こんにちは!今回は気象予報士試験 第64回 一般知識 問1を解説します!
(1)解答&解説
問題の要約: 対流圏から中間圏までの大気の鉛直構造に関する一般的特徴について、(a)~(d)の記述が提示され、それぞれの正誤の組み合わせを答える問題です。
- (a) 「国際標準大気では、対流圏内の気温減率と温位は高さ方向に一定である。」・・・誤り。 国際標準大気において対流圏の気温減率(約6.5℃/km)は高度によらず一定ですが、温位(潜在温度)は高度が上がるにつれて増加します。したがって、「気温減率と温位がともに一定」という記述は誤りです。
- (b) 「対流圏界面の高さは、平均的には高緯度の地域より低緯度の地域のほうが高い。」・・・正しい。 低緯度(赤道付近)は太陽放射が強く地表がよく暖められるため、強い対流が発生して高い高度まで空気が上昇します。この結果、対流圏界面も高緯度より低緯度で高く、赤道付近で約15~18 km、極付近で約8~10 kmと平均高度に差が生じます。よって記述の通り低緯度の方が対流圏界面が高く、正しい内容です。
- (c) 「成層圏のオゾンの数密度は、太陽放射に含まれる紫外線の吸収により気温が極大となる成層圏界面付近で最大になる。」・・・誤り。 オゾンの数密度(単位体積あたりの分子数)は成層圏の中程、高度約20~25 km付近で最大になります。成層圏界面(約50 km付近)では温度は極大ですが、そこでは空気自体が希薄なためオゾン数密度はむしろ減少しています。なおオゾンの**濃度(混合比)**は高度とともに増え成層圏界面付近で最大となりますが、数密度とは異なることに注意が必要です。従って「成層圏界面付近で数密度が最大」という記述は誤りです。
- (d) 「中間圏では窒素分子や酸素分子が紫外線を吸収して光電離することにより、上空ほど気温が高くなっている。」・・・誤り。 中間圏では高度が上がるほど気温が低下します。確かに中間圏では紫外線による酸素・窒素分子の光電離が起きていますが、空気密度が非常に低く分子衝突がまれなため、この過程で生じたエネルギーが大気の温度上昇につながりにくいのです。その結果、熱的には放射冷却が勝り、高度が上がるほど気温が下がる層になっています。よって記述は誤りです。
選択肢の正誤: (a)誤り、(b)正しい、(c)誤り、(d)誤り。
以上です!独自解説とAIを組み合わせ解答・解説を作成しています。訂正・ご意見あればコメントやご連絡いただけると幸いです。皆で最高の独学環境を作り上げていきましょう!
タグ: 第64回 一般