【第54回 気象予報士試験 専門知識】問7 解析雨量をわかりやすく解説
こんにちは!今回は第54回 気象予報士試験 専門知識 問7を解説します!
この問題は、解析雨量のしくみ・海上での誤差・防災指数への利用・速報版について問う問題です。
受験生がつまずきやすいのは、「解析雨量=実測値」ではないという点です。
解析雨量は、気象レーダーと雨量計の長所を組み合わせて、面的に雨量を推定したものです。 そのため、防災上とても重要ですが、観測値そのものではなく「解析された雨量」であることを押さえる必要があります。
この問題で重要なポイント
- 解析雨量は、気象レーダーと雨量計のデータを組み合わせたもの。
- 1km四方の細かさで降水量分布を解析する。
- レーダーは面的に雨を捉えるのが得意。
- 雨量計は地点の正確な雨量を測るのが得意。
- 海上では雨量計が少ないため、陸上より誤差が大きくなりやすい。
- 解析雨量は土壌雨量指数・表面雨量指数の算出にも利用される。
- 解析雨量には30分ごとのものと、10分ごとの速報版がある。
■ 問題文
解析雨量について述べた次の文(a)〜(d)の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。
(a) 解析雨量は、気象レーダーと雨量計の観測データを組み合わせ、降水量分布を1km四方の細かさで解析したもので、面的に雨量を推定できる気象レーダーと、正確な雨量を観測できる雨量計の両方の長所を活かしたものである。
(b) 海上の解析雨量は、陸上の雨量計から得られた情報を用いて気象レーダーの観測データを補正しているため、陸上よりも一般に誤差が大きい。
(c) 解析雨量は実測値ではないことから、土壌雨量指数や表面雨量指数の算出の際の入力データとしては利用されない。
(d) 解析雨量には、30分ごとに1時間雨量を算出するものと、10分ごとに1時間雨量を算出する速報版がある。後者は前者より、利用する雨量計データの数が少ないため精度は若干低いが、更新頻度が高く、観測から提供までに要する時間が短い。
| 選択肢 | (a) | (b) | (c) | (d) |
|---|---|---|---|---|
| ① | 正 | 正 | 正 | 正 |
| ② | 正 | 正 | 誤 | 正 |
| ③ | 正 | 誤 | 正 | 誤 |
| ④ | 誤 | 誤 | 誤 | 誤 |
| ⑤ | 誤 | 誤 | 正 | 正 |
■ 解答
②
(a) 正
(b) 正
(c) 誤
(d) 正
■ 解き方の方針
この問題は、解析雨量を次のように理解すると解きやすいです。
気象レーダー
↓
面的に雨を捉える
雨量計
↓
地点の雨量を正確に測る
両方を組み合わせる
↓
解析雨量
そして、解析雨量は「実測値ではないから使えない」のではなく、防災指数の入力データとして利用される点が重要です。
■ 補足講義:解析雨量とは
解析雨量とは、気象レーダーと雨量計の観測データを組み合わせて、1km四方の細かさで降水量分布を解析したものです。
レーダーは広い範囲の雨を面的に把握できますが、雨量そのものの精度には限界があります。
一方、雨量計は地点の雨量を正確に測れますが、雨量計がない場所の雨量は直接わかりません。
| 観測手段 | 長所 | 弱点 |
|---|---|---|
| 気象レーダー | 雨域を面的に把握できる | 雨量そのものは補正が必要 |
| 雨量計 | 地点の雨量を正確に測れる | 観測点以外の雨量は直接わからない |
| 解析雨量 | 面的な分布と地点観測を組み合わせる | 実測値そのものではなく推定値 |
レーダーの面的把握
+
雨量計の正確さ
↓
解析雨量
ここで止まりやすいポイント
解析雨量は「雨量計で測った実測値」ではありません。 しかし、防災情報に使えるよう、レーダーと雨量計を組み合わせて作られる重要な解析データです。
■ (a) レーダーと雨量計の長所を活かしたもの?
(a)は正しいです。
解析雨量は、気象レーダーと雨量計のデータを組み合わせ、1km四方の細かさで降水量分布を解析したものです。
レーダーだけでは雨量の絶対値に誤差が出ることがあります。 そこで雨量計の観測値を使って補正します。
気象レーダー
↓
雨域を面的に把握
雨量計
↓
正確な地点雨量
組み合わせる
↓
1km四方の解析雨量
覚え方
解析雨量は、レーダーの「面」と雨量計の「正確さ」を合わせたものです。
したがって、(a)は正しいです。
■ (b) 海上では陸上より誤差が大きい?
(b)は正しいです。
海上には、陸上のように雨量計が多くありません。
そのため、海上の解析雨量は、陸上の雨量計から得られた情報を用いて気象レーダーの観測データを補正します。
結果として、陸上よりも一般に誤差が大きくなりやすいです。
陸上
↓
雨量計が多い
↓
補正しやすい
海上
↓
雨量計が少ない
↓
補正しにくい
↓
誤差が大きくなりやすい
ここがひっかけ
「レーダーは海上も見えるから陸上と同じ精度」と考えると誤りです。
雨量計による補正が少ないため、海上では誤差が大きくなりやすいと考えます。
したがって、(b)は正しいです。
■ (c) 土壌雨量指数・表面雨量指数には利用されない?
(c)は誤りです。
問題文では、解析雨量は実測値ではないため、土壌雨量指数や表面雨量指数の入力データとして利用されない、と述べています。
しかし、解析雨量は土壌雨量指数や表面雨量指数の算出に利用されます。
解析雨量
↓
土壌雨量指数
+
表面雨量指数
の入力データ
土砂災害や浸水害の危険度を判断するには、どこにどれだけ雨が降ったかを面的に把握する必要があります。
そのため、面的に雨量を推定できる解析雨量は、防災指数の計算に非常に重要です。
| 指数 | 主に見る危険 | 解析雨量との関係 |
|---|---|---|
| 土壌雨量指数 | 土砂災害の危険度 | 入力データとして利用 |
| 表面雨量指数 | 短時間強雨による浸水害の危険度 | 入力データとして利用 |
ここで間違えやすい理由
「実測値ではない=信頼できない=使われない」と考えると誤りです。
解析雨量は、防災指数に使うために整備された重要なデータです。
したがって、(c)は誤りです。
■ 補足講義:土壌雨量指数と表面雨量指数の違い
解析雨量は、土壌雨量指数にも表面雨量指数にも利用されます。
ただし、2つの指数が見ている危険は異なります。
| 項目 | 土壌雨量指数 | 表面雨量指数 |
|---|---|---|
| 主な対象 | 土砂災害 | 浸水害 |
| 重視する雨 | これまでに土壌へたまった雨 | 地表面にたまる短時間の強雨 |
| イメージ | 土の中の水分が増える | 地表に水があふれやすくなる |
| 解析雨量 | 利用される | 利用される |
雨が降る
↓
解析雨量で面的に把握
↓
土壌雨量指数
表面雨量指数
↓
土砂災害・浸水害の危険度判断
■ (d) 10分ごとの速報版がある?
(d)は正しいです。
解析雨量には、30分ごとに1時間雨量を算出するものと、10分ごとに1時間雨量を算出する速報版があります。
速報版は更新頻度が高く、観測から提供までに要する時間が短いという利点があります。
一方で、利用する雨量計データの数が少ないため、精度は若干低くなります。
| 種類 | 更新間隔 | 特徴 |
|---|---|---|
| 通常の解析雨量 | 30分ごと | 利用できる雨量計データが多く、精度重視 |
| 速報版解析雨量 | 10分ごと | 精度は若干低いが、更新頻度が高く提供が早い |
速報版
↓
10分ごと
↓
早く提供できる
ただし
↓
雨量計データが少ない
↓
精度は若干低い
ここがひっかけ
速報版は「更新が早いから精度も高い」わけではありません。
早さを優先するため、使える雨量計データが少なく、精度は若干低いと整理しましょう。
したがって、(d)は正しいです。
■ 選択肢確認表
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| (a) | 正 | 解析雨量は、気象レーダーと雨量計のデータを組み合わせ、1km四方で降水量分布を解析したものだから。 |
| (b) | 正 | 海上では雨量計が少なく、陸上の雨量計情報を用いて補正するため、陸上より誤差が大きくなりやすいから。 |
| (c) | 誤 | 解析雨量は、土壌雨量指数や表面雨量指数の算出に利用されるから。 |
| (d) | 正 | 10分ごとの速報版は、精度は若干低いが、更新頻度が高く提供までの時間が短いから。 |
以上より、組み合わせは(a)正、(b)正、(c)誤、(d)正です。
したがって、正解は②です。
■ 受験生がつまずくポイント
1. 解析雨量を実測値と勘違いする
解析雨量は、雨量計で直接測った値そのものではありません。 レーダーと雨量計を組み合わせて面的に推定した雨量です。
2. レーダーと雨量計の役割を混同する
レーダーは面的な雨域を捉えるのが得意で、雨量計は地点の正確な雨量を測るのが得意です。 解析雨量は両方の長所を利用しています。
3. 海上でもレーダーが見えるから精度は同じと思ってしまう
海上では雨量計が少ないため、補正に使える情報が限られます。 そのため、陸上より一般に誤差が大きくなりやすいです。
4. 実測値ではないから防災指数に使われないと思ってしまう
解析雨量は実測値そのものではありませんが、土壌雨量指数や表面雨量指数の入力データとして利用されます。
5. 土壌雨量指数と表面雨量指数の違いがあいまい
土壌雨量指数は土砂災害、表面雨量指数は浸水害の危険度を把握するための指標です。 どちらにも解析雨量が利用されます。
6. 速報版は精度も高いと思ってしまう
速報版は更新頻度が高く提供が早い一方、利用できる雨量計データが少ないため、精度は若干低くなります。
■ まとめ
- 解析雨量は、気象レーダーと雨量計のデータを組み合わせたもの。
- 1km四方の細かさで降水量分布を解析する。
- 海上では雨量計が少ないため、陸上より誤差が大きくなりやすい。
- 解析雨量は、土壌雨量指数や表面雨量指数に利用される。
- 速報版は10分ごとに更新されるが、精度は若干低い。
正解は②
この問題で必ず押さえたいこと
気象レーダー
↓
面的に雨を把握
雨量計
↓
地点の正確な雨量
両方を組み合わせる
↓
解析雨量
解析雨量
↓
土壌雨量指数
+
表面雨量指数
に利用
速報版
↓
早い
でも
精度は若干低い
※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。
以上、第54回 専門知識 問7の解説でした!
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