気圧との混同を狙った選択肢です。

■ (a) 高温域で北よりの風・低温域で南よりの風か

(a)は誤りです。

北半球の発達期の温帯低気圧では、低気圧の周辺で反時計回りの循環が生じます。

一般に、暖域では南寄りの風により暖かく湿った空気が流入し、上昇流が起こりやすくなります。

一方、寒域では北寄りの風により寒気が流入し、下降流が起こりやすくなります。

ここが受験生のつまずきポイントです

高温域

南寄りの風

上昇流

低温域

北寄りの風

下降流

問題文は「高温域で北よりの風、低温域で南よりの風」としており、風向の対応が逆です。

したがって、(a)は誤りです。

■ (b) 地上低気圧の中心は上層の気圧の谷の東側にあるか

(b)は正しいです。

発達期の温帯低気圧では、地上低気圧の中心は、上層の気圧の谷の東側に位置することが多いです。

これは、低気圧の鉛直軸が高さとともに西へ傾くためです。

発達期の温帯低気圧の配置

上層の気圧の谷

地上低気圧の西側

地上低気圧

上層トラフの東側

上層の気圧の谷の前面では上昇流が強まりやすく、地上低気圧の発達に関係します。

したがって、(b)は正しいです。

■ (c) 温帯低気圧は偏西風帯で発達し、熱を高緯度へ運ぶか

(c)は正しいです。

温帯低気圧は、南北温度傾度の大きい中緯度の偏西風帯で発達します。

寒気と暖気の境目で発達し、暖気を北へ、寒気を南へ運ぶことで、結果として熱を高緯度へ輸送します。

温帯低気圧の役割

南北温度差が大きい

偏西風帯で低気圧が発達

暖気を北へ
寒気を南へ

熱を高緯度へ輸送

したがって、(c)は正しいです。

■ (d) 温帯低気圧の発達に水蒸気の凝結熱は不可欠か

(d)は誤りです。

水蒸気の凝結による潜熱の放出は、低気圧の発達を強めることがあります。

しかし、温帯低気圧の発達に不可欠なエネルギー源は、主に南北温度差に伴う有効位置エネルギーです。

つまり、温帯低気圧は、暖気と寒気の位置エネルギーを運動エネルギーに変換しながら発達します。

熱帯低気圧との混同に注意

熱帯低気圧

水蒸気の凝結熱が非常に重要

温帯低気圧

南北温度差

傾圧不安定

温帯低気圧でも凝結熱は影響しますが、「不可欠」とまではいえません。

したがって、(d)は誤りです。

■ 選択肢確認表

項目 判定 理由
(a) 高温域では南寄りの風で上昇流、低温域では北寄りの風で下降流になりやすい。
(b) 発達期の地上低気圧は、上層の気圧の谷の東側に位置しやすい。
(c) 温帯低気圧は南北温度傾度の大きい偏西風帯で発達し、熱を高緯度へ輸送する。
(d) 温帯低気圧の主なエネルギー源は南北温度差であり、凝結熱は不可欠ではない。

以上より、正しい組み合わせはです。

■ 受験生がつまずくポイント

1. 暖域と寒域の風向を逆にしてしまう

暖域では南寄りの風、寒域では北寄りの風と考えると整理しやすいです。

2. 上層の気圧の谷と地上低気圧の位置関係を覚えにくい

発達期は、上層の谷が地上低気圧の西側にあり、地上低気圧はその東側にあります。

3. 「低気圧=凝結熱で発達」と単純化してしまう

これは熱帯低気圧では重要ですが、温帯低気圧では主役は南北温度差です。

4. 温帯低気圧の役割を単なる悪天候として覚えてしまう

温帯低気圧は、地球規模では低緯度の熱を高緯度へ運ぶ重要な役割を持っています。

■ まとめ

  • 発達期の温帯低気圧では、暖域で上昇流、寒域で下降流が起こりやすい。
  • 地上低気圧は、上層の気圧の谷の東側に位置しやすい。
  • 温帯低気圧は、南北温度傾度の大きい偏西風帯で発達する。
  • 温帯低気圧は、熱を高緯度へ輸送する。
  • 温帯低気圧の発達に凝結熱は不可欠ではない。
  • (a)誤、(b)正、(c)正、(d)誤。

正解は⑤

この問題で必ず押さえたいこと

発達期の温帯低気圧

上層の谷の東側に地上低気圧

暖域

南寄りの風・上昇流

寒域

北寄りの風・下降流

エネルギー源

南北温度差

傾圧不安定

※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。

以上、第56回 一般知識 問8の解説でした!

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