こんにちは!今回は気象予報士試験 第58回 実技2 問4を解説します!
記述式問題は以下の項目でカテゴリー分けします。
実技試験記述5型
基本セット:どこで(場所・高さ・時刻)+ なぜ(原因・背景場)+ 何が起きている(現象)
- 分布型:「A側では ○○ であり、一方 B側では △△ となっている。」
- 時間変化型:「◯時には A であったが、△時には B となり、A から B へと変化した。」
- メカニズム型:「〜ため、□□が強まり、その結果△△となる。」
- リスク型:「〜ため、◯◯のおそれがあり、△△への注意(警戒)が必要である。」
- 構造型:「◯◯付近の ◇◇hPa で気温減率が小さい安定層の上端となっており、ここが前線面に対応する。」
こちらの記事を参考⇒【実技試験講義No.1】気象予報士試験実技試験記述5型 – 独学資格塾
(1)解説
◇模範解答
平戸:8時00分、下関:9時50分
平戸に関する理由:風向が南南西から西北西に時計回りに急変し、海面気圧急上昇・気温急低下が同時に起きたため
◇解説
与えられた図12(佐世保など複数地点の気象要素時系列図)から、九州北部の平戸と山口県下関における寒冷前線通過の時刻を答える問題です。寒冷前線が通過すると一般的に風向が南寄りから北寄りへと時計回り(右回り)に変化し、気温が低下、海面気圧が上昇します。時系列図中でこれらの顕著な変化が現れる時刻を読み取ると、平戸では8時00分頃、下関では9時50分頃にそれが確認できます。実際、平戸では8時に風向が南南西から西北西に変わり始め、気温急降下と気圧急上昇が同時に発生しています。また下関も9:50前後に同様の変化が見られました。設問では「○○の通過時刻」の形式で聞かれているため、「平戸:8時00分、下関:9時50分」のように回答します。
平戸の前線通過の理由をまとめると「風向が南南西から西北西に時計回りに急変し、海面気圧急上昇・気温急低下が同時に起きたため」といった説明になります。このように複数の要素の同期した変化が前線通過の指標です。なお設問(4)で再度触れますが、寒冷前線通過後は通常海面気圧が急上昇します。本問では後の小問でその点に絡む現象が問われています。
記述式解答のポイント:メカニズム型
どこで・いつ: 平戸:8時00分、下関:9時50分
なぜ:寒冷前線が通過したため
何が起きている: 風向が南南西から西北西に時計回りに急変し、海面気圧急上昇・気温急低下
(2)解説
◇模範解答
① 9時:南南西 (南)、12時:西南西、15時:西北西
12時:(b)、15時:(a)
②

③ 12時:「中国山地に沿って等温線とほぼ平行な西南西の風が吹き、寒気移流は下関より小さい。」
15時:「中国山地に向かって西北西の風が寒気側から吹き、温度傾度の小さい下関より寒気の移流が大きい。」
◇解説
この小問はやや複雑で、①〜③まで細かい設問に分かれていました。中国地方西部の浜田付近を対象に、図13・図14などの予想図から前線位置を解析し、さらに山地による風向・温度場の違いを考察する内容です。
①では図11中の浜田地点(★印)における高度ごとの風向の違いに関する問題でした。浜田では18日9時に南南西の風(地上付近)、12時に西南西の風(500m~1km上空)、15時に西北西の風(更に上空)が観測・予想されています。12時時点では浜田上空の風は中国山地と平行に吹走しており、15時には山地に直交して越える向きになっています。与えられた図中の模式図(a)(b)との対応関係を見ると、12時は(b)のパターン、15時は(a)のパターンに当てはまります。従って**(2)①の答えは「12時:(b)、15時:(a)」です。
②では、図6や図8等を使って18日9時時点の前線の解析を行う設問でした。前項(1)で求めた平戸8時・下関9時50分という通過時刻も参考情報として使い、九州北部から中国地方にかけての地上寒冷前線の位置を決定します。これに基づき、解答用紙の該当枠内に前線を記入する作図問題となっていました。平戸・下関の通過時間差から前線の東進速度も見積もりつつ、18日9時の850hPa面の等温線パターン(暖気側と風向のシアが交わる線)に沿って前線を引くことで、解答例のような前線解析図になります。要するに、平戸から下関に至るエリアを9時〜10時頃に通過した寒冷前線を特定し、その線を図示するものでした。
③では、浜田と下関における風向・温度場の違いから寒気移流の強弱差を比較する記述問題です。特に18日12時と15時のそれぞれで、浜田と下関の状況を対比させて述べます。12時の時点では、浜田では中国山地に沿うように西南西の風が吹き、850hPa等温線ともほぼ平行な流れになっています。一方、下関では西風が吹いており、これは等温線に対して直交する風向です。風が等温線と平行ということは温度輸送(暖気・寒気移流)が小さいこと、直交していれば温度傾度に沿って気団を運ぶので移流が大きいことを意味します。従って12時時点では、浜田の方が寒気移流が弱く、下関の方が寒気移流が強いと評価できます。解答例の表現では「中国山地に沿って等温線とほぼ平行な西南西の風が吹き、寒気移流は下関より小さい。」です。次に15時の時点では、浜田・下関ともに西北西の風になりました。風速も同程度で風向も一致していますが、温度場(等温線間隔)を見ると浜田付近の方が温度傾度が大きく(等温線が詰まっている)、下関付近は温度傾度が小さいことがわかります。温度傾度が大きい場所では同じ風速でも強い寒気移流が起こるため、15時時点では浜田の方が下関より寒気移流が強い状況です。解答例では「中国山地に向かって西北西の風が寒気側から吹き、温度傾度の小さい下関より寒気の移流が大きい。」と述べられています。
記述式解答のポイント:メカニズム型
どこで・いつ: 浜田 vs 下関
なぜ:風向の地形に対する向き・等温線との角度の違いにより
何が起きている: 寒気移流の強さに差がある
(3)解説
◇模範解答
30 km/h
◇解説
図13(18日15時の降水予想図)を用いて、梅雨前線に伴う降水域が東へ移動する速度を計算する問題です。具体的には、北緯35°線付近で降水強度の最も強い位置の経度が、6時間でどれだけ東へ動いたかを調べます。図14によれば、6時の時点で北緯35°における最大降水強度の経度は東経130.0°付近、12時の時点では東経131.8°付近でした。経度差は約1.8°東進しています。緯度1°は約110kmに相当することが与えられているため、経度1.8°に相当する距離は同緯度帯では約160kmと見積もられます(※中緯度で経度1°あたりの距離は緯度によりますが、北緯35°なら110km程度と考えてよい)。この160kmを時間差6時間で割ると約26.7km/hとなり、10km/h刻みで表記する指定に合わせて「30 km/h」としました。従って降水域(強雨軸)は東へ約30km/hの速さで進んだことになります。
(4)解説
◇模範解答
①時刻A:11時10分(11時00分)、時刻B:15時00分
② 前線通過直後の海面気圧の急上昇が見られない。
③ (a) 大気下層の気温の違い
④ 前線通過前は上空に向かって時計回り、通過後は反時計回りになっている。
⑤a:時刻B、b:時刻A、c:時刻A
⑥(a) (b)
◇解説
最後の小問は、浜田での寒冷前線通過に関する細かな分析問題でした。(4)①〜⑥まであり、(1)で扱った時系列データをさらに詳しく読み取らせる内容です。
①では、浜田で寒冷前線が通過した2つの時刻(問題文中で時刻A・時刻Bと指定)を答える問題でした。浜田の時系列データを詳細に追うと、前線に伴う気象要素の変化が二段階で訪れていることがわかります。風向・気温・気圧の変化が大きかった1回目が11時10分頃、そして2回目が15時00分頃です。問題文の指定で「時刻A」「時刻B」に対応させる形で答えるので、「時刻A:11時10分、時刻B:15時00分」と記入します。ここでのポイントは、浜田では寒冷前線通過が一度ではなく二度観測されたように見える点です。この理由は次の設問に関係します。
②では、浜田の寒冷前線通過に関して特徴的な現象を指摘する問題でした。平戸や下関では前線通過直後に海面更圧(海面気圧)が急上昇しましたが、浜田の記録では前線通過後に海面気圧の顕著な上昇が見られなかったのです。これは「寒冷前線が通過したのに通常見られる気圧上昇が起こらない」という異例の特徴であり、解答として「前線通過直後の海面気圧の急上昇が見られない」と挙げられます。
③なぜそのようなことが起きたかについて考察するのが(4)③です。通常、寒冷前線通過時に海面気圧が上がるのは、背後から流入する冷たい空気によって気柱が収縮し(気温低下により密度増加)、局地的に高圧になるためです。しかし浜田では前線の南北で地表付近の気温に差があまり無かった可能性があります。つまり、前線の南側と北側の気温にあまり違いがない(=大気下層の気温差が小さい)場合、前線通過しても圧力に変化が生じにくいのです。この設問は選択肢(a)(b)(c)から理由を選ぶ形式で、正解は「(a)大気下層の気温の違い(が原因)」でした。言い換えると、浜田付近では前線通過前後で地表気温に顕著な差がなかったため、海面気圧が上がらなかったということになります。これは閉塞が進んだ前線によく見られる特徴で、温度差が埋まってしまった「死んだ前線」状態だったとも解釈できます。実際、本問の低気圧は閉塞過程にあり、浜田付近では二度の風向変化(二つの前線)が通過したものの温度場の差異が小さくなっていたのでしょう。このことが(4)①で通過時刻が二度現れた理由とも言えます。
④これは平戸での寒冷前線通過時刻(8時00分)の上空約1.5km(850hPa付近)の風向変化を観察する問題でした。寒冷前線通過前後で上空の風向シアがどう変化したかを見ることで、前線面の鉛直構造を推定する狙いがあります。実際8時の平戸では、地上で南寄りから北寄りへ風向が変わると同時に、上空1.5kmでも類似の時計回りの風向変化が捉えられました(例えば南西風から西北西風へ)。このことから前線面が急傾斜し、高度によらずほぼ同時に風向が転じたことが示唆されます。前線通過時の上空風の振る舞いも予報士試験ではしばしば問われるポイントで、例えば風向が高度とともにどのように変化するか(順回り=時計回りか、逆回り=反時計回りか)は前線の性質(温暖前線か寒冷前線か)を判断する手がかりになります。本事例では典型的な寒冷前線であり、地上から上空まで時計回り(順回り)の風向変化が見られました。
⑤aについては前線通過前は上空に向かって時計回り、通過後は反時計回りになっている。という特徴を同様に持っているのを確認すると時刻Bが該当します。bは、平戸や下関における地上の寒冷前線と、図12の950hPa面の前線の位置関係を浜田に当てはめた場合、浜田で寒冷前線が通過したのは時刻Aと時刻Bのどちらか、を問うものです。まず、問4(1)より平戸では8時00分に寒冷前線が通過しています。また、問4(2)②で解析した18日9時の950hPa面の前線は、地上の寒冷前線とほぼ対応すると考えられ、平戸から緯度約0.5°(約30km)東に位置していました。同様に、下関では9時50分に寒冷前線が通過しており、18日9時の950hPa面の前線は、下関から緯度約0.3°(約20km)西に位置していました。浜田については、寒冷前線までの距離がおよそ平戸の2倍で約60km西にあり、さらに18日12時には浜田を通過して約30km東に移動していると推定されます。これらを踏まえると、寒冷前線が浜田を通過したのは11時ごろであり、時刻A(11時00分または11時10分)が適切です。したがって、正しい時刻は時刻Aとなります。cは、平戸や下関における地上の寒冷前線と、図13のレーダーエコーの位置関係が浜田にも当てはまると仮定し、問4(3)に基づいて推定した浜田の寒冷前線の通過時刻に最も近い時刻を考えます。まず、問4(1)より平戸では8時00分に寒冷前線が通過しており、問4(3)から帯状降水域の最強部の東進速度は30km/hとわかります。図13の9時を見ると、北東―南西方向に並ぶ強いレーダーエコーが平戸の西側にあり、東西方向の距離は約0.2°(約12km)です。これより、9時30分までに通過すると推定できます。次に、下関では9時50分に寒冷前線が通過しましたが、図13の9時でレーダーエコーの強い部分は緯度約0.7°(約42km)西にあるため、通過は11時過ぎと推測できます。このことから、寒冷前線の通過後にレーダーエコーの強い部分が通過するまでには、約1時間〜1時間30分の差があると考えられます。これを浜田に当てはめると、図13の12時ではレーダーエコーの強い部分が浜田の約0.3°(約36km)西に位置しており、通過は13時過ぎと推定されます。したがって、寒冷前線の通過時刻はその1時間〜1時間30分前となり、時刻A(11時00分または11時10分)が最も妥当です。よって、時刻Aが適切となります。
⑥浜田の時刻B(15時00分)に見られる地上の気象要素の変化に関連する事象が、下枠のⓐ、ⓑのどれに当てはまるか(該当なしの場合は「なし」、両方該当する場合は「ⓐⓑ」)を答えるものです。まず、図12の18日12時・15時の950hPa面予想図から、問4(2)③の内容を確認します。12時の浜田付近では、「中国山地に沿って等温線とほぼ平行な西南西の風が吹き、寒気移流は下関より小さい」状態でした。しかし15時には、「中国山地に向かう西北西の風が寒気側から吹き込み、温度傾度も大きいため寒気移流が強まっている」ことがわかります。この変化から、下枠の「ⓑ 寒気移流の強まり」が確実に関連します次にⓐについて検討します。問4(2)②では、18日9時の寒冷前線を14〜15℃の等温線付近として解析しました。この前線は15時には中国山地を越えようとする位置にあり、西北西からの風が下層の寒気を伴って前線面を押し上げながら山地を越える流れになると考えられます。そのため、「ⓐ 前線面の上昇」も浜田の気象要素の変化に関連していると判断できます。以上より、時刻Bにおける地上の気象要素の変化に関係するのは「ⓐⓑ」の両方となります。
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