【第58回 気象予報士試験 専門知識】問9 積乱雲の発達・冷気プール・かなとこ雲をわかりやすく解説
こんにちは!今回は第58回 気象予報士試験 専門知識 問9を解説します!
この問題は、日本付近で発生する積乱雲について、成長期・成熟期・降水過程・かなとこ雲の広がりを確認する問題です。
積乱雲は頻出テーマですが、受験生がつまずきやすいのは、「暖かい雨」と「氷粒子を含む降水過程」、そしてかなとこ雲が風下側に広がるという点です。
この問題で重要なポイント
- 成長期の積乱雲内部は、主に上昇流が卓越する。
- 上昇流がある雲内では、周囲より温度が高いことが多い。
- 成熟期には、積乱雲内部に下降流が形成される。
- 下降流域の地表付近では、冷気プールが形成される。
- 冷気プールにより、局所的な高気圧が見られることがある。
- 日本付近の積乱雲では、氷粒子が関わる冷たい雨の過程が多い。
- かなとこ雲を形成する巻雲は、主に風下側に広がる。
■ 問題文
日本付近で発生する積乱雲について述べた次の文(a)〜(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。
(a) 成長期において積乱雲が上方にのびていくとき、積乱雲の内部はほぼ上昇流となっており、雲の中の温度はまわりより高くなっている。
(b) 積乱雲が成熟期に入り、積乱雲の中に下降流ができると、下降流域の地表面付近では冷気プールが形成され、局所的な高気圧がみられることがある。
(c) 夏季に地表付近が高温となることにより発達する積乱雲では、降水過程に氷粒子が関わらない「暖かい雨」であることが多い。
(d) 積乱雲の雲頂が対流圏界面に到達すると、積乱雲の雲頂からの流出流と上空の一般風との収束により、かなとこ雲を形成する巻雲は主に風上側に広がる。
| 選択肢 | (a) | (b) | (c) | (d) |
|---|---|---|---|---|
| ① | 正 | 正 | 正 | 誤 |
| ② | 正 | 正 | 誤 | 誤 |
| ③ | 正 | 誤 | 正 | 正 |
| ④ | 誤 | 正 | 誤 | 誤 |
| ⑤ | 誤 | 誤 | 誤 | 正 |
■ 解答
②
(a) 正
(b) 正
(c) 誤
(d) 誤
■ 解き方の方針
この問題は、積乱雲の一生を順番に考えると解きやすいです。
成長期
↓
上昇流が卓越
↓
雲は上へ発達
成熟期
↓
降水が強まる
↓
下降流が形成
下降流
↓
地表付近に冷気プール
↓
局所的な高気圧
雲頂が対流圏界面へ
↓
上に伸びにくくなる
↓
風下側へかなとこ雲が広がる
特に(c)と(d)は、言葉だけ見るとそれらしく見えますが、試験では引っかけになりやすい部分です。
■ (a) 成長期の積乱雲内部は上昇流か
(a)は正しいです。
積乱雲の成長期では、暖かく湿った空気が強く上昇し、雲が上方へ発達していきます。
この段階では、積乱雲の内部はほぼ上昇流となっています。
上昇している空気は周囲より暖かく、浮力をもっているため、雲の中の温度はまわりより高くなっています。
成長期の積乱雲のイメージ
地表付近の暖かく湿った空気
↓
上昇
雲内は周囲より暖かい
↓
浮力がある
上昇流が卓越
↓
積乱雲が上へ発達
したがって、(a)は正しいです。
■ (b) 成熟期の下降流と冷気プール
(b)は正しいです。
積乱雲が成熟期に入ると、雲内で降水粒子が発達し、雨やあられなどが落下し始めます。
この降水粒子の落下や、雨滴の蒸発による冷却によって、雲の中に下降流が形成されます。
下降流が地表付近に達すると、冷たい空気が地表付近に広がり、冷気プールが形成されます。
成熟期の流れ
降水粒子が落下
↓
周囲の空気を引き下げる
雨滴の蒸発
↓
空気が冷える
冷たい空気が下降
↓
地表付近に冷気プール
冷たい空気は重い
↓
局所的な高気圧
冷気プールでは冷たく重い空気が地表付近にたまるため、局所的に気圧が高くなることがあります。
したがって、(b)は正しいです。
■ (c) 夏季の積乱雲は「暖かい雨」が多いのか
(c)は誤りです。
「暖かい雨」とは、雲の中で氷粒子が関わらず、水滴同士の併合などによって降る雨です。
たしかに、熱帯の浅い雲などでは、暖かい雨の過程が重要になることがあります。
しかし、日本付近で夏季に発達する積乱雲は、雲頂が高くまで達し、雲内に0℃以下の領域を含むことが多いです。
そのため、氷晶・雪・あられなどの氷粒子が降水過程に関わることが多くなります。
ここが受験生のつまずきポイントです
「夏は暑いから暖かい雨」と考えてしまうと(c)を正しいと判断してしまいます。
しかし、見るべきなのは地表の気温ではなく、積乱雲の上部が0℃以下の高さまで発達しているかです。
夏の地表
↓
高温
でも積乱雲は
高い高度まで発達
雲の上部
↓
0℃以下
氷粒子が関わる
↓
暖かい雨とは限らない
したがって、「氷粒子が関わらない暖かい雨であることが多い」とする(c)は誤りです。
■ (d) かなとこ雲は主に風上側に広がるのか
(d)は誤りです。
積乱雲が発達して雲頂が対流圏界面付近に達すると、それ以上は上方向に伸びにくくなります。
そのため、雲頂付近の空気や氷晶は横方向に広がり、かなとこ雲を形成します。
このかなとこ雲は、上空の一般風によって流されるため、主に風下側に広がります。
かなとこ雲の広がり方
雲頂が対流圏界面へ到達
↓
上に伸びにくい
雲頂付近の氷晶が横へ広がる
↓
かなとこ雲
上空の一般風に流される
↓
主に風下側へ広がる
問題文では「主に風上側に広がる」とされています。
この部分が誤りです。
したがって、(d)は誤りです。
■ 選択肢確認表
| 項目 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| (a) | 正 | 成長期の積乱雲では上昇流が卓越し、雲内は周囲より高温となっている。 |
| (b) | 正 | 成熟期には下降流が形成され、地表付近に冷気プールや局所的な高気圧がみられることがある。 |
| (c) | 誤 | 日本付近の発達した積乱雲では、氷粒子が降水過程に関わることが多い。 |
| (d) | 誤 | かなとこ雲は上空の一般風に流され、主に風下側へ広がる。 |
以上より、正しい組み合わせは②です。
■ 受験生がつまずくポイント
1. 成長期と成熟期を混同する
成長期は上昇流が主体、成熟期になると下降流も発達します。積乱雲の一生を段階ごとに整理しましょう。
2. 冷気プールと局地的高気圧の関係がわかりにくい
下降流で冷たい空気が地表に広がると、冷たく重い空気がたまります。そのため、地表付近では局所的に気圧が高くなることがあります。
3. 「夏=暖かい雨」と考えてしまう
夏季の積乱雲でも、雲頂は高く発達し、0℃以下の領域を含むことが多いです。地表が暑いことと、雲の中の降水過程は分けて考えましょう。
4. かなとこ雲の広がる向きを逆に覚える
かなとこ雲は上空の一般風に流されるため、主に風下側へ広がります。「風上側」ではありません。
5. 氷粒子が関わる降水過程を見落とす
日本付近の発達した積乱雲では、氷晶・雪・あられなどを経由した降水過程が多くなります。「暖かい雨」とは限りません。
■ まとめ
- 成長期の積乱雲では、内部はほぼ上昇流となる。
- 成長期の雲内は周囲より高温で、浮力により上方へ発達する。
- 成熟期には下降流が生じ、地表付近に冷気プールが形成される。
- 冷気プールにより局所的な高気圧がみられることがある。
- 日本付近の発達した積乱雲では、氷粒子が降水過程に関わることが多い。
- かなとこ雲は、主に風下側へ広がる。
- (a)正、(b)正、(c)誤、(d)誤。
正解は②
この問題で必ず押さえたいこと
成長期
↓
上昇流が卓越
↓
雲内は周囲より高温
成熟期
↓
降水が強まる
↓
下降流が形成
下降流
↓
冷たい空気が地表へ
↓
冷気プール
↓
局所的な高気圧
日本付近の積乱雲
↓
高く発達
↓
氷粒子が関わる降水過程が多い
かなとこ雲
↓
上空の一般風に流される
↓
風下側へ広がる
※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。
以上、第58回 専門知識 問9の解説でした!
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皆で最高の独学環境を作っていきましょう!
