こんにちは!今回は気象予報士試験 第62回 実技1 問4を解説します!
(1)解説
◇模範解答

◇解説
尾鷲上空の風ベクトルと温度風を描く作図問題です。図13(左)は12日18時、図13(右)は13日3時の尾鷲(志摩半島付近)上空の鉛直風分布を示しています。まず、それぞれの時刻について950hPaと800hPaの風向・風速を読み取ります。凡例から短矢羽=5ノット、長矢羽=10ノット、旗=50ノットなので、12日18時は950hPaで南東の風10ノット、800hPaで南南西の風25ノットと分かります。13日3時は950hPaで南東の風30ノット、800hPaで南南西の風50ノットです。これらをそれぞれ原点Oから矢羽根付きのベクトルで描画します。規定により950hPaの風は実線の矢印、800hPaは破線の矢印で区別します。続いて温度風(thermal wind)ベクトルを描きます。温度風とは「ある2つの等圧面における地衡風の差」であり、下層の風ベクトルの先端から上層の風ベクトルの先端に向かう矢印として表現できます。12日18時の場合、下層950hPa風(南東10kt)の先端から上層800hPa風(南南西25kt)の先端に向けて二重線の矢印を描けば、それが950-800hPa間の温度風となります。13日3時も同様の手順で二重線矢印を描けば完成です。以上を踏まえた解答図が上の図になります。
(2)解説
◇模範解答
①12日18時:南東、13日3時:南東
②13日3時、 理由: 13日3時の方が温度風(風の鉛直シア)が強いため
◇解説
①温度風に対して右側、つまり北半球における高温側はいずれも南東であることからいずれも南東側となる。
②温度風の強さの比較に関する問題です。12日18時と13日3時、いずれも尾鷲上空950〜800hPa間の風向が時計回りに変化していたため両方とも暖気移流でしたが、どちらが強いかを問われました。前述のように13日3時の方が下層・上層の風の差が大きく、温度風ベクトルが長い(強い)ことが読み取れます。従って「13日3時」の方が温度風が強いと答えます。理由としては「13日3時の方が温度風が強い(大きい)ため」とそのまま述べれば十分です。
(3)解説
◇模範解答
① 山頂から見て風上側の斜面を中心に上昇流が分布する。
② 地形による強制上昇
◇解説
①尾鷲付近の上昇流をもたらした要因についての設問です。まず①では、図13(左)(12日18時)の尾鷲周辺における下層の上昇流分布の特徴を述べます。下層(おおむね800hPa以下)の領域に注目すると、紀伊半島の山地東側斜面付近で-50 hPa/h程度の強い上昇流域が広がっており、約860hPa付近まで上昇流が及んでいます。つまり尾鷲のある山の東斜面を中心に上昇流域が存在しているわけです。地形と風の関係から言えば、尾鷲は山の東麓に位置し、地上では南東風が吹き付けていました。南東風に正対する東向き斜面で空気が持ち上げられることで上昇流が発生したと考えられます。解答例では「山頂から見て風上側(=南東風が当たる側)の斜面を中心に上昇流が分布する」とまとめています。これは「尾鷲付近では山の東斜面で上昇流が見られる」という意味を言い換えたものです。字数が25字程度に収まるよう工夫された表現ですが、本質は地形の風上側で上昇流域が形成されることを述べています。
②では、その上昇流をもたらした要因を簡潔に答えます。前述の通り、山の東側斜面で上昇流が起きていたのは「山の斜面によって空気が持ち上げられた」から、すなわち地形性の強制的な上昇が原因です。これを解答には「地形による強制上昇」と簡潔に書きます。まさに南東風が山に当たって強制的に持ち上げられ、積雲対流を発生・発達させたという状況を指しています。このように、大気の現象を地形や力学的要因と結び付けて説明する問題では、原因を端的に表す専門用語(例えば強制上昇、地形性降雨など)を用いるとわかりやすく減点も避けられます。
(4)解説
◇模範解答
上端: 800 hPa、下端: 900 hPa
着目した特徴: 相当温位が上方に向かって低くなっている。
◇解説
対流不安定(条件付不安定とも呼ばれる)の層についての問題です。対流不安定とは「高度とともに相当温位が低下する層」のことで、下層に暖湿空気、上層に冷乾空気があるときに生じます。12日18時の尾鷲上空では、前問までの検討で900hPa〜800hPaの間で相当温位が高度とともに低くなる層があると判明しました。では雨が強まった13日3時にはどうなっていたかというと、図13(右)の相当温位の鉛直分布を見ると850hPa付近(約320K)から500hPa付近(約313K)まで高度が上がるにつれて相当温位が低下しており、非常に厚い層で対流不安定が成立していました。この厚さは約350hPaにも及びます。よって13日3時の対流不安定層の下端は約850hPa(正確な値では850より少し下ですが50hPa刻みで答える指示のため850でなく”900hPa”としました)、上端は500hPa付近(同様に”800hPa”として回答)となります。実際の解答例では「上端: 800 hPa、下端: 900 hPa」と示されています。これは12日18時の対流不安定層(900〜800hPa)と比較して、13日3時には対流不安定の層が遥かに高層まで拡大したことを意味します。
加えて、「判断するにあたり着目した特徴」を記述するよう要求されました。これはつまり、その層が対流不安定であると見なした根拠を書く部分です。着目すべきは相当温位が高度とともに低下していることでした。解答例では「相当温位が上方に向かって低くなっている。」と書かれており、これが根拠の説明に相当します。字数的にも簡潔にまとまっています。このように、安定・不安定の判定には相当温位(もしくは温位)の鉛直勾配を見ることが重要で、下層ほど高相当温位、上層ほど低相当温位であれば対流不安定層となります。13日3時にはその層が非常に厚く、「厚さ約350hPaで12日18時より厚い」という変化が豪雨の一因と考えられるわけです
(5)解説
◇模範解答
① 暖気、② 強い、③ 上昇、④ 強い、⑤ 350、⑥ 厚い
◇解説
第4問最後は、問4全体のまとめ的な文章穴埋め問題でした。ここまでの(1)〜(4)で分析した内容を踏まえ、尾鷲で雨が強まった(13日3時)際に見られた気象要素の変化を述べた文章が与えられています。その文章中の空欄①〜⑥に入る適切な語句や数値を選択肢から選ぶ形式でした。
文章を順に追いながら解説します。まず「12日18時と、雨が強まった時間に近い13日3時の尾鷲上空950〜800hPaの層における温度移流は、共に(①)移流だが、13日3時の方が(②)。」とあります。前述のとおり両時刻とも暖気移流であるため空欄①には「暖気」が入ります。そして13日3時の方が温度風ベクトルが大きい、すなわち暖気移流の強さが勝っているので、空欄②には「強い」が適切です。「13日3時の方が強い(暖気移流)」という意味になります。
次に「尾鷲上空の鉛直流は、13日3時には下層から上層まで(③)流となり、その強さは12日18時より(④)。」という文です。13日3時の鉛直流は全高度で上昇流であったので空欄③には「上昇」が入ります。その強さ(上昇流の強さ)は18時より増大しているため空欄④は「強い」です。結果として「13日3時は全層が上昇流となり、強さも12日18時より強い」という記述になります。実際、12日18時は尾鷲付近で下層〜中層に限定的な上昇流(山の風上側斜面付近まで)でしたが、13日3時には500hPa付近まで-100 hPa/h以上の強い上昇域が広がっていました。この差が豪雨の局地的激化と合致します。
最後の文章「そして、尾鷲上空で対流不安定となっている層の厚さは、13日3時は約(⑤) hPaで12日18時より(⑥)。」についてです。これは(4)で見た対流不安定層の厚さの変化を述べています。13日3時には対流不安定の層厚が約350 hPaに及んでいたので、空欄⑤は「350」となります。設問の指示「50 hPa刻みの整数で答えよ」から、実際は約340〜350 hPa程度でしたが350で答えるのが正しいと分かります。一方、12日18時の厚さは約100 hPa(900〜800hPa)だったので、13日3時の方が「厚い」と表現できます。従って空欄⑥は「厚い」が入ります。この部分を含めて全文を読むと、「13日3時の対流不安定層は約350 hPaと非常に厚く、12日18時より厚い」となり、記述が完結します。
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