【第54回 気象予報士試験 専門知識】問11 可視画像・赤外画像・水蒸気画像の判読をわかりやすく解説

こんにちは!今回は第54回 気象予報士試験 専門知識 問11を解説します!

この問題は、気象衛星画像の可視画像・赤外画像・水蒸気画像を使って、A〜Eの領域を判読する問題です。

受験生がつまずきやすいのは、画像を見たときに「どこを見るべきか」が分からなくなるところです。

可視画像では雲の形、赤外画像では雲頂高度、水蒸気画像では上・中層の湿りや暗域を読む、という役割分担を意識すると整理しやすくなります。

この問題で重要なポイント

  • 可視画像は、雲の形や厚さを見やすい。
  • 赤外画像は、雲頂温度から雲頂高度を判断する。
  • 水蒸気画像は、対流圏中・上層の水蒸気分布を判断する。
  • 白く明るい赤外画像の雲域は、雲頂高度が高い。
  • 水蒸気画像の暗域は、上空の乾燥域や下降流を示すことがある。
  • トランスバースラインは、上層の強風軸や水平発散の目安になる。
  • 台風から温帯低気圧化した雲域では、中心付近に雲の隙間が見られることがある。

■ 問題文

図は、9月のある日の15時に気象衛星で観測された可視画像、赤外画像、水蒸気画像である。 これらの画像について述べた次の文(a)〜(d)は、図中に示したA〜Eの領域のいずれについて述べたものか、適切な組み合わせを下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

(a) 擾乱の北側に広がる上層雲が急速に拡大し、北縁にはトランスバースラインが見られることから、上層の水平発散が強まっていることが示唆される。

(b) 連なった雲域の西縁の上層の雲パターンから、上層の強風軸がこの雲域の西縁に沿って存在していることが示唆される。

(c) 台風から温帯低気圧に変化しており、擾乱の中心付近には雲の隙間のある領域も見られる。

(d) 上空の気圧の谷に伴う暗域が海上を中心に見られ、陸上では上空の気圧の谷と日中の昇温の影響で局地的に積乱雲が発達している。

図
選択肢 (a) (b) (c) (d)
AEBC
AEBD
BAED
EBAC
EBAD

■ 解答

(a) E
(b) B
(c) A
(d) D

■ 解き方の方針

画像問題は、いきなり文章を読むより、まず画像の種類ごとに見るポイントを決めます。

可視画像

雲の形・模様を見る

赤外画像

白く明るい雲=雲頂高度が高い

水蒸気画像

上・中層の湿り

暗域を見る

今回の正解の流れは次の通りです。

(a) トランスバースライン

E

(b) 雲域の西縁と強風軸

B

(c) 温帯低気圧化した擾乱中心

A

(d) 水蒸気画像の暗域+局地的積乱雲

D

■ 補足講義:可視画像・赤外画像・水蒸気画像の違い

衛星画像問題では、まず3種類の画像の役割を分けることが重要です。

画像 主に見るもの 試験での使い方
可視画像 太陽光の反射 雲の形・雲の厚さ・対流雲の凹凸を見る
赤外画像 雲頂温度 雲頂高度を見る。白いほど雲頂が高い
水蒸気画像 中・上層の水蒸気 上空の湿潤域・乾燥域・暗域を見る

ここで止まりやすいポイント

可視画像で「雲の形」を見て、赤外画像で「雲の高さ」を見て、水蒸気画像で「上空の流れや乾燥域」を見る、という役割分担を最初に決めましょう。

■ (a) トランスバースラインと上層発散 → E

(a)はEです。

Eは台風周辺の発達した雲域です。 赤外画像でも白く明るい雲域が広がっており、雲頂高度の高い上層雲が発達していることが読み取れます。

また、雲域の北縁には筋状の雲パターンが見られ、トランスバースラインとして判断できます。

Eの領域

発達した上層雲

北縁にトランスバースライン

上層の水平発散が強い

■ 補足講義:トランスバースラインとは

トランスバースラインとは、上層の強風軸付近やジェット気流周辺に見られる、流れにほぼ直交する細い雲列です。

衛星画像では、発達した雲域の縁に細かい筋状の雲として見えることがあります。

用語 意味 試験での見方
トランスバースライン 上層風に関連する筋状雲 上層の強風・発散の目安
上層水平発散 上空で空気が広がること 下層からの上昇流を助け、雲が発達しやすい

ここがひっかけ

「台風の中心」だけを見てしまうとEを見落とします。

(a)は、中心ではなく北側に広がる上層雲とその北縁の雲パターンを見ています。

したがって、(a)はEです。

■ (b) 雲域の西縁に沿う上層強風軸 → B

(b)はBです。

Bは日本付近に南北方向に連なった雲域です。 その西縁には、雲の境界が比較的はっきりしており、上層の強風軸がこの雲域の西縁に沿って存在していることが示唆されます。

Bの領域

南北に連なる雲域

西縁に特徴的な雲パターン

上層の強風軸が沿う

上層の強風軸付近では、雲域の縁がはっきりしたり、雲の流れが細長くまとまったりします。

ここで間違えやすい理由

「強風軸」と聞くと水蒸気画像だけで探したくなりますが、雲域の西縁のパターンも重要な手がかりになります。

したがって、(b)はBです。

■ (c) 台風から温帯低気圧化し、中心付近に雲の隙間 → A

(c)はAです。

Aの領域は、台風から温帯低気圧に変化しつつある擾乱に対応しています。

雲域は渦状の構造を持っていますが、台風のような明瞭な眼ではなく、中心付近には雲の隙間も見られます。

Aの領域

渦状の雲域

中心付近に雲の隙間

台風から温帯低気圧化

温帯低気圧化が進むと、台風の軸対称な雲分布が崩れ、雲域が非対称になります。

ここがひっかけ

「中心に雲の隙間」と聞くと、台風の眼を考えたくなります。

しかし(c)では、台風から温帯低気圧に変化している擾乱中心付近の雲の隙間を見ています。

したがって、(c)はAです。

■ (d) 上空の気圧の谷に伴う暗域と局地的積乱雲 → D

(d)はDです。

Dの領域では、水蒸気画像で暗域が見られます。

水蒸気画像の暗域は、対流圏中・上層の乾燥域や下降流、上空の気圧の谷に伴う空気の流れを示す手がかりになります。

また、陸上では日中の昇温の影響も加わり、局地的に積乱雲が発達していると考えられます。

Dの領域

水蒸気画像で暗域

上空の気圧の谷

日中の昇温も加わる

局地的に積乱雲発達

■ 補足講義:水蒸気画像の暗域とは

水蒸気画像では、中・上層に水蒸気が多い領域は明るく、乾燥している領域は暗く見えます。

暗域は、上空の乾燥空気の流入や下降流、上空の気圧の谷と関係することがあります。

水蒸気画像 意味 読み方
明域 中・上層が湿っている 雲域や上昇流と関係しやすい
暗域 中・上層が乾燥している 下降流・上空の気圧の谷の手がかり

ここで止まりやすいポイント

水蒸気画像は地上付近の水蒸気を見ているわけではありません。

中・上層の水蒸気分布を見て、上空の流れや気圧の谷を推定します。

したがって、(d)はDです。

■ 選択肢確認表

設問 対応する領域 理由
(a) E 発達した上層雲が急速に拡大し、北縁にトランスバースラインが見られるため。
(b) B 連なった雲域の西縁に沿って、上層の強風軸が存在することが示唆されるため。
(c) A 台風から温帯低気圧化しており、擾乱中心付近に雲の隙間が見られるため。
(d) D 水蒸気画像で暗域が見られ、上空の気圧の谷と日中の昇温により局地的積乱雲が発達しているため。

以上より、組み合わせは(a)E、(b)B、(c)A、(d)Dです。

したがって、正解はです。

■ 受験生がつまずくポイント

1. 3種類の衛星画像を同じように見てしまう

可視画像は雲の形、赤外画像は雲頂高度、水蒸気画像は中・上層の水蒸気分布を見る画像です。 まず画像ごとの役割を分けましょう。

2. 赤外画像の白さを「雲が厚い」だけで判断する

赤外画像の白さは、雲頂温度が低く、雲頂高度が高いことを示します。 発達した対流雲や上層雲の判断に使います。

3. 水蒸気画像を地上付近の湿りと勘違いする

水蒸気画像は主に対流圏中・上層の水蒸気分布を表します。 地上付近の湿りを直接見ているわけではありません。

4. トランスバースラインを知らずに読み飛ばす

トランスバースラインは上層の強風や発散と関係する重要な雲パターンです。 雲域の縁に見られる筋状の雲に注目しましょう。

5. 台風の眼と温帯低気圧化した雲の隙間を混同する

(c)は「台風から温帯低気圧に変化」と書かれています。 明瞭な台風の眼ではなく、擾乱中心付近の雲の隙間として判断します。

6. 暗域を単なる雲がない場所と考えてしまう

水蒸気画像の暗域は、上空の乾燥域や下降流、気圧の谷を読む手がかりです。 単に雲が少ない場所として処理しないようにしましょう。

■ まとめ

  • 可視画像は雲の形や模様を見る。
  • 赤外画像は雲頂高度を見る。
  • 水蒸気画像は中・上層の水蒸気分布や暗域を見る。
  • (a)はトランスバースラインが見られるE。
  • (b)は雲域の西縁に強風軸が示唆されるB。
  • (c)は温帯低気圧化した擾乱中心のA。
  • (d)は暗域と局地的積乱雲が見られるD。

正解は⑤

この問題で必ず押さえたいこと

可視画像

雲の形を見る

赤外画像

雲頂高度を見る

水蒸気画像

中・上層の湿りと暗域を見る

(a)E
(b)B
(c)A
(d)D

※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。

以上、第54回 専門知識 問11の解説でした!

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