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【例題】
「気象庁が行うラジオゾンデを用いた高層気象観測について、正しいものはどれか。
① 陸上では約100km間隔で観測が行われる
② 観測は日本時間の9時と21時の2回が基本である
③ 気球は高度10km付近で破裂して観測が終了する
④ 湿度の観測は気温が-60℃以下になると行わない」
今回は、上空の気象状態を直接測るラジオゾンデ観測の仕組みや、その結果を図示した「エマグラム」の読み取り方を学びます。エマグラムから大気の安定度(SSI、CAPE、CIN)や逆転層の種類を判別するスキルは、気象予報士試験(特に実技試験でも)極めて重要な得点源となります。基本の仕組みからしっかり理解していきましょう!
目次
- ラジオゾンデ観測と観測網
- ラジオゾンデ観測の詳細(気温・湿度・気圧・風)
- ラジオゾンデの特性(長所・短所)
- エマグラムの見方と読み方
- 気象状況別エマグラムの特徴
- 逆転層の種類と成因
- 大気安定度指数(SSI・CAPE・CIN)
- オゾン観測
- 理解チェックテスト(5問)
- 過去問チャレンジ(3問)
- まとめ
1. ラジオゾンデ観測と観測網
▲ ラジオゾンデ観測の仕組みと全国16か所の観測網
- WMO(世界気象機関)の勧告:陸上は 約300km間隔、海上は 約1000km間隔 で行うことが推奨されています。
- 観測実施機関:全国 16か所 の気象官署・海洋気象観測船で行われています(南極昭和基地でも実施)。
- 観測時刻:毎日 9時と21時 の2回が基本です。
- 台風接近時・豪雨時:必要に応じて1日 最大4回 まで実施されることがあります。
- 放球タイミング:気球の放球は観測時刻の 30分前 に実施されます。
-
ラジオゾンデの上昇速度と高度:平均
約6m/s で上昇します。
- 1分後:約360m上空
- 10分後:約3.6km上空
- 30分後:約10km上空
- 90分後:高度30km超(気圧約10hPa)で気球が破裂 → 観測終了
- 落下時の対応:陸上に落下する見込みの場合は、パラシュートで安全に降下します。
【高層気象観測の目的】
- 総観スケール(水平スケール2000km超)以上の気象現象の解析が主目的です。
- 数値予報の客観解析データとして極めて重要です。
- 大気の鉛直構造(温度・風・湿度の鉛直分布)を直接観測できる唯一の手段となります。
2. ラジオゾンデ観測の詳細(気温・湿度・気圧・風)
-
① 気温の観測
- 単位:0.1℃ 単位で観測。
- 日射補正:昼間は太陽放射で温度センサーが加熱されるため、実際の気温より高く出ます。そのため日射補正が必要です。
- 上層ほど大気が薄く日射が強いため、上層ほど補正量が大きくなります。夜間は太陽放射がないため補正は不要です。
-
② 湿度の観測
- 観測機器:静電容量変化式、またはカーボン乾湿膜式の2種類。
- 結果の報告:相対湿度(%)で観測しますが、報告時は 湿数(気温℃ − 露点温度℃) で行われます。
- 観測制限:気温が -40℃以下 になると、センサーの精度が落ちるため湿度観測は行いません。
-
③ 気圧の観測
- 単位:0.1hPa 単位で観測。
- 現在はGPSゾンデを使い、人工衛星からの情報で3次元位置を精度よく解析して高度を求めます。
- (GPS機能なしの場合:静力学平衡の式と気体の状態方程式から高度を計算していました)
-
④ 風向・風速の観測
- GPS(GPSゾンデ)を利用して気球の水平移動ベクトルから風を算出します。
- 風速:1m/s 単位、風向:1度 単位で観測。
💡 指定気圧面と特異点
- 指定気圧面:1000・925・850・700・500・400・300hPaなど、天気図解析の基準となる高度面です。
- 特異点:気象要素に顕著な変動(不連続)がある高度のことです(例:風向が急変する、気温の下降が上昇に転じる逆転層など)。
3. ラジオゾンデの特性(長所・短所)
- 長所:大気を直接観測するため高精度であり、ほぼ鉛直方向で連続的なデータ取得が可能です。
- 長所:気象衛星観測(輝度温度や衛星風)など、間接的な観測データを補正・検証するための基準としても重要です。
- 短所:上層ほど偏西風が強く、気球が 観測所上空から水平方向に100km以上 流される場合があります。
- 短所:大きく流された場合でも、慣例として「観測地点上空のデータ」として処理されるため、これが数値予報のわずかな誤差要因となります。
4. エマグラムの見方と読み方
▲ エマグラムの構成要素(縦軸・横軸・状態曲線・断熱線・等飽和混合比線)
エマグラムとは、ラジオゾンデで観測した大気の気温・露点温度・風の鉛直構造を、気圧を縦軸にして表示した熱力学図のことです。
【エマグラムの5つの主要要素(必ず覚えること!)】
| 要素名 | 種類・形状 | 読み方・意味 |
|---|---|---|
| 縦軸(気圧) | 直線(横) | 1000hPa(下)〜100hPa(上)まで。上空ほど間隔が広がる対数スケール的に減少。 |
| 横軸(気温) | 直線(縦) | 単位は℃。右に行くほど高温になります。 |
| 気温の状態曲線 | 実線(赤など) | 各高度で実際に観測された「気温」を結んだ線。 |
| 露点温度の状態曲線 | 破線(青など) | 各高度で実際に観測された「露点温度」を結んだ線。気温線の左側に位置します。 |
| 乾燥断熱線 | 細い斜め線 | 未飽和の空気が上昇・下降した際の断熱変化の軌跡(右上から左下へ傾く)。 |
| 湿潤断熱線 | 細い緩やかな曲線 | 飽和空気が上昇した際の断熱変化の軌跡(潜熱放出のため乾燥断熱線より勾配が小さい)。 |
| 等飽和混合比線 | 細い右上がり線 | 乾燥空気1kgに含まれる水蒸気の最大量(単位:g/kg)。 |
| 風の矢羽 | 図の右端など | 各高度の風向と風速。(短羽:5kt、長羽:10kt、旗:50kt) |
💡 湿潤域の判定(雲の存在)
- 気温と露点温度の 湿数(差)が3℃未満 の気層は「湿潤」と判定し、雲が存在している可能性が高いです。
- 湿数が 0℃またはほぼ0℃ の場合は「飽和」しており、雲の中や雨域に該当します。
- ※非常に低温な上層大気では、湿数が1.5〜2℃未満でないと雲が存在しないこともあります。
5. 気象状況別エマグラムの特徴
エマグラムの形状から、現在の気象状況(前線、高気圧、積乱雲など)を読み取ることができます。
① 積乱雲内(発達した対流雲)
- 雲内の気温の状態曲線が 湿潤断熱減率 におおむね沿って変化します。
- 湿数がほぼ0℃(飽和)〜3℃未満(湿潤)の層が、下層から対流圏上層まで厚く続きます。
- 湿潤層の下面が「雲底高度」、上面が「雲頂高度」に対応します。
- 相当温位がほぼ鉛直方向で一定になります(対流活動が活発に起き、空気がかき混ぜられている証拠です)。
② 前線面が上空に存在する地点(前線の寒気側)
- 地上前線の寒気側 200〜300km 以内の地点でよく見られます。
- 下層〜中層のどこかに、湿潤な前線性逆転層 または湿潤な安定層が明瞭に現れます。
- 転移層(逆転層)内は、上層ほど気温が高くなります。
- 逆転層を挟んで風の鉛直シアが大きくなります(例:下部の寒気層は北成分の風、上部の暖気層は南成分の風)。
③ オホーツク海高気圧による北東気流の影響がある地点
- 地表面から高度1〜2km以下の下層に 涼湿な寒気層(北東気流)が入り込みます(特に夏季の太平洋側・やませ)。
- 寒気層とその上の大気の間に、明瞭で 湿潤な逆転層 が形成されます。
- 逆転層より上層の大気は、沈降気流の影響などで乾燥していることが多いです。
- 霧や層雲が発生している場合は、地表付近が湿潤または飽和状態になります。
④ 冬型の気圧配置(日本海側・太平洋側の違い)
- 高度の目安 500hPa寒気が -27℃〜-33℃の場合:逆転層の高度は2.5〜3km付近。
- 高度の目安 500hPa寒気が -33℃以下(非常に強い寒気)の場合:逆転層の高度は4〜5km付近まで高くなります。
- 日本海側:寒気層内に湿潤気層を広く含みます(雪雲が形成され降雪をもたらします)。
- 太平洋側:脊梁山脈を越えて吹き下ろす気流(フェーン現象等による山越え断熱昇温)のため、湿潤域が存在せず 乾燥 しています。
6. 逆転層の種類と成因
▲ 4種類の逆転層の成因とエマグラム特徴(沈降性・前線性・接地性・オホーツク海型)
通常、対流圏では上空に行くほど気温が下がりますが、局地的に「上空の方が気温が高い」層ができることがあり、これを逆転層と呼びます。大気が極めて安定し、上下の空気の混ざり合いを抑え込む「フタ」の役割をします。
【4種類の逆転層まとめ】
| 逆転層の種類 | 成因 | 特徴・出現環境 |
|---|---|---|
| ① 沈降性逆転層 | 高気圧中心域での下降気流(大気が沈降する際の断熱圧縮による昇温) | 非常に乾燥。エマグラム上で気温と露点温度が大きく開く(上層ほど不連続に乾燥)。 |
| ② 前線性逆転層(移流性) | 前線面において、冷たい空気(寒気)の上に暖かい空気(暖気)が滑り上がるため | 湿潤。地上前線の寒気側数百km以内の上空に見られる。 |
| ③ 接地逆転層(放射逆転層) | 夜間の強い放射冷却により、地表付近の空気が急激に冷やされるため | 晴天・無風・乾燥した夜間から早朝に強い。地表から数百mに形成(濃霧の原因にも)。 |
| ④ オホーツク海型 | 冷涼な海を渡る北東気流(やませ)が下層に流入し、その上に通常の大気が乗るため | 夏季〜初夏の太平洋側。下層1〜2km付近に形成され、下層は湿潤、上層は乾燥。 |
7. 大気安定度指数(SSI・CAPE・CIN)
▲ ショワルターの安定指数(SSI)とCAPE・CINのエマグラム上の表現
大気が対流を起こしやすいか(不安定か)、起こしにくいか(安定か)を数値化・面積化したものが安定度指数です。
-
SSI(ショワルター安定指数)の計算手順:
- 850hPaの空気を、未飽和なら 乾燥断熱的 に持ち上げる。
- 途中で飽和(持ち上げ凝結高度)に達したら、そこからは 湿潤断熱的 に持ち上げる。
- 500hPaまで持ち上げた空気の気温値を求める。
- SSI = 観測された500hPaの気温 − 持ち上げた空気の気温
【SSIの判定基準表(試験頻出!)】
| SSI値 | 大気の安定性 |
|---|---|
| 正の値(プラス) | 安定(対流性雲の発生なし) |
| 0 | 中立 |
| -1 〜 -3 | 不安定(対流性雲・雷雨の可能性) |
| -4 〜 -9 | 非常に不安定 |
| -7 以下 | 極めて不安定(激しい雷雨・竜巻の危険) |
※持ち上げた空気の方が暖かい(=周囲より軽く上昇し続ける)場合、引く数が大きくなるためSSIはマイナスになります。つまりSSIは負の値が不安定を示します。
💡 SSIの注意点
- SSIが正の値であっても、必ずしも不安定現象が起きないとは限りません(+1〜+2でも、にわか雨の可能性は残っています)。
- SSIはあくまで850hPaと500hPaの2層間の指数であり、地上近くの強い日射による加熱効果などは反映されません。
- 層状性の雲(乱層雲・層雲など)や、下層限定の積雲の発生可能性の判定には適用できません。
-
CAPE(対流有効位置エネルギー)と CIN(対流抑制)
- CAPE(ケープ):地上の空気塊が自由対流高度を超えて上昇するときに得られる正の浮力エネルギー。エマグラム上では状態曲線の右側にできる面積で示されます。
- CIN(シン):地上の空気を自由対流高度まで強制的に持ち上げるのに必要なエネルギー(負の浮力による抵抗)。エマグラム上では状態曲線の左側にできる面積で示されます。
- 対流活動が活発になりやすい条件は、「CINが小さく、CAPEが大きい」ときです。
-
関連する3つの重要高度:
- 持ち上げ凝結高度(LCL):空気を持ち上げて最初に飽和する高度。= 対流性の雲の 雲底高度
- 自由対流高度(LFC):持ち上げた空気が周囲の気温より高くなり、自力で上昇(正の浮力)を始める高度。
- 平衡高度(EL):自力で上昇した空気が、再び周囲の気温と同じになり浮力を失う高度。= 対流性の雲の 雲頂高度(積乱雲のかなとこ部分)
8. オゾン観測
- オゾン層:成層圏の高度 約25km付近 に最も多く存在し、有害な紫外線(UV-B/C)を吸収する重要な役割を担っています。
- オゾンホール:南極圏では毎年 10月 頃に顕著に発生します(春先)。北半球でも年によって 4月 頃に発生することがあります。
-
オゾン観測の3種類:
- 太陽直射日光を利用した観測:観測誤差が小さく精度が最も高い。
- 天頂光観測:曇りなどで直射日光がない時に、空の散乱光を使用。
- 月光観測:太陽が出ない「極夜」の場合に使用。
- オゾンゾンデ観測:気球を使ったオゾンの直接観測は、毎週 水曜日 15時 に実施されます(雨天・強風時は日程変更)。
- 観測機器:ドブソン分光光度計 を用いて、オゾン全量と鉛直分布を高精度で測定します。
- 世界約 100地点 で連携して観測が実施されています。
9. 📋 理解チェックテスト(5問)
【問1】
冒頭の例題の確認です。気象庁が行うラジオゾンデを用いた高層気象観測について、正しいものはどれか。
① 陸上では約100km間隔で観測が行われる
② 観測は日本時間の9時と21時の2回が基本である
③ 気球は高度10km付近で破裂して観測が終了する
④ 湿度の観測は気温が-60℃以下になると行わない
💡 解答・解説
正解:②
①は誤り(陸上は約300km間隔)。③は誤り(気球は約30km付近で破裂)。④は誤り(湿度の観測を行わないのは -40℃
以下)。基本は9時と21時の1日2回観測が行われるため、②が正解です。
【問2】
ラジオゾンデによる観測要素のうち、日中の観測においてセンサーが太陽放射で加熱されるため、「日射補正」が必要となる要素はどれか。
① 気圧
② 湿度
③ 気温
④ 風向・風速
💡 解答・解説
正解:③
気温センサーは日射によって実際の空気より温まってしまうため、上層に行くほど大きな日射補正を行って気温を算出します。
【問3】
エマグラム上で「湿潤域」と判定され、雲が存在する可能性が高いとされるのは、気温と露点温度の差(湿数)がどのような状態のときか。
① 湿数が 3℃ 未満
② 湿数が 5℃ 未満
③ 湿数が 10℃ 以上
④ 湿数が -3℃ 以下
💡 解答・解説
正解:①
湿数が3℃未満の気層を「湿潤」と呼びます。湿数がほぼ0℃の場合は「飽和」状態です。
【問4】
大気安定度指数に関する次の記述は正しいか、誤りか。
「ショワルターの安定指数(SSI)は負の値をとるとき大気が不安定であることを示し、対流有効位置エネルギー(CAPE)の面積が大きいほど対流活動が活発になりやすい。」
💡 解答・解説
正解:正しい
SSIはマイナスの値が不安定(-4以下で非常に不安定)を示します。また、CAPEが大きく、CINが小さいほど激しい対流活動(積乱雲の発達)が起きやすくなります。
【問5】
オゾン観測に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
① オゾン層は主に対流圏の下層に存在する。
② 南極のオゾンホールは例年4月頃に最も顕著になる。
③ オゾン全量の観測にはドブソン分光光度計が用いられる。
④ オゾンゾンデ観測は毎日9時と21時に実施される。
💡 解答・解説
正解:③
①は誤り(オゾン層は成層圏の高度約25km付近)。②は誤り(南極は10月頃)。④は誤り(オゾンゾンデは毎週水曜日の15時に実施)。ドブソン分光光度計を用いる③が正解です。
10. 📋 過去問チャレンジ(3問)
【第41回 平成23年度第2回試験 専門知識 問2】
一般に、対流圏内では高度が高くなると気温が下降するが、高度が高くなると気温が上昇する逆転層が観測されることがある。逆転層は、
(1) 高気圧の圏内で上空の空気層全体が (a) することにより (b) 的に昇温しその下の気層よりも高温となる場合、
(2) 下層の冷たい空気層の上を温かい空気が滑昇することにより上層の空気が相対的に高温となる場合、
(3) 夜間の (c) により地表面付近の気温が下降する場合、
などに生じる。
※図ア〜ウ(略)のうち、(1) に対応するのは(d)(極めて乾燥し、気温と露点が開いているグラフ=ウ)である。
空欄(a)〜(d)の組み合わせで正しいものはどれか。
① (a)上昇等積 (b)寒気移流 (c)放射冷却 (d)ア
② (a)上昇等積 (b)放射冷却 (c)寒気移流 (d)ア
③ (a)沈降 (b)断熱 (c)放射冷却 (d)ウ
④ (a)沈降 (b)断熱 (c)放射冷却 (d)ウ (※実際の選択肢番号に合わせて調整)
💡 解答・解説
正解:③(沈降・断熱・放射冷却・ウ)
(1)は高気圧圏内の「沈降性逆転層」の説明です。下降気流(沈降)により「断熱圧縮」されて昇温し、乾燥した逆転層が形成されます。エマグラムでは気温と露点温度が大きく開くのが特徴(グラフ「ウ」に該当)。(3)は地表付近の「接地逆転層」で、夜間の「放射冷却」が原因です。
【第40回 平成22年度第2回試験 専門知識 問2】
気象庁で行われるラジオゾンデを用いた高層気象観測について述べた次の文 (a) 〜 (d)
の下線部の正誤について、正しいものを一つ選べ。
(a)
陸上では約300km間隔で設置された観測所で実施しており、その結果は総観規模の大気現象を把握する基本的な資料として利用されている。
(b) 上空の風向・風速は、気球が周囲の風で流されることを利用して観測する。
(c) 500hPa面より高い高度において最も低い気温を観測した面を圏界面として報じる。
(d)
昼間の観測では、温度計の感部が日射の影響を受けて実際の気温よりも高い値を示すため、これを補正して気温の観測値としている。
① (a) のみ誤り
② (b) のみ誤り
③ (c) のみ誤り
④ (d) のみ誤り
⑤ すべて正しい
💡 解答・解説
正解:③((c) のみ誤り)
(a)(b)(d)はすべて正しい記述です。(c)は誤りです。対流圏界面は「最も低い気温を観測した面」ではなく、「気温減率が2℃/km以下となり、かつその面より2kmにわたり気温減率が2℃/km以下となっている層の下面」と定義されています。
【気象予報士試験受験支援会オリジナル問題】
高層観測やその報告について説明した次の文章の正誤を正しく表示した選択肢を下から一つ選べ。
(a) 高層観測や地上観測のデータは月毎に集計されて世界中に配信される。(※実際は実況として即時配信)
(b) 高層観測 (ラジオゾンデ)による観測は高度30km付近までである。
(c) 地上観測の標高が1500m以上の場合は、高層気象観測して扱う。
(d) ラジオゾンデ (GPS 機能なし)
観測で観測の高度を求める場合は、気温、湿度、気圧の鉛直データから静力学平衡の式と気体の状態方程式から算出して求めている。
(※この問題は(c)の観点に注目してください)
💡 解答・解説
正解:(c) は明確な誤り
地上気象観測は、どんなに標高の高い場所(富士山頂など)で行われていても、地表面の摩擦や加熱の影響を強く受けるため「地上気象観測」として扱われます。高層気象観測には含められません。(b)(d)は正しい記述です。
11. まとめ
重要項目一覧:
- 観測網:陸上約 300km間隔、海上約 1000km間隔。全国16か所で実施。
- 観測時刻:9時・21時 の基本2回(台風時は最大4回)。放球は30分前。
- 上昇速度と高度:約 6m/s。約90分かけて高度 30km付近(約10hPa) に到達して破裂。
- 気温観測:0.1℃単位。昼間は 日射補正 が必要(上層ほど補正量大)。
- 湿度観測:-40℃以下 になると観測不能。相対湿度を「湿数」に換算して報告。
- 気圧・風:0.1hPa単位。GPSゾンデを用いて3次元位置から高度と風を解析(風は1m/s・1度単位)。
- エマグラム判定:湿数 3℃未満 →「湿潤」(雲あり)、湿数0℃ →「飽和」。
- 安定度指数(SSI):負の値 が不安定を示す。(-4〜-9: 非常に不安定)。
- エネルギー:CAPE(対流有効位置エネルギー)が大きく、CIN(対流抑制)が小さいほど、激しい対流活動が起こりやすい。
- オゾン観測:毎週 水曜15時 にオゾンゾンデを飛揚。ドブソン分光光度計を使用。
難易度:★★★☆☆(エマグラム上の状態曲線から、逆転層や雲の厚さをイメージできるように訓練しましょう!)
この記事について
気象予報士試験の合格を目指す方のために、専門知識を初学者向けにわかりやすく解説しています。エマグラムの読み取りは実技試験の基礎にもなるので、確実にマスターしましょう!
