【第54回 気象予報士試験 一般知識】問5 霧の種類と発生条件をわかりやすく解説
こんにちは!今回は第54回 気象予報士試験 一般知識 問5を解説します!
この問題は、霧の発生条件について問う問題です。
霧は、放射霧・移流霧・蒸気霧・前線霧など、種類ごとに発生のしくみが異なります。
受験生がつまずきやすいのは、名前だけを暗記してしまい、どの空気が冷やされるのか、どこから水蒸気が供給されるのかを整理できなくなるところです。
この問題で重要なポイント
- 霧は、地表付近の空気が飽和して小さな水滴が浮かぶ現象である。
- エーロゾルは凝結核として霧の発生に関係する。
- 釧路沖の海霧は、暖かく湿った空気が冷たい海面上に流れ込んで発生しやすい。
- 放射霧は、晴れて風の弱い夜間から明け方に発生しやすい。
- 風が強いと、地表付近の冷却が乱されるため放射霧は発生しにくい。
- 前線霧は、暖かい雨滴が下層の冷たい空気中で蒸発して発生することがある。
- 霧の種類は「冷却型」と「水蒸気供給型」に分けると理解しやすい。
■ 問題文
霧について述べた次の文(a)〜(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。
(a) エーロゾルの有無は霧の発生に影響を及ぼさない。
(b) 初夏に釧路沖で発生する海霧は、海面水温より冷たい空気が、オホーツク海などから流れてきて発生することが多い。
(c) 放射霧は雲の少ない夜間から明け方にかけ発生しやすいが、風が強いと発生しにくい。
(d) 温暖前線に伴い長時間降雨があり、地表面近くに湿った冷気があるところへ、上空の暖気から比較的高温の雨粒が落下して蒸発すると、前線霧が発生することがある。
| 選択肢 | (a) | (b) | (c) | (d) |
|---|---|---|---|---|
| ① | 正 | 正 | 誤 | 誤 |
| ② | 正 | 誤 | 正 | 誤 |
| ③ | 誤 | 正 | 正 | 誤 |
| ④ | 誤 | 正 | 誤 | 正 |
| ⑤ | 誤 | 誤 | 正 | 正 |
■ 解答
⑤
(a) 誤
(b) 誤
(c) 正
(d) 正
■ 解き方の方針
霧の問題は、種類名だけでなく、発生のしくみで考えると解きやすくなります。
霧
↓
地表付近の空気が飽和
↓
小さな水滴が浮かぶ
発生方法は大きく2つ
↓
空気を冷やす
または
水蒸気を増やす
今回の選択肢では、放射霧と前線霧が正しく、エーロゾルと釧路沖の海霧に関する文が誤りです。
■ 補足講義:霧はどうやって発生するのか
霧は、地表付近で空気中の水蒸気が凝結し、小さな水滴として浮かんでいる状態です。
雲と同じように、空気が飽和して水滴ができることで発生します。
空気が冷える
または
水蒸気が増える
↓
相対湿度が100%に近づく
↓
水蒸気が凝結
↓
霧
霧の種類は、何によって飽和したかで分類すると理解しやすいです。
| 霧の種類 | 発生の主なしくみ | イメージ |
|---|---|---|
| 放射霧 | 夜間の放射冷却で地表付近の空気が冷える | 晴れて風の弱い朝に出やすい |
| 移流霧・海霧 | 暖湿な空気が冷たい海面・地面上に流れ込んで冷やされる | 釧路沖の海霧など |
| 蒸気霧 | 冷たい空気が暖かい水面上に流れ、水蒸気が供給される | 冬の川や湖で湯気のように見える霧 |
| 前線霧 | 暖かい雨滴が冷たい空気中で蒸発して水蒸気を供給する | 温暖前線付近で発生しやすい |
■ (a) エーロゾルの有無は霧に関係ない?
(a)は誤りです。
エーロゾルは、大気中に浮かぶ微小な粒子です。
霧の水滴ができるときには、水蒸気が何かを核にして凝結します。
この核になるのが凝結核であり、エーロゾルはその役割をします。
エーロゾルと霧の関係
エーロゾル
↓
凝結核になる
↓
水蒸気が付着して凝結
↓
霧粒ができる
したがって、「エーロゾルの有無は霧の発生に影響を及ぼさない」という文は誤りです。
ここがひっかけ
霧の発生は「冷えること」だけで決まると思いがちです。
しかし、実際には水滴ができるための凝結核も重要です。
■ (b) 釧路沖の海霧は、冷たい空気が流れてきて発生する?
(b)は誤りです。
初夏に釧路沖で発生する海霧は、一般に暖かく湿った空気が、冷たい海面上に流れ込むことで発生します。
問題文では、「海面水温より冷たい空気」が流れてきて発生するとしています。
ここが誤りです。
釧路沖の海霧のイメージ
暖かく湿った空気
↓
冷たい海面上へ流れ込む
↓
下から冷やされる
↓
飽和する
↓
海霧
初夏の北海道太平洋側では、海面水温が低く、そこへ暖湿な空気が流れ込むことで海霧が発生しやすくなります。
ここで間違えやすい理由
「霧は冷たい空気でできる」と単純に考えると、問題文の「冷たい空気」が正しく見えてしまいます。
しかし、海霧では暖湿な空気が冷たい海面で冷やされることがポイントです。
したがって、(b)は誤りです。
■ (c) 放射霧は雲が少なく風が弱いと発生しやすい?
(c)は正しいです。
放射霧は、夜間の放射冷却によって地表面付近の空気が冷やされて発生します。
雲が少ない夜は、地表面から宇宙へ熱が逃げやすく、地表付近が冷えやすくなります。
そのため、夜間から明け方にかけて放射霧が発生しやすくなります。
放射霧が発生しやすい条件
晴れている
↓
放射冷却が強い
風が弱い
↓
冷えた空気が地表付近にたまる
夜間〜明け方
↓
気温が下がりやすい
一方、風が強いと上下の空気が混ざり、地表付近だけが強く冷える状態が作られにくくなります。
そのため、風が強いと放射霧は発生しにくくなります。
ここがひっかけ
風があると水蒸気が運ばれて霧ができやすいように感じるかもしれません。
しかし、放射霧では冷えた空気が地表付近にたまることが重要です。
強い風は、その冷気のたまりを壊してしまいます。
したがって、(c)は正しいです。
■ (d) 温暖前線付近で前線霧が発生することがある?
(d)は正しいです。
温暖前線に伴って長時間の降雨があると、上空の暖気側から比較的暖かい雨滴が、地表付近の冷たい空気中へ落下することがあります。
この雨滴が冷たい空気中で蒸発すると、下層の空気に水蒸気が供給されます。
その結果、地表付近の空気が飽和し、霧が発生することがあります。
前線霧の発生イメージ
温暖前線に伴う降雨
↓
暖かい雨滴が冷たい空気中へ落下
↓
雨滴が蒸発
↓
下層に水蒸気が増える
↓
飽和
↓
前線霧
前線霧は、空気を冷やすというより、雨滴の蒸発によって水蒸気が供給されることが重要です。
ここで止まりやすいポイント
霧というと「冷却でできる」と考えがちですが、前線霧では蒸発による水蒸気供給が大切です。
したがって、(d)は正しいです。
■ 補足講義:海霧と蒸気霧の違い
霧の問題で特に間違えやすいのが、海霧と蒸気霧です。
| 種類 | 空気と水面の関係 | 発生のしくみ | イメージ |
|---|---|---|---|
| 海霧・移流霧 | 暖湿な空気 → 冷たい海面 | 空気が下から冷やされて飽和 | 初夏の釧路沖の海霧 |
| 蒸気霧 | 冷たい空気 → 暖かい水面 | 水面から水蒸気が供給されて飽和 | 冬の川・湖の湯気のような霧 |
覚え方
海霧は暖湿な空気が冷たい海面で冷やされる。
蒸気霧は冷たい空気に暖かい水面から水蒸気が供給される。
■ 選択肢確認表
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| (a) | 誤 | エーロゾルは凝結核として霧の発生に影響するため。 |
| (b) | 誤 | 釧路沖の海霧は、暖湿な空気が冷たい海面上で冷やされて発生しやすいため。 |
| (c) | 正 | 放射霧は晴れて風の弱い夜間から明け方に発生しやすく、強風時は発生しにくいため。 |
| (d) | 正 | 温暖前線付近で、雨滴の蒸発により下層が飽和して前線霧が発生することがあるため。 |
以上より、組み合わせは(a)誤、(b)誤、(c)正、(d)正です。
したがって、正解は⑤です。
■ 受験生がつまずくポイント
1. 霧は冷えれば必ず発生すると考えてしまう
霧の発生には、空気が飽和することに加えて、水滴ができるための凝結核も関係します。エーロゾルは霧粒の形成に重要です。
2. 海霧を「冷たい空気が来るから発生する」と覚えてしまう
釧路沖などの海霧は、暖かく湿った空気が冷たい海面で冷やされて発生します。問題文の「海面水温より冷たい空気」が誤りです。
3. 海霧と蒸気霧を逆に覚えてしまう
海霧は暖湿な空気が冷たい水面へ、蒸気霧は冷たい空気が暖かい水面へ、という違いがあります。
4. 放射霧で風が強い方が発生しやすいと思ってしまう
放射霧では、冷えた空気が地表付近にたまることが必要です。風が強いと空気が混ざってしまい、霧が発生しにくくなります。
5. 前線霧を冷却だけで説明しようとしてしまう
前線霧では、雨滴の蒸発によって水蒸気が供給され、地表付近の冷たい空気が飽和することが重要です。
6. 「温暖前線」と「暖かい雨滴」のつながりを見落とす
温暖前線では、上空の暖気側から雨粒が落下します。その雨滴が下層の冷気中で蒸発することで、前線霧が発生しやすくなります。
■ まとめ
- エーロゾルは凝結核として霧の発生に影響する。
- 釧路沖の海霧は、暖湿な空気が冷たい海面で冷やされて発生しやすい。
- 放射霧は、雲が少なく風が弱い夜間から明け方に発生しやすい。
- 風が強いと、放射霧は発生しにくい。
- 前線霧は、雨滴の蒸発により下層が飽和して発生することがある。
正解は⑤
この問題で必ず押さえたいこと
エーロゾル
↓
凝結核
↓
霧の発生に関係する
海霧
↓
暖湿な空気
+
冷たい海面
放射霧
↓
晴れ・弱風・夜間〜明け方
前線霧
↓
暖かい雨滴が冷気中で蒸発
↓
水蒸気供給
↓
飽和
※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。
以上、第54回 一般知識 問5の解説でした!
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