【第57回 気象予報士試験 専門知識】問8 冬季の降水現象・筋状雲・山雪型・雪雨判別をわかりやすく解説

こんにちは!今回は第57回 気象予報士試験 専門知識 問8を解説します!

この問題は、冬季の日本周辺で見られる筋状の対流雲、日本海側の大雪、雪と雨の判別について問う問題です。

受験生がつまずきやすいのは、「寒気が強い=雲が高く発達して対流圏界面まで届く」と考えてしまうところです。

冬型の筋状雲は、たしかに海面からの熱と水蒸気の供給で発達しますが、上空には逆転層があることが多く、雲頂はそこで抑えられます。

この問題で重要なポイント

  • 大陸から吹き出す下層寒気が低温ほど、海面との温度差が大きくなる。
  • 海面との温度差が大きいほど、対流は早く始まりやすい。
  • そのため、筋状対流雲の発生開始地点は大陸の海岸線に近くなる。
  • 冬型の筋状対流雲は、対流圏界面まで発達するとは限らない。
  • 上空の逆転層が雲頂を抑えることが多い。
  • 等圧線が南北に縦縞状に並ぶと、北西季節風が吹き、山雪型になりやすい。
  • 雪雨判別では、気温だけでなく湿度も重要である。

■ 問題文

冬季の日本周辺の降水に関わる現象について述べた次の文(a)〜(d)の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

(a) 冬型の気圧配置のときに、日本海上で筋状の対流雲ができ始める地点と大陸の海岸線との間の距離は、海面水温や風速など他の条件が同じならば、大陸から吹き出す大気の下層の気温が低いほど短い。

(b) 冬型の気圧配置のとき、大陸からの寒気の吹き出しにより形成される筋状の対流雲は、強い不安定により発達して雲頂が対流圏界面に達することが多い。

(c) 上層の気圧の谷が日本列島の東に抜け、低気圧が日本の東海上や千島方面で発達して、本州付近では上空に寒気が入り、地上の等圧線が南北の縦縞に並ぶときには、日本海側の山沿いの地方を中心に山雪型と呼ばれる大雪になることが多い。

(d) 地上気温が0℃以上であっても降雨ではなく降雪となることがある。この場合、降雨になるか降雪になるかは、地上付近の気温とともに湿度も影響し、気温が同じであれば湿度が低いほど雪になる可能性が高くなる。

選択肢 (a) (b) (c) (d)

■ 解答

(a) 正
(b) 誤
(c) 正
(d) 正

■ 解き方の方針

この問題は、冬型の降水を3つに分けて考えると解きやすいです。

大陸から寒気が吹き出す

日本海で熱と水蒸気を受け取る

筋状雲が発生

北西季節風

日本海側の山地にぶつかる

山沿いで大雪

雪か雨か

気温だけでなく湿度も見る

湿度が低いほど雪になりやすい

■ (a) 下層の気温が低いほど筋状雲の発生開始地点は海岸線に近い?

(a)は正しいです。

冬型の気圧配置では、大陸から冷たい空気が日本海へ吹き出します。 日本海の海面は相対的に暖かいため、下層の空気は海面から熱と水蒸気を受け取ります。

大陸から吹き出す空気の気温が低いほど、海面との温度差が大きくなります。 温度差が大きいほど下層大気は不安定になりやすく、対流が早く始まります。

筋状雲ができ始めるイメージ

下層寒気が強い

海面との温度差が大きい

対流が早く始まる

海岸線から近い場所で筋状雲が発生

したがって、(a)は正しいです。

■ (b) 筋状対流雲は対流圏界面まで発達することが多い?

(b)は誤りです。

ここがこの問題の最大のひっかけです。

冬型の気圧配置では、海面から熱と水蒸気が供給されるため、下層では対流が起こりやすくなります。 その結果、筋状の対流雲が発生します。

しかし、冬季の日本海上の対流雲は、夏の積乱雲のように対流圏界面まで発達することが多いわけではありません。

上空には、寒気の吹き出しに伴う沈降などによって形成された逆転層が存在することが多く、この逆転層が雲の上限になります。

ここで止まりやすいポイント

「寒気が強い」「不安定」という言葉を見ると、雲がどこまでも高く発達するように感じます。

しかし、冬型の筋状雲では、上空の逆転層により雲頂が抑えられることが多いです。

冬型の筋状雲の鉛直イメージ

日本海から熱・水蒸気供給

下層で対流発生

筋状雲

上空の逆転層

雲頂を抑える

対流圏界面までは届きにくい

したがって、(b)は誤りです。

■ (c) 等圧線が南北の縦縞に並ぶと山雪型になりやすい?

(c)は正しいです。

上層の気圧の谷が日本列島の東に抜け、低気圧が日本の東海上や千島方面で発達すると、日本付近では冬型の気圧配置が強まります。

このとき、地上天気図では等圧線が南北方向に縦縞状に並びます。 すると、日本付近には北西季節風が吹き込みます。

北西季節風は日本海を渡る間に水蒸気を多く含み、日本列島の山地にぶつかって上昇します。 そのため、日本海側の山沿いで雪雲が発達し、大雪になりやすくなります。 これが山雪型です。

山雪型のイメージ

等圧線が南北の縦縞

北西季節風が吹く

日本海で水蒸気を補給

山地にぶつかって上昇

山沿いで大雪

したがって、(c)は正しいです。

■ (d) 気温が同じなら湿度が低いほど雪になりやすい?

(d)は正しいです。

地上気温が0℃以上でも、雪になることがあります。 この判断では、気温だけでなく湿度が重要です。

湿度が低い空気中を雪片が落下すると、雪片の一部が蒸発・昇華します。 このとき周囲の空気から熱を奪うため、空気が冷やされます。

その結果、雪片が融けにくくなり、地上気温が0℃以上でも雪として地上に届くことがあります。

湿度が低いと雪になりやすい理由

湿度が低い

雪片が蒸発・昇華しやすい

周囲の空気を冷やす

雪片が融けにくい

雪になりやすい

このため、気温が同じであれば、湿度が低いほど雪になる可能性が高くなります。

したがって、(d)は正しいです。

■ 選択肢確認表

選択肢 判定 理由
(a) 下層寒気が低温ほど海面との温度差が大きく、対流が早く始まるため、筋状雲の発生開始地点は海岸線に近くなる。
(b) 冬型の筋状対流雲は、上空の逆転層に雲頂を抑えられることが多く、対流圏界面まで達することが多いわけではない。
(c) 等圧線が南北に並ぶ冬型では北西季節風が吹き、日本海側の山沿いで山雪型の大雪になりやすい。
(d) 湿度が低いと雪片の蒸発・昇華による冷却が起こり、気温が同じなら雪になりやすいため。

以上より、組み合わせは(a)正、(b)誤、(c)正、(d)正です。

したがって、正解はです。

■ 受験生がつまずくポイント

1. 「寒気が強い=雲が対流圏界面まで届く」と考えてしまう

冬型の筋状雲は下層対流で発生しますが、上空の逆転層に雲頂を抑えられることが多いです。夏の積乱雲のイメージで考えると間違えます。

2. 筋状雲の発生地点と寒気の強さの関係が逆になる

下層寒気が強いほど海面との温度差が大きく、早く対流が始まります。そのため、筋状雲は大陸の海岸線に近いところから発生しやすくなります。

3. 山雪型と里雪型の区別があいまいになる

等圧線が南北に並び、北西季節風が山地にぶつかると山雪型になりやすいです。山沿いで大雪になるイメージを持ちましょう。

4. 雪雨判別を気温だけで考えてしまう

地上気温が0℃以上でも雪になることがあります。湿度が低いと蒸発・昇華による冷却が効き、雪片が融けにくくなります。

5. 「湿度が低い=雪が融けやすい」と誤解してしまう

湿度が低いと、雪片が蒸発・昇華しやすくなります。その過程で周囲を冷やすため、むしろ雪として残りやすくなります。

■ まとめ

  • 下層寒気が低温ほど、海面との温度差が大きくなり、筋状雲は海岸線に近いところから発生しやすい。
  • 冬型の筋状対流雲は、対流圏界面まで達することが多いわけではない。
  • 上空の逆転層が雲頂を抑えることが多い。
  • 等圧線が南北に並ぶ冬型では、北西季節風により日本海側の山沿いで山雪型の大雪になりやすい。
  • 雪雨判別では、気温だけでなく湿度も重要である。
  • 気温が同じなら、湿度が低いほど雪になりやすい。

正解は②

この問題で必ず押さえたいこと

下層寒気が強い

海面との温度差が大きい

対流が早く始まる

筋状雲は海岸線に近いところから発生

冬型の筋状雲

下層対流で発生

上空の逆転層で雲頂が抑えられる

対流圏界面まで達するとは限らない

北西季節風

日本海で水蒸気補給

山地で上昇

山雪型の大雪

湿度が低い

雪片が蒸発・昇華

周囲を冷却

雪になりやすい

※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。

以上、第57回 専門知識 問8の解説でした!

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