【第61回 気象予報士試験 専門知識】問15 3か月予報資料とエルニーニョ・寒気南下をわかりやすく解説

こんにちは!今回は第61回気象予報士試験 専門知識 問15を解説します!

この問題は、3か月予報の基礎資料として示された海面水温平年偏差200hPa流線関数平年偏差500hPa高度平年偏差を読み取る問題です。

ポイントは、図を細かく読み込むというより、エルニーニョ現象時の特徴日本付近の寒気南下のしやすさを結びつけて判断することです。

この問題で重要なポイント

  • 太平洋赤道域の中部〜東部で海面水温が高いとエルニーニョ傾向
  • インド洋熱帯域の海面水温が高いことも予想されている
  • エルニーニョ時にはアリューシャン低気圧が平年より東へずれやすい
  • アリューシャン低気圧付近で低気圧性循環が強まることがある
  • 500hPa高度が日本付近で正偏差なら寒気は南下しにくい
  • 寒気が南下しにくいと、気温は平年より高くなりやすい
  • 季節予報資料では、図A・B・Cをそれぞれ別の役割で読む

■ 問題文

図A〜Cは、3か月予報の基礎資料となる、ある冬(12月〜2月)の数値予報による予想図である。

図Aは海面水温の平年偏差、図Bは200hPa流線関数の平年偏差、図Cは500hPa高度及び平年偏差の予想図である。

これらの図に基づく予想について述べた次の文章の下線部(a)〜(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

図Aでは、太平洋赤道域の中部から東部の海面水温が平年より高く、エルニーニョ現象発生時に見られる特徴が予想されている。また、インド洋シナ海近海からインド洋東部にかけては平年並みかやや低い予想となっている。

図Aの海面水温分布に対応して、インド洋シナ海近海からインド洋東部にかけては対流活動が平年より少ない予想となっており、このことが影響して、図Bでは、中国大陸から日本付近にかけての流れは、平年に比べて中緯度帯で北に、東側では南に蛇行する予想となっている。

図Cでは、(c)日本付近は正偏差に覆われており、平年に比べて寒気が南下しにくいことが予想されている。

図
選択肢 (a) (b) (c)

■ 解答

(a)正
(b)誤
(c)正

■ 解き方の方針

この問題は、図A・図B・図Cを同じように読むのではなく、それぞれ役割を分けて判断します。

図A

海面水温平年偏差

エルニーニョ傾向を確認

図B

200hPa流線関数平年偏差

対流活動や上層循環の特徴を確認

図C

500hPa高度平年偏差

寒気の南下しやすさを確認

まず図Aでエルニーニョ的な状態を確認し、最後に図Cで日本付近が正偏差かどうかを見ると解きやすくなります。

■ (a)太平洋赤道域の中部〜東部の海面水温は高いか

(a)は正しいです。

図Aでは、太平洋赤道域の中部から東部にかけて、海面水温の平年偏差が正になっています。

これは、エルニーニョ現象発生時に見られる代表的な特徴です。

エルニーニョ現象の基本イメージ

太平洋赤道域
中部〜東部

海面水温が平年より高い

エルニーニョ傾向

したがって、図Aからエルニーニョ現象発生時に見られる特徴が予想されている、と判断できます。

(a)は正しいです。

■ (b)インド洋付近の対流活動と上層循環の説明

(b)は誤りです。

ここは、文章が長くて受験生が迷いやすい部分です。

図Aでは、太平洋赤道域だけでなく、インド洋熱帯域でも海面水温が平年より高い領域が見られます。

海面水温が高い海域では、一般に大気への水蒸気供給が多く、対流活動が活発になりやすいです。

(b)のひっかけ

海面水温が高い

対流活動は活発になりやすい

しかし問題文

対流活動が平年より少ない

不適切

問題文では、インド洋付近で対流活動が平年より少ない予想として説明しています。

しかし、図Aの海面水温分布から考えると、この説明は適切ではありません。

したがって(b)は誤りです。

■ (c)日本付近は正偏差で寒気が南下しにくいか

(c)は正しいです。

図Cでは、日本付近が500hPa高度の正偏差域に覆われています。

500hPa高度が平年より高いということは、その付近の大気が相対的に暖かく、寒気が入りにくい状態を示します。

500hPa高度偏差の見方

500hPa高度が正偏差

平年より高度が高い

寒気が南下しにくい

気温は高めになりやすい

逆に、500hPa高度が負偏差であれば、寒気が南下しやすい状態と判断しやすくなります。

今回の図Cでは、日本付近は正偏差に覆われているため、平年に比べて寒気が南下しにくいことが予想されています。

したがって(c)は正しいです。

■ 選択肢確認表

項目 判定 理由
(a) 太平洋赤道域の中部〜東部で海面水温が平年より高く、エルニーニョ傾向が見られる
(b) インド洋付近の海面水温や対流活動の説明が図Aの特徴と合わない
(c) 日本付近は500hPa高度の正偏差に覆われ、寒気が南下しにくいと判断できる

以上より、正しい組み合わせはです。

■ 受験生がつまずくポイント

1. 図Aを「海面水温が高い・低い」だけで終わらせてしまう

図Aでは、太平洋赤道域の中部〜東部が高温偏差かどうかを確認します。

ここが高温偏差なら、エルニーニョ現象時の特徴として判断できます。

2. インド洋付近の説明文を読み流してしまう

(b)は文章が長く、もっとも読み飛ばしやすい部分です。

「海面水温が高いのに対流活動が少ない」という説明になっていないかを確認することが大切です。

3. 500hPa高度正偏差の意味があいまいになる

500hPa高度の正偏差は、平年より高度が高い状態です。

日本付近が正偏差なら、寒気は南下しにくく、気温は高めになりやすいと判断します。

4. 「正偏差=寒気が強い」と逆に考えてしまう

寒気が強く南下しているときは、500hPa高度が低くなりやすく、負偏差として表れます。

正偏差は、寒気が入りにくい側として整理しましょう。

■ まとめ

  • 図Aでは、太平洋赤道域の中部〜東部で海面水温が平年より高い
  • これはエルニーニョ現象時に見られる特徴である
  • (b)のインド洋付近の対流活動に関する説明は不適切
  • 図Cでは、日本付近が500hPa高度の正偏差に覆われている
  • 日本付近では寒気が南下しにくいと判断できる

正解は②

(a)正
(b)誤
(c)正

この問題で必ず押さえたいこと

太平洋赤道域
中部〜東部の高温偏差

エルニーニョ傾向

海面水温が高い海域

対流活動は活発になりやすい

日本付近の500hPa高度正偏差

寒気が南下しにくい

季節予報資料では、海面水温・上層循環・500hPa高度をつなげて読むことが重要です。

※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。

以上、第61回 専門知識 問15の解説でした!

訂正・ご意見などありましたら、ぜひコメントで教えてください!
皆で最高の独学環境を作っていきましょう!