【第56回 気象予報士試験 一般知識】問6 地衡風と緯度による気圧傾度の違いをわかりやすく解説
こんにちは!今回は第56回 気象予報士試験 一般知識 問6を解説します!
この問題は、同じ風速の地衡風が吹くとき、緯度によって必要な気圧傾度がどう変わるかを考える問題です。
ポイントは、地衡風の式を丸暗記することではなく、気圧傾度力=コリオリ力というつり合いから考えることです。
この問題で重要なポイント
- 地衡風は、気圧傾度力とコリオリ力がつり合った風である。
- コリオリパラメータは f = 2Ωsinφ で表される。
- 緯度が高いほどsinφが大きくなり、コリオリ力も大きくなる。
- 同じ風速なら、高緯度ほど小さい気圧傾度でもつり合える。
- 地衡風速は V ∝ (ΔP/ΔY) ÷ sinφ と考えられる。
- 今回は風速V、気圧差ΔP、大気密度ρが同じなので、ΔYとsinφの関係だけを比べればよい。
■ 問題文
北緯30°と北緯45°の2つの地点で、いずれも東向きで風速100m/sの地衡風が吹いているとする。
この2つの地点で、水平気圧差が4hPaとなる南北方向の距離をΔY30とΔY45としたとき、ΔY30とΔY45の比(ΔY30 / ΔY45)の値として最も適切なものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。
ただし、2つの地点で大気の密度は等しく、地表の摩擦の影響は無視できるとし、sin30°=1/2、cos30°=1.7/2、sin45°=1/1.4、cos45°=1/1.4とする。
| 選択肢 | 値 |
|---|---|
| ① | 0.6 |
| ② | 0.7 |
| ③ | 1 |
| ④ | 1.4 |
| ⑤ | 1.7 |
■ 解答
④
ΔY30 / ΔY45 = 1.4
■ 解き方の方針
地衡風の問題では、まず次の関係を思い出します。
気圧傾度力
=
コリオリ力
地衡風速Vは、ざっくり次のように表せます。
V ∝ (ΔP / ΔY) ÷ sinφ
今回は、北緯30°でも北緯45°でも、風速Vは100m/sで同じです。
また、水平気圧差ΔPも4hPaで同じ、大気密度も同じです。
したがって、比べるべきなのはΔYとsinφの関係だけです。
■ なぜsinφが出てくるのか
地衡風では、気圧傾度力とコリオリ力がつり合っています。
コリオリ力の大きさには、コリオリパラメータfが関係します。
f = 2Ωsinφ
ここでφは緯度です。
つまり、緯度が高くなるほどsinφが大きくなり、同じ風速でもコリオリ力が大きくなります。
ここが受験生のつまずきポイントです
北緯30°と北緯45°
↓
同じ風速100m/s
でも
↓
コリオリ力の効き方が違う
高緯度の方がコリオリ力が大きいため、同じ風速を保つには、気圧傾度力は相対的に小さくて済みます。
■ 地衡風の式から考える
地衡風速は、次のように考えられます。
V = 1 / (ρf) × ΔP / ΔY
f = 2Ωsinφ
したがって、
V ∝ (ΔP / ΔY) ÷ sinφ
今回は、V、ΔP、ρは同じです。
そのため、次の関係になります。
sin30° × ΔY30
=
sin45° × ΔY45
よって、
ΔY30 / ΔY45
=
sin45° / sin30°
問題文より、
sin30° = 1/2
sin45° = 1/1.4
したがって、
ΔY30 / ΔY45
=
(1/1.4) ÷ (1/2)
= 2 / 1.4
≒ 1.4
したがって、答えは④です。
■ イメージで理解する
北緯30°
sin30°が小さい
↓
コリオリ力が弱い
↓
同じ風速にするには
気圧傾度力を大きくする必要
気圧差4hPaを
より短い距離にする?
と考えたくなりますが、ここで注意です。
今回は「4hPaの気圧差になる距離」を比べています。
低緯度ではコリオリ力が弱いため、同じ風速に対して必要な気圧傾度は小さくなります。
そのため、4hPaの差がつくまでの距離は長くなります。
北緯30°の方が
ΔYが大きい
■ 選択肢確認表
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| ① 0.6 | × | ΔY30がΔY45より小さいことになり、緯度によるコリオリ力の違いと合わない。 |
| ② 0.7 | × | sin30°とsin45°の比を逆にしたときに近い値。 |
| ③ 1 | × | 緯度が違えばコリオリパラメータfも違うため、同じ距離にはならない。 |
| ④ 1.4 | ○ | ΔY30 / ΔY45 = sin45° / sin30° ≒ 1.4。 |
| ⑤ 1.7 | × | cos30°に関係する値であり、この問題ではsinφを使う。 |
■ 受験生がつまずくポイント
1. cosを使ってしまう
コリオリパラメータはf = 2Ωsinφです。
緯度によるコリオリ力の違いを見る問題なので、使うのはcosではなくsinです。
2. 比を逆にしてしまう
求めるのはΔY30 / ΔY45です。
式を立てずに感覚だけで選ぶと、0.7を選びやすいので注意しましょう。
3. 風速が同じだから距離も同じと考えてしまう
風速が同じでも、緯度が違えばコリオリ力の大きさが違います。
そのため、必要な気圧傾度も変わります。
4. ΔP/ΔYの意味を見失う
ΔP/ΔYは気圧傾度です。
同じ4hPaでも、距離ΔYが大きければ気圧傾度は小さく、距離ΔYが小さければ気圧傾度は大きくなります。
■ まとめ
- 地衡風は、気圧傾度力とコリオリ力のつり合いで決まる。
- コリオリパラメータはf = 2Ωsinφ。
- 地衡風速は V ∝ (ΔP/ΔY) ÷ sinφ。
- V、ΔP、ρが同じなので、ΔYの比はsinφの比で決まる。
- ΔY30 / ΔY45 = sin45° / sin30° ≒ 1.4。
正解は④
この問題で必ず押さえたいこと
地衡風
↓
気圧傾度力 = コリオリ力
f = 2Ωsinφ
↓
緯度が高いほどfが大きい
V ∝ (ΔP/ΔY) ÷ sinφ
ΔY30 / ΔY45
=
sin45° / sin30°
≒ 1.4
※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。
以上、第56回 一般知識 問6の解説でした!
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