【第56回 気象予報士試験 一般知識】問10 成層圏オゾンの生成・輸送・季節変化をわかりやすく解説

こんにちは!今回は第56回 気象予報士試験 一般知識 問10を解説します!

この問題は、成層圏オゾンについて、どこで作られるのかどこに蓄積されるのか、そしてオゾンホールが発達しやすい条件を問う問題です。

受験生がつまずきやすいのは、「オゾンが多い場所」と「オゾンが作られる場所」を同じだと思ってしまうところです。

この問題で重要なポイント

  • 成層圏ではオゾンが紫外線を吸収して大気を加熱する。
  • 夏極に近いほど日射が強く、成層圏の加熱が大きくなりやすい。
  • オゾンは主に低緯度成層圏で生成される。
  • 生成されたオゾンは大気循環により中高緯度へ輸送される。
  • 北半球中高緯度のオゾン全量は、冬から春にかけて多くなりやすい。
  • 南極オゾンホールは、強い極渦と低温環境で発達しやすい。
  • 「極渦が弱いほどオゾンホールが発達」は逆。

■ 問題文

成層圏のオゾンについて述べた次の文(a)〜(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

(a) 高度20〜60kmにおける気温の経度平均が夏極に近いほど高温であるのは、オゾンの紫外線吸収に伴う加熱量がより多くなるからである。

(b) オゾンは主として高緯度の成層圏で生成され、蓄積される。

(c) 北半球の中高緯度のオゾン全量は、冬から春にかけた時期が他の時期よりも多い。

(d) 南極では、極渦が弱い年ほど成層圏が低温になりやすく、オゾンホールが発達する傾向がある。

選択肢 (a) (b) (c) (d)

■ 解答

(a) 正
(b) 誤
(c) 正
(d) 誤

■ 解き方の方針

この問題は、成層圏オゾンを次の3つに分けて整理すると解きやすいです。

オゾンの加熱作用

紫外線を吸収して成層圏を暖める

オゾンの生成場所

主に低緯度成層圏

オゾンの蓄積場所

輸送されて中高緯度で多くなる

特に(b)は、「蓄積される場所」と「生成される場所」を混同させる引っかけです。

■ (a) 夏極に近いほど成層圏気温が高いのはオゾン加熱が多いからか

(a)は正しいです。

成層圏では、オゾンが太陽からの紫外線を吸収します。

紫外線を吸収すると、そのエネルギーによって大気が加熱されます。

夏極側では日射を受ける時間が長く、紫外線による加熱が大きくなりやすいため、成層圏の気温が高くなります。

成層圏が暖められる流れ

太陽紫外線

オゾンが吸収

成層圏が加熱

夏極側で高温になりやすい

したがって、(a)は正しいです。

■ (b) オゾンは主に高緯度成層圏で生成されるか

(b)は誤りです。

オゾンは主に、太陽紫外線が強い低緯度の成層圏で生成されます。

一方で、オゾン全量は中高緯度で多くなる時期があります。

これは、低緯度で作られたオゾンが成層圏の大規模循環によって中高緯度へ運ばれるためです。

ここが受験生のつまずきポイントです

オゾンが多い場所

そこで作られている?

これは誤解

生成:低緯度

輸送

蓄積:中高緯度

したがって、(b)は誤りです。

■ (c) 北半球中高緯度のオゾン全量は冬から春に多いか

(c)は正しいです。

北半球の中高緯度では、冬から春にかけてオゾン全量が多くなりやすいです。

低緯度で生成されたオゾンが成層圏の循環によって高緯度側へ運ばれ、冬から春にかけて蓄積されるためです。

北半球中高緯度のオゾン全量

低緯度で生成

成層圏循環で輸送

中高緯度に蓄積

冬〜春に多い

したがって、(c)は正しいです。

■ (d) 極渦が弱い年ほどオゾンホールが発達するか

(d)は誤りです。

南極のオゾンホールは、極域成層圏が非常に低温になり、極域が外部の空気と混ざりにくい状態で発達しやすくなります。

このような状態を作りやすいのが、強い極渦です。

極渦が強いと、南極上空の空気が周囲から隔離され、低温が維持されやすくなります。

ここも引っかかりやすいです

極渦が強い

南極域が隔離される

低温が維持される

オゾンホールが発達しやすい

問題文は「極渦が弱い年ほど」としているため、逆です。

したがって、(d)は誤りです。

■ 選択肢確認表

項目 判定 理由
(a) オゾンが紫外線を吸収して成層圏を加熱するため、夏極側で高温になりやすい。
(b) オゾンは主に低緯度成層圏で生成され、中高緯度へ輸送される。
(c) 北半球中高緯度のオゾン全量は、冬から春にかけて多くなりやすい。
(d) 南極オゾンホールは、弱い極渦ではなく、強い極渦と低温環境で発達しやすい。

以上より、正しい組み合わせはです。

■ 受験生がつまずくポイント

1. オゾンの生成場所と蓄積場所を混同する

オゾンは主に低緯度で生成されます。

しかし、大気循環によって中高緯度へ輸送されるため、中高緯度でオゾン全量が多くなることがあります。

2. 「高緯度に多いなら高緯度で作られる」と考えてしまう

これは典型的な誤解です。

気象では「作られる場所」と「集まる場所」が違うことがよくあります。

3. オゾンホールと極渦の関係を逆に覚える

オゾンホールは、強い極渦によって南極域が隔離され、低温が維持されることで発達しやすくなります。

4. 成層圏の加熱源を忘れる

成層圏の気温構造では、オゾンによる紫外線吸収が重要です。

対流圏のように地表面から暖められるイメージだけで考えないようにしましょう。

■ まとめ

  • 成層圏では、オゾンが紫外線を吸収して大気を加熱する。
  • オゾンは主に低緯度成層圏で生成される。
  • 生成されたオゾンは中高緯度へ輸送され、冬から春に多くなりやすい。
  • 南極オゾンホールは、強い極渦と低温環境で発達しやすい。
  • (a)正、(b)誤、(c)正、(d)誤。

正解は②

この問題で必ず押さえたいこと

成層圏オゾン

紫外線を吸収

成層圏を加熱

オゾン生成

主に低緯度

オゾン蓄積

輸送されて中高緯度

南極オゾンホール

強い極渦・低温で発達しやすい

※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。

以上、第56回 一般知識 問10の解説でした!

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