【第56回 気象予報士試験 専門知識】問6 数値予報プロダクトの格子点値・降水量・モデル地形をわかりやすく解説

こんにちは!今回は第56回 気象予報士試験 専門知識 問6を解説します!

この問題は、気象庁が作成している数値予報モデルのプロダクトを利用するときの注意点を問う問題です。

ここでいうプロダクトとは、ガイダンスに加工される前の格子点値のことです。

受験生がつまずきやすいのは、数値予報の値を「その地点そのものの値」と考えてしまうところです。

しかし、数値予報の格子点値は、ピンポイントの実測値ではありません。 また、降水量や地上気温・風についても、実際の地形との違いを意識する必要があります。

この問題で重要なポイント

  • 格子点値は、格子点に対応する地点のピンポイントの値ではない。
  • 格子点値は、その格子点付近の空間を代表する値である。
  • 数値予報プロダクトの降水量は、予想対象時刻の瞬間的な降水強度ではない。
  • 降水量は、一定時間内に積算された降水量として扱う。
  • 地上気温や地上風などは、実際の地形ではなくモデル地形に対して算出される。
  • モデル地形は、実際の地形を格子間隔に合わせて平滑化したものである。
  • 山地や海岸付近では、実際の地形との差が予測誤差につながりやすい。

■ 問題文

気象庁が作成している数値予報モデルのプロダクト(ここではガイダンスに加工される前の格子点値をさす)の利用にあたって、留意すべき事項について述べた次の文(a)〜(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

(a) 出力される格子点値は、格子点に対応する地点の値をピンポイントで表しているのではなく、その格子点付近の空間の代表的な値を表している。

(b) 出力される降水量は、予想対象時刻における降水強度を表している。

(c) 出力される地上における気温や風などの物理量は、実際の地形ではなく、モデル地形に対して算出される。

選択肢 (a) (b) (c)

■ 解答

(a) 正
(b) 誤
(c) 正

■ 解き方の方針

この問題は、数値予報プロダクトを「観測値」や「地点予報」だと思わないことが大切です。

数値予報モデル

大気を格子に分けて計算

格子点値として出力

格子点付近の代表値

そして、降水量と降水強度の違い、実際の地形とモデル地形の違いを押さえます。

降水量

一定時間に降った量

降水強度

単位時間あたりの降り方の強さ

地上気温・風

実際の地形ではなく
モデル地形に対して計算

■ (a) 格子点値はピンポイントの値ではない?

(a)は正しいです。

数値予報モデルでは、大気を格子に区切って計算します。

そのため、出力される格子点値は、地図上のある一点の実際の値をピンポイントで示しているわけではありません。

あくまで、その格子点付近の空間を代表する値です。

格子点値のイメージ

格子点の値

その地点そのものの値ではない

周辺空間の代表値

たとえば、格子点の近くに観測所があっても、その観測所の気温や風と完全に一致するとは限りません。

ここで止まりやすいポイント

「格子点が地図上にあるなら、その場所の値でしょ?」と思いやすいですが、違います。

格子点値は、モデル内で表現された空間の代表値です。

したがって、(a)は正しいです。

■ (b) 降水量は予想対象時刻の降水強度?

(b)は誤りです。

ここはかなり引っかかりやすいところです。

問題文では、出力される降水量が「予想対象時刻における降水強度」を表しているとしています。

しかし、数値予報プロダクトの降水量は、通常、ある時間内に降った積算降水量として扱います。

つまり、「その時刻ちょうどの雨の強さ」ではありません。

降水量と降水強度の違い

降水量

一定時間に降った雨の量
例:前1時間降水量、前3時間降水量

降水強度

その時点の降り方の強さ
例:mm/h

受験生が迷いやすいのは、どちらも「雨の強さっぽい情報」に見えることです。

しかし、試験では降水量=一定時間の積算降水強度=単位時間あたりの強さとして区別します。

ここがひっかけ

「降水量」と書いてあるのに、「降水強度」と言い換えているところが誤りです。

降水量は、予想対象時刻までの一定時間の積算量として読む必要があります。

したがって、(b)は誤りです。

■ (c) 地上気温や風はモデル地形に対して算出される?

(c)は正しいです。

数値予報モデルの中では、実際の地形をそのまま細かく再現しているわけではありません。

モデルの格子間隔に合わせて、地形はある程度なめらかに表現されます。

これをモデル地形と考えるとわかりやすいです。

モデル地形のイメージ

実際の地形

山・谷・海岸線が細かい

数値予報モデル

格子間隔に合わせて地形を表現

実際よりなめらかなモデル地形

そのため、地上気温や地上風などの物理量は、実際の地形ではなく、モデル地形に対して計算されます。

特に山地では、実際の標高とモデル地形の標高がずれることがあります。

標高が違えば気温も変わりますし、地形による風の流れも変わります。

受験生がつまずきやすいところ

「地上気温」と聞くと、実際の地上の値だと思いがちです。

しかし、数値予報モデル上の地上とは、モデル地形における地上です。

したがって、(c)は正しいです。

■ ガイダンスと格子点値の違いも押さえる

問題文では、「ここではガイダンスに加工される前の格子点値をさす」と書かれています。

ここも大切です。

格子点値は、モデルから出てきた生の予測値です。

一方、ガイダンスは、統計的な補正などを加えて、地点予報や確率予報などに利用しやすくした情報です。

格子点値とガイダンス

数値予報モデル

格子点値

モデルの生データに近い

格子点値

統計補正・加工

ガイダンス

今回の問題は、ガイダンスではなく、加工される前の格子点値について聞いています。

そのため、ピンポイントの地点値ではなく、モデル格子としての代表値という理解が重要になります。

■ 選択肢確認表

選択肢 判定 理由
(a) 格子点値は、格子点に対応する地点のピンポイントの値ではなく、その格子点付近の空間を代表する値であるため。
(b) 出力される降水量は、予想対象時刻の瞬間的な降水強度ではなく、一定時間の積算降水量として扱うため。
(c) 地上気温や地上風などは、実際の地形ではなく、モデル地形に対して算出されるため。

以上より、組み合わせは(a)正、(b)誤、(c)正です。

したがって、正解はです。

■ 受験生がつまずくポイント

1. 格子点値をピンポイント予報だと思ってしまう

格子点値は、特定地点の実測値やピンポイント予報ではありません。格子点付近の空間を代表する値です。

2. 降水量と降水強度を混同する

降水量は一定時間に降った量です。降水強度は単位時間あたりの降り方の強さです。問題文でこの2つを入れ替えられると要注意です。

3. 「予想対象時刻」という言葉に引っ張られる

予想対象時刻の値と聞くと、その瞬間の値のように感じます。しかし、降水量はその時刻までの一定時間の積算量として扱われます。

4. モデル地形と実際の地形を同じだと思ってしまう

数値予報モデルでは、地形は格子間隔に合わせて平滑化されます。実際の山や谷、海岸線を完全に再現しているわけではありません。

5. 地上気温・地上風を実際の地上そのものの値だと思う

モデルでいう地上は、モデル地形上の地上です。実際の標高や地形との差が、気温や風の誤差につながります。

■ まとめ

  • 格子点値は、格子点付近の空間を代表する値である。
  • 格子点値は、ピンポイントの地点値ではない。
  • 降水量は、予想対象時刻の瞬間的な降水強度ではない。
  • 降水量は、一定時間の積算量として考える。
  • 地上気温や地上風は、実際の地形ではなくモデル地形に対して算出される。
  • モデル地形は、実際の地形を格子間隔に合わせて平滑化したものである。

正解は②

この問題で必ず押さえたいこと

格子点値

地点ピンポイントではない

周辺空間の代表値

降水量

瞬間の雨の強さではない

一定時間の積算量

地上気温・地上風

実際の地形ではなく
モデル地形に対して算出

※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。

以上、第56回 専門知識 問6の解説でした!

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