【第55回 気象予報士試験 一般知識】問7 地衡風・温度風・寒気移流をわかりやすく解説
こんにちは!今回は第55回 気象予報士試験 一般知識 問7を解説します!
この問題は、850hPaと700hPaの地衡風ベクトルから、気圧傾度力・温度移流・温度風・水平温度傾度を読み取る問題です。
受験生がつまずきやすいのは、風向の変化を見て暖気移流・寒気移流を判断するところと、温度風の長さ=平均気温の水平傾度の大きさと結びつけるところです。
この問題で重要なポイント
- 地衡風では、風速が大きいほど水平気圧傾度力も大きい。
- 同じ緯度なので、地衡風速の大小をそのまま気圧傾度力の大小として比べやすい。
- 北半球では、風が高度とともに時計回りに変化すると暖気移流。
- 北半球では、風が高度とともに反時計回りに変化すると寒気移流。
- 温度風は「700hPaの風 − 850hPaの風」で考える。
- 温度風のベクトルが長いほど、850hPa〜700hPa間の平均気温の水平傾度が大きい。
■ 問題文
図は北半球の同じ緯度にある地点A,地点B,地点Cそれぞれの850hPaと700hPaの高度の風について,横軸uを東西方向の東向き成分,縦軸vを南北方向の北向き成分としてベクトルで示したものである。
この図について述べた次の文(a)〜(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の①〜⑤の中から1つ選べ。
ただし,風は地衡風とし,850hPaから700hPaにかけての風向の変化は180°以内とする。
(a) 地点Aでは,850hPaで地点B,Cに比べ最も水平気圧傾度力が大きい。
(b) 地点Bでは,850hPaと700hPaの間の平均気温は水平移流により上昇傾向にある。
(c) 地点Cでは,850hPaから700hPaにかけて寒気移流場である。
(d) 地点A〜Cのうち,850hPaと700hPaの間の平均気温の水平傾度が最も大きいのは地点Aである。
| 選択肢 | (a) | (b) | (c) | (d) |
|---|---|---|---|---|
| ① | 正 | 正 | 正 | 誤 |
| ② | 正 | 誤 | 正 | 正 |
| ③ | 正 | 誤 | 正 | 誤 |
| ④ | 誤 | 正 | 誤 | 正 |
| ⑤ | 誤 | 誤 | 正 | 誤 |
■ 解答
③
(a) 正
(b) 誤
(c) 正
(d) 誤
■ 解き方の方針
この問題は、次の3つを順番に見れば解けます。
850hPaの風速
↓
地衡風速が大きいほど
水平気圧傾度力が大きい
850hPa → 700hPaの風向変化
↓
時計回りなら暖気移流
反時計回りなら寒気移流
700hPaの風 − 850hPaの風
↓
温度風
↓
長いほど水平温度傾度が大きい
特に(d)は、温度風ベクトルの長さを見る問題です。
■ (a) 地点Aの850hPaで水平気圧傾度力が最も大きいか
(a)は正しいです。
風は地衡風とされています。
地衡風では、水平気圧傾度力とコリオリ力がつり合っています。
同じ緯度で比べるので、コリオリパラメータは同じです。
そのため、地衡風速が大きいほど、水平気圧傾度力も大きいと判断できます。
地衡風の比較
同じ緯度
↓
コリオリの条件は同じ
地衡風速が大きい
↓
コリオリ力が大きい
↓
つり合う水平気圧傾度力も大きい
図では、850hPaの風速は地点Aが地点B,Cより大きいです。
したがって、(a)は正しいです。
■ (b) 地点Bは水平移流により平均気温が上昇傾向か
(b)は誤りです。
地点Bでは、850hPaから700hPaへ高度が上がると、風向が反時計回りに変化しています。
北半球では、地衡風が高度とともに反時計回りに変化する場合、寒気移流を示します。
風向変化と温度移流の覚え方
北半球
高度とともに時計回り
↓
暖気移流
北半球
高度とともに反時計回り
↓
寒気移流
寒気移流であれば、水平移流によって平均気温は上昇ではなく、低下傾向になります。
したがって、(b)は誤りです。
■ (c) 地点Cは寒気移流場か
(c)は正しいです。
地点Cでは、850hPaから700hPaへ高度が上がると、風向が反時計回りに変化していると読み取れます。
北半球で高度とともに風向が反時計回りに変化する場合は、寒気移流場です。
地点Cの見方
850hPaの風
↓
700hPaの風へ
180°以内で風向変化を見る
↓
反時計回り
↓
寒気移流
したがって、(c)は正しいです。
■ (d) 平均気温の水平傾度が最も大きいのは地点Aか
(d)は誤りです。
850hPaと700hPaの間の平均気温の水平傾度は、温度風の大きさと対応します。
温度風は、次のように考えます。
温度風
=
700hPaの地衡風 − 850hPaの地衡風
つまり、700hPaと850hPaの風ベクトルの差が大きいほど、温度風が大きくなります。
図を見ると、地点Aは850hPaと700hPaの風向・風速の差が比較的小さいです。
一方、地点Cでは850hPaと700hPaの風の差が大きく、温度風ベクトルが大きくなります。
ここが受験生のつまずきポイントです
850hPaの風速が大きい地点Aを見て、「温度傾度も大きい」と考えてしまいがちです。
しかし、温度傾度を見るときは、単独の風速ではなく、上下の風の差を見る必要があります。
850hPaの風速
↓
気圧傾度力を見る
700hPa − 850hPa
↓
温度風を見る
↓
水平温度傾度を見る
したがって、「最も大きいのは地点Aである」とする(d)は誤りです。
■ 選択肢確認表
| 項目 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| (a) | 正 | 同じ緯度の地衡風なので、850hPaの風速が大きい地点ほど水平気圧傾度力も大きい。 |
| (b) | 誤 | 地点Bでは高度とともに風向が反時計回りに変化し、寒気移流となるため、平均気温は上昇傾向ではない。 |
| (c) | 正 | 地点Cでは850hPaから700hPaにかけて風向が反時計回りに変化し、寒気移流場と判断できる。 |
| (d) | 誤 | 水平温度傾度は温度風の大きさで判断する。地点Aではなく、上下の風の差が大きい地点Cの方が大きい。 |
以上より、正しい組み合わせは③です。
■ 受験生がつまずくポイント
1. 風速の大小と温度傾度の大小を混同する
850hPa単独の風速は水平気圧傾度力の判断に使います。一方、温度傾度は上下の風の差、つまり温度風で判断します。
2. 温度風を「実際に吹く風」と思ってしまう
温度風は、上層風と下層風の差です。700hPaの風から850hPaの風を引いたベクトルとして考えましょう。
3. 暖気移流・寒気移流の判定で止まる
北半球では、高度とともに時計回りなら暖気移流、反時計回りなら寒気移流です。まずこの型を押さえると判断が速くなります。
4. 地点Cの風向変化で迷う
問題文に「850hPaから700hPaにかけての風向の変化は180°以内」とあります。遠回りではなく、180°以内の小さい回転で風向変化を読み取るのがポイントです。
■ まとめ
- 地衡風では、風速が大きいほど水平気圧傾度力が大きい。
- 同じ緯度なので、地点間で地衡風速をそのまま比較できる。
- 北半球では、高度とともに時計回りなら暖気移流。
- 北半球では、高度とともに反時計回りなら寒気移流。
- 温度風は700hPaの風と850hPaの風の差である。
- 温度風が大きいほど、平均気温の水平傾度が大きい。
- (a)正、(b)誤、(c)正、(d)誤。
正解は③
この問題で必ず押さえたいこと
地衡風速が大きい
↓
水平気圧傾度力が大きい
北半球
高度とともに時計回り
↓
暖気移流
北半球
高度とともに反時計回り
↓
寒気移流
温度風
=
700hPaの風 − 850hPaの風
↓
水平温度傾度を表す
※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。
以上、第55回 一般知識 問7の解説でした!
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