【第54回 気象予報士試験 専門知識】問15 500hPa高度・平年差から天候を読む問題をわかりやすく解説

こんにちは!今回は第54回 気象予報士試験 専門知識 問15を解説します!

この問題は、旬平均500hPa高度と平年差の図から、北日本・東日本・沖縄奄美の天候を読み取る問題です。

受験生がつまずきやすいのは、500hPa高度の正偏差・負偏差を、地上の天気とどう結びつけるかです。

特にこの図では、北日本付近に低温・日照不足をもたらしやすいパターンがあり、沖縄・奄美付近では太平洋高気圧に覆われやすい状況を読み取る必要があります。

この問題で重要なポイント

  • 500hPa高度は中層大気の流れや気圧配置の特徴を見るのに使う。
  • 高度の正偏差は、平年より高度が高い状態を示す。
  • 高度の負偏差は、平年より高度が低い状態を示す。
  • 北日本付近では、オホーツク海高気圧や北東気流の影響を考える。
  • 北・東日本の太平洋側では、冷たく湿った北東風で低温・日照不足になりやすい。
  • 沖縄・奄美付近では、太平洋高気圧に覆われると晴れて高温になりやすい。
  • 500hPa図は、地上天気と結びつけて読むことが大切である。

■ 問題文

図はある年の7月上旬の旬平均の500hPa高度と平年差である。このときの天候について述べた次の文(a)〜(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

(a) 北日本では、平年より気温が高かった。

(b) 北・東日本では、太平洋側を中心に平年より日照時間が多かった。

(c) 沖縄・奄美では、平年より日照時間が多く気温が高かった。

図
選択肢 (a) (b) (c)

■ 解答

(a) 誤
(b) 誤
(c) 正

■ 解き方の方針

この問題は、図を次のように読みます。

500hPa高度・平年差を見る

偏西風の蛇行を見る

地上付近の気圧配置をイメージする

気温・日照時間を判断する

今回のポイントは、北日本・東日本と沖縄・奄美で天候が逆になっていることです。

北・東日本

冷たく湿った北東風

低温・日照不足

沖縄・奄美

太平洋高気圧に覆われる

高温・多照

■ 補足講義:500hPa高度と平年差とは

500hPa高度とは、気圧が500hPaになる高さのことです。

この高度は、地上からおよそ5〜6km付近の大気の状態を表し、偏西風の蛇行や上空の高気圧・低気圧の配置を読み取るのに使われます。

図の要素 意味 読み方
実線 500hPa高度 上空の流れや高度場を見る
陰影 平年差 平年より高いか低いかを見る
正偏差 平年より高度が高い 高気圧性の場と関係しやすい
負偏差 平年より高度が低い 低気圧性の場や寒気と関係しやすい

ここで止まりやすいポイント

500hPa高度図は、地上天気図そのものではありません。

しかし、上空の流れや偏差から、地上の気温・日照・気圧配置を推定する手がかりになります。

■ 図の読み取り:北日本付近は低温・日照不足のパターン

図を見ると、日本付近では偏西風が大きく蛇行し、北日本から東日本の太平洋側では冷たく湿った北東風の影響を受けやすい場が考えられます。

このようなとき、北日本や東日本の太平洋側では、オホーツク海高気圧の影響で「やませ」と呼ばれる冷たく湿った北東風が吹きやすくなります。

オホーツク海高気圧

冷たく湿った北東風

北・東日本の太平洋側へ流入

雲が広がりやすい

低温・日照不足

ここが重要

7月でも、北日本・東日本の太平洋側では、北東気流が入ると気温が低く、日照時間が少なくなります。

夏だから必ず高温・多照とは限りません。

■ (a) 北日本では平年より気温が高かった?

(a)は誤りです。

北日本付近では、冷たく湿った北東風の影響を受けやすい場になっています。

そのため、北日本では平年より気温が高かったのではなく、低温傾向だったと考えられます。

北日本

冷たい北東気流の影響

気温が上がりにくい

平年より低温

ここがひっかけ

7月上旬という時期だけを見て「夏だから高温」と判断すると誤りです。

図から、北東気流やオホーツク海高気圧の影響を読み取る必要があります。

したがって、(a)は誤りです。

■ (b) 北・東日本の太平洋側で日照時間が多かった?

(b)は誤りです。

北・東日本の太平洋側では、冷たく湿った北東風が入りやすく、低い雲が広がりやすくなります。

そのため、日照時間は平年より多いのではなく、少なかったと考えられます。

冷たく湿った北東風

太平洋側へ流入

雲が広がる

日照時間が少ない

特に梅雨期から夏にかけて、このような北東気流が続くと、太平洋側では曇天・低温・日照不足になりやすくなります。

ここで間違えやすい理由

「太平洋側=晴れやすい」と単純に考えると誤りです。

北東気流が入ると、太平洋側ほど湿った空気の影響を受けて雲が広がりやすくなります。

したがって、(b)は誤りです。

■ 補足講義:やませとは

やませとは、主に北日本の太平洋側に吹き込む冷たく湿った東寄りから北東寄りの風です。

やませが続くと、低温・日照不足となり、農作物にも影響を与えることがあります。

項目 やませの特徴
風向 東寄り〜北東寄り
性質 冷たく湿っている
影響地域 北日本・東日本の太平洋側
天候 低温・曇天・日照不足

オホーツク海高気圧

やませ

冷湿な空気

低温・日照不足

■ (c) 沖縄・奄美では日照時間が多く気温が高かった?

(c)は正しいです。

沖縄・奄美付近では、太平洋高気圧に覆われやすい場になっていると考えられます。

高気圧に覆われると、下降流によって雲ができにくく、晴れやすくなります。 そのため、日照時間が多く、気温も高くなりやすいです。

沖縄・奄美

太平洋高気圧に覆われる

晴れやすい

日照時間が多い

気温が高い

ここでの判断ポイント

北日本・東日本が低温・日照不足でも、沖縄・奄美まで同じ天候とは限りません。

地域ごとに、どの気圧配置の影響を受けているかを分けて考えましょう。

したがって、(c)は正しいです。

■ 選択肢確認表

選択肢 判定 理由
(a) 北日本では、冷たく湿った北東風の影響で、平年より気温が低かったと考えられるため。
(b) 北・東日本の太平洋側では、北東気流により雲が広がりやすく、日照時間が少なかったと考えられるため。
(c) 沖縄・奄美では、太平洋高気圧に覆われ、日照時間が多く気温が高かったと考えられるため。

以上より、組み合わせは(a)誤、(b)誤、(c)正です。

したがって、正解はです。

■ 受験生がつまずくポイント

1. 500hPa高度図を地上天気図のように見てしまう

500hPa高度図は上空の場を表します。 地上の天気を直接示すものではありませんが、偏西風の蛇行や高気圧・低気圧性の場を読み取る手がかりになります。

2. 7月だから北日本も高温と考えてしまう

夏でも、やませやオホーツク海高気圧の影響を受けると、北日本では低温・日照不足になることがあります。

3. 太平洋側はいつも日照が多いと思ってしまう

北東気流が入ると、太平洋側では湿った空気の影響で雲が広がりやすくなります。 そのため、日照時間は少なくなります。

4. 沖縄・奄美と北日本を同じ傾向で判断してしまう

日本付近でも地域によって支配的な気圧配置は異なります。 北日本・東日本と沖縄・奄美は分けて判断しましょう。

5. 平年差の色だけで判断してしまう

正偏差・負偏差だけでなく、偏西風の流れや地上の気圧配置をイメージして、気温・日照に結びつける必要があります。

6. やませの影響を忘れる

北日本・東日本の太平洋側で、冷たく湿った北東風が吹くと、低温・日照不足になりやすいです。 この問題では非常に重要な判断材料です。

■ まとめ

  • 500hPa高度・平年差図から、上空の流れや偏西風の蛇行を読み取る。
  • 北日本では、冷たく湿った北東風の影響で低温傾向だったと考えられる。
  • 北・東日本の太平洋側では、雲が広がりやすく日照時間が少なかったと考えられる。
  • 沖縄・奄美では、太平洋高気圧に覆われ、日照時間が多く気温が高かったと考えられる。
  • 地域ごとに気圧配置の影響を分けて読むことが大切である。

正解は④

この問題で必ず押さえたいこと

北日本・東日本太平洋側

冷たく湿った北東風

低温・日照不足

沖縄・奄美

太平洋高気圧

多照・高温

500hPa図

上空の流れを読む

地上の天候と結びつける

※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。

以上、第54回 専門知識 問15の解説でした!

訂正・ご意見などありましたら、ぜひコメントで教えてください!
皆で最高の独学環境を作っていきましょう!