【第61回 気象予報士試験 専門知識】問10 台風の発達条件・アウターバンド・温帯低気圧化をわかりやすく解説

こんにちは!今回は第61回気象予報士試験 専門知識 問10を解説します!

この問題は、台風の一般的な特徴や台風予報について問う問題です。

特に重要なのは、台風の発達には水平風の鉛直シアーが弱いことが有利である、という点です。

ここを「上昇流を維持するにはシアーが強い方がよさそう」と考えてしまうと、(a)で引っかかります。

この問題で重要なポイント

  • 台風の発達には、水平風の鉛直シアーが弱いことが有利
  • 鉛直シアーが強いと積乱雲の構造が崩れやすい
  • アウターバンドでは竜巻が発生することがある
  • 台風になる前の熱帯低気圧の進路予報は不確実性が大きい
  • 発生直後の台風より、台風になる前の熱帯低気圧の予報円は大きくなりやすい
  • 台風が温帯低気圧化すると、強風域が広がることがある
  • 温帯低気圧化では、中心から離れた場所で風が強くなることもある

■ 問題文

台風の一般的な特徴や台風予報について述べた次の文(a)〜(d)の正誤について、下記の①〜⑤の中から正しいものを1つ選べ。

(a)台風の発達期において、積乱雲が上昇流を維持し続けるためには、水平風の鉛直シアーが強い必要があることから、一般に水平風の鉛直シアーが強いほど台風が発達しやすい。

(b)台風の周辺の外側降雨帯(アウターバンド)では、竜巻が発生することがある。

(c)一般に、台風になる前の発達する熱帯低気圧の進路予報の精度は、発生直後の台風の進路予報の精度より低く、その予報円は大きい。

(d)台風が温帯低気圧に変わる過程では、強風域が広がったり、中心から離れた場所で風が最も強くなることがある。

選択肢 内容
(a)のみ誤り
(b)のみ誤り
(c)のみ誤り
(d)のみ誤り
すべて正しい

■ 解答

(a)のみ誤り

■ 解き方の方針

この問題は、台風の発達条件を正しく押さえていれば解きやすいです。

台風の発達

積乱雲が中心付近でまとまる

暖気核構造を維持する

鉛直シアーは弱い方がよい

水平風の鉛直シアーが強いと、下層と上層で風の向きや速さが大きく違うため、積乱雲の構造が傾いたり、中心付近の対流が崩れたりしやすくなります。

■ (a)鉛直シアーが強いほど台風は発達しやすいか

(a)は誤りです。

台風が発達するには、中心付近で積乱雲がまとまり、上昇流が維持される必要があります。

このとき、水平風の鉛直シアーが強いと、下層と上層で風が大きくずれるため、積乱雲が鉛直に立ち上がりにくくなります。

鉛直シアーが強いとどうなるか

下層の風と上層の風が大きく違う

積乱雲が傾く

中心付近の対流がまとまりにくい

台風は発達しにくい

受験生がつまずくのは、「強い上昇流には強いシアーが必要そう」と考えてしまう点です。

しかし台風では、積乱雲が中心付近でまとまって暖気核を維持することが重要です。

そのため、一般に水平風の鉛直シアーは弱い方が台風の発達に有利です。

したがって、「鉛直シアーが強いほど台風が発達しやすい」とする(a)は誤りです。

■ (b)アウターバンドで竜巻が発生することがあるか

(b)は正しいです。

台風の周辺には、中心から離れた外側降雨帯、つまりアウターバンドが形成されることがあります。

アウターバンドでは、発達した積乱雲に伴って突風や竜巻が発生することがあります。

アウターバンドのイメージ

台風中心から離れた外側

帯状の降雨域

発達した積乱雲

竜巻・突風の可能性

したがって(b)は正しいです。

■ (c)台風になる前の熱帯低気圧の進路予報

(c)は正しいです。

台風になる前の発達中の熱帯低気圧は、まだ構造がはっきりしないことが多く、中心位置や発達の見通しにも不確実性があります。

そのため、一般に発生直後の台風よりも進路予報の精度は低くなりやすく、予報円は大きくなります。

予報円が大きくなる理由

台風になる前の熱帯低気圧

中心や構造が不明瞭

進路予報の不確実性が大きい

予報円が大きい

したがって(c)は正しいです。

■ (d)温帯低気圧化で強風域が広がるか

(d)は正しいです。

台風が温帯低気圧へ変わる過程では、構造が熱帯低気圧型から温帯低気圧型へ変化します。

台風のときは、中心付近に強い風が集中しやすい構造です。

一方、温帯低気圧化が進むと、前線構造を伴いながら、強風域が広がったり、中心から離れた場所で風が最も強くなることがあります。

温帯低気圧化のイメージ

台風

中心付近に強風が集中

温帯低気圧化

前線構造を持つ

強風域が広がる

中心から離れた場所で強風

したがって(d)は正しいです。

■ 選択肢確認表

項目 判定 理由
(a) 台風の発達には、一般に水平風の鉛直シアーが弱いことが有利
(b) アウターバンドでは発達した積乱雲により竜巻が発生することがある
(c) 台風になる前の熱帯低気圧は不確実性が大きく、予報円が大きくなりやすい
(d) 温帯低気圧化の過程で強風域が広がったり、中心から離れた場所で風が強くなることがある

以上より、誤っているのは(a)のみなので、正解はです。

■ 受験生がつまずくポイント

1. 「鉛直シアーが強い=発達しやすい」と考えてしまう

台風では、積乱雲が中心付近でまとまって立ち上がることが重要です。

鉛直シアーが強いと、対流が崩れやすくなり、台風は発達しにくくなります。

2. アウターバンドを単なる雨域だと思ってしまう

アウターバンドは、台風中心から離れた外側の降雨帯です。

発達した積乱雲を伴うことがあり、竜巻や突風の原因になることがあります。

3. 台風になる前の熱帯低気圧も台風と同じ精度で予報できると思ってしまう

台風になる前は、中心位置や構造がはっきりしないことが多いです。

そのため、一般に進路予報の精度は低く、予報円は大きくなります。

4. 温帯低気圧化すると弱くなるだけだと思ってしまう

温帯低気圧化は、単に風が弱まることではありません。

構造が変化することで、強風域が広がったり、中心から離れた場所で風が強くなることがあります。

■ まとめ

  • 台風の発達には、水平風の鉛直シアーが弱いことが有利
  • 鉛直シアーが強いと、積乱雲の構造が崩れやすい
  • アウターバンドでは竜巻が発生することがある
  • 台風になる前の熱帯低気圧は進路予報の不確実性が大きい
  • 温帯低気圧化では強風域が広がることがある

正解は①

(a)のみ誤り

この問題で必ず押さえたいこと

台風の発達

鉛直シアーは弱い方がよい

鉛直シアーが強い

積乱雲が傾く

発達しにくい

温帯低気圧化

強風域が広がることがある

台風問題では、「発達条件」と「温帯低気圧化による構造変化」を分けて押さえましょう。

※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。

以上、第61回 専門知識 問10の解説でした!

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