【第64回 気象予報士試験 実技1】問4を徹底解説|シアーライン・強雨エコー・相当温位傾度・暴風リスク
こんにちは!今回は第64回 気象予報士試験 実技1 問4を解説します!
今回の問4では、
- 26℃等温線の作図
- シアーラインと強雨エコーの位置関係
- シアーラインを挟んだ風向・気温分布
- シアーラインの通過時刻と移動速度
- 強雨エコーの到達時刻予測
- 相当温位・湿数・鉛直流の断面解析
- 境港付近で警戒すべき大気現象
など、実技試験で重要な「シアーライン周辺の立体構造と防災判断」が問われています。
実技試験記述5型
基本セット:どこで(場所・高さ・時刻)+ なぜ(原因・背景場)+ 何が起きている(現象)
- 分布型:「A側では○○であり、一方B側では△△となっている。」
- 時間変化型:「◯時にはAであったが、△時にはBとなり、AからBへと変化した。」
- メカニズム型:「〜ため、□□が強まり、その結果△△となる。」
- リスク型:「〜ため、◯◯のおそれがあり、△△への注意・警戒が必要である。」
- 構造型:「◯◯付近の◇◇hPaで、ここが前線面に対応する。」
記述式問題の考え方はこちらの記事も参考にしてください!
⇒ 【実技試験講義No.1】気象予報士試験実技試験記述5型 – 独学資格塾
■ 問4(1) 26℃等温線の作図
問題文
図10上段の地上気温分布に、26℃の等温線を1本の実線で記入する作図問題です。
模範解答
この図で確認するポイント
- 26℃以上の地点と26℃未満の地点の境界
- 観測値間を比例配分して線を通すこと
- 不自然な折れ線ではなく滑らかな等温線にすること
- 等温線の両端を枠線または斜線域の境界まで伸ばすこと
◇ 解説
図10上段では、各地点の地上気温が0.1℃単位で示されています。
たとえば、258は25.8℃、263は26.3℃を意味します。
26℃の等温線を引くには、26℃以上の地点と26℃未満の地点の間を通るようにします。
具体的には、25℃台の地点と26℃台の地点の間を見つけ、その間で26℃になる位置を比例配分して通します。
作図でつまずきやすいポイント
- 観測値を0.1℃単位で読まない
- 26℃以上の点をそのまま結んでしまう
- 気温差に応じた比例配分をせずに線を引く
- 線の端を途中で止めてしまう
■ 問4(1)まとめ
- 26℃等温線は、26℃以上と未満の境界を通す
- 観測値間は比例配分して位置を決める
- 等温線は滑らかに描く
- 両端は枠線または斜線域まで伸ばす
■ 問4(2) シアーラインと強雨エコー・風・気温の関係
問題文
図10〜12を用いて、シアーライン付近のエコー分布、地上風・地上気温の特徴、シアーライン通過時刻、強雨エコーの境港到達時刻を答える問題です。
模範解答
① シアーラインに沿ってその西側に、降水強度20mm/h以上のエコーが分布している。
②
地上風:東側では東寄りの風、西側では北寄りの風となり、シアーライン付近で収束している。
地上気温:東側は西側より高温で、シアーライン付近で温度傾度が大きい。
③
斐川:8時30分
松江:9時50分
移動速度:約11km/h
④ 11時30分ごろ
◇ 解説
① シアーラインと強雨エコーの位置関係
図10下段では、隠岐諸島から島根県東部にかけてシアーラインが示されています。
図11のレーダーエコー合成図を見ると、降水強度20mm/h以上の強いエコーは、シアーラインに沿って、やや西側に分布しています。
記述式解答のポイント:分布型
どこで:シアーラインに沿って、その西側で
なぜ:シアーライン付近の収束により上昇流が強まっているため
何が起きている:降水強度20mm/h以上の強いエコーが分布している
つまずきポイント
「シアーライン付近に強雨がある」だけでは弱いです。
実技答案では、シアーラインのどちら側かまで書くと得点しやすくなります。
② シアーラインを挟んだ地上風と地上気温
シアーラインの東側では東寄りの風、西側では北寄りの風が吹いています。
これらがシアーライン付近でぶつかるため、地上風は収束しています。
また、地上気温を見ると、シアーラインの東側は西側より高温です。
そのため、シアーライン付近では、短い距離で気温が大きく変化しており、温度傾度が大きい状態です。
記述式解答のポイント:分布型・構造型
どこで:山陰地方沿岸部のシアーライン周辺で
なぜ:東寄りの暖かい風と北寄りの冷たい風が接しているため
何が起きている:風の収束と大きな温度傾度が生じている
③ シアーライン通過時刻と移動速度
シアーライン通過時刻は、図12の風向変化から判断します。
斐川では、風向が東寄りから北寄りに急変したのが8時30分ごろです。
松江では、同じ風向変化が9時50分ごろに見られます。
したがって、シアーラインは斐川を8時30分、松江を9時50分に通過したと判断できます。
斐川と松江の東西方向の距離は15kmです。
通過時刻の差は、8時30分から9時50分までの80分です。
80分 = 1.33時間なので、
15 ÷ 1.33 ≒ 11km/h
となります。
計算でつまずきやすいポイント
- 80分を時間に直し忘れる
- 15kmをそのまま80で割ってしまう
- 風速ではなくシアーラインの移動速度を求めている点を忘れる
④ 強雨エコーの境港到達時刻
9日9時時点で、降水強度20mm/h以上の強雨エコーは境港の西側にあります。
この強雨エコーがシアーラインと同じ位置関係を保ったまま東進すると仮定します。
境港までの距離はおよそ28kmです。
シアーラインの移動速度は約11km/hなので、
28 ÷ 11 ≒ 2.5時間
です。
9時から2時間30分後なので、到達時刻は11時30分ごろです。
ここが重要!
この設問では、エコーそのものの発達・衰弱は考えず、形状と強さを変えずに東進するという仮定で計算します。
■ 問4(3) 鉛直断面図から見たシアーラインの立体構造
問題文
図13のメソモデルによる相当温位・風・湿数・鉛直流の鉛直断面図を用いて、シアーライン周辺の相当温位傾度、温度移流、対流不安定、対流混合について空欄を埋める問題です。
模範解答
| ① 高 | ② 上昇 | ③ 温度 | ④ 暖気 | ⑤ 寒気 |
| ⑥ 厚 | ⑦ 300 | ⑧ 高 | ⑨ 対流 | ⑩ 混合 |
◇ 解説
図13では、シアーラインが水平方向の相当温位傾度の大きい領域の東縁にあります。
この断面図から、シアーラインは単なる地上風の境界ではなく、上空まで傾いた立体的な境界であることがわかります。
① 東側で相当温位が高い
シアーラインの東側では、相当温位が相対的に高くなっています。
これは、東側に暖かく湿った空気があることを意味します。
② 東縁付近で強い上昇流
相当温位傾度が大きい領域の東縁付近では、強い上昇流が見られます。
鉛直p速度では、負の値が上昇流を表します。
鉛直流の注意点
鉛直p速度では、負が上昇流、正が下降流です。
③ 湿数が一様なら温度傾度も大きい
相当温位傾度が大きい領域で湿数が比較的一様であれば、湿り具合の差よりも温度差の影響が大きいと考えられます。
したがって、温度傾度も大きいと判断できます。
④⑤ 温度移流
風を地衡風とみなすと、800〜950hPaの温度移流は、
- シアーライン東側:暖気移流
- シアーライン西側:寒気移流
となります。
東側では暖かい空気が流入し、西側では冷たい空気が流入する構造です。
⑥⑦ 対流不安定層の厚さ
対流不安定とは、相当温位が高度とともに小さくなる状態です。
図13では、シアーラインの両側に対流不安定な気層がありますが、東側の方が厚くなっています。
東経134°と東経132°で比較すると、その厚さの差は約300hPaです。
対流不安定の見方
相当温位が上に行くほど低くなると、下層の暖湿空気が持ち上がったときに対流が発達しやすくなります。
⑧⑨⑩ 対流による混合
相当温位傾度が大きい領域の東縁付近の強い上昇流域では、相当温位が周囲より高く、鉛直方向の相当温位勾配が小さくなっています。
これは、対流によって大気が混合されたためと考えられます。
対流が活発になると、上下の空気が入れ替わり、相当温位の鉛直勾配が小さくなります。
記述式解答のポイント:構造型・メカニズム型
どこで:相当温位傾度が大きい領域の東縁付近で
なぜ:強い上昇流に伴う対流が発生したため
何が起きている:相当温位が高く、鉛直方向の相当温位勾配が小さくなっている
■ 問4(4) 境港付近で警戒すべき大気現象
問題文
図10〜12に示されるシアーラインと周辺の気象状況の関係が変化しないとすると、境港付近の陸上で9日昼前から昼過ぎにかけて警戒すべき、雨以外の大気現象を答える問題です。
模範解答
シアーライン通過後の北寄りの非常に強い風。
記述式解答のポイント:リスク型
どこで・いつ:境港付近の陸上で、9日昼前から昼過ぎにかけて
なぜ:シアーライン通過後に北寄りの風が強まるため
何が起きている:非常に強い風に警戒が必要となる
◇ 解説
設問では、「雨以外の大気現象」を問われています。
そのため、大雨そのものではなく、シアーライン通過後に強まる風に注目します。
図10〜12を見ると、シアーラインの通過後は北寄りの風に変わり、風速が強まる傾向があります。
したがって、境港付近ではシアーライン通過後の北寄りの非常に強い風に警戒が必要です。
受験生がつまずきやすいポイント
この設問は「大雨」ではなく、雨以外の大気現象を聞いています。
災害をもたらす現象として、今回は強風に注目します。
■ 問4 全体まとめ
- 26℃等温線は観測値間を比例配分して描く
- 強雨エコーはシアーラインに沿って西側に分布する
- シアーライン東側は東寄り風・高温、西側は北寄り風・低温
- シアーライン通過時刻は風向急変で判断する
- 移動速度は距離÷時間で求める
- 相当温位傾度の大きい領域は上空へ傾く立体構造を持つ
- 境港ではシアーライン通過後の北寄りの非常に強い風に警戒する
※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。
以上、第64回 気象予報士試験 実技1 問4の解説でした!
独学資格塾では、単なる模範解答だけでなく、「受験生がどこでつまずくのか?」を重視して解説しています。
訂正・ご意見などありましたら、ぜひコメントで教えてください!
皆で最高の独学環境を作っていきましょう!
