こんにちは!今回は気象予報士試験 第61回 実技2 問3を解説します!
記述式問題は以下の項目でカテゴリー分けします。
実技試験記述5型
基本セット:どこで(場所・高さ・時刻)+ なぜ(原因・背景場)+ 何が起きている(現象)
- 分布型:「A側では ○○ であり、一方 B側では △△ となっている。」
- 時間変化型:「◯時には A であったが、△時には B となり、A から B へと変化した。」
- メカニズム型:「〜ため、□□が強まり、その結果△△となる。」
- リスク型:「〜ため、◯◯のおそれがあり、△△への注意(警戒)が必要である。」
- 構造型:「◯◯付近の ◇◇hPa で気温減率が小さい安定層の上端となっており、ここが前線面に対応する。」
こちらの記事を参考⇒【実技試験講義No.1】気象予報士試験実技試験記述5型 – 独学資格塾
(1)解説
◇模範解答
点D:特徴=相当温位の傾度の大きい範囲の南端、安定性=安定
点E:特徴=相当温位の極大、安定性=対流不安定
点F:特徴=相当温位の極小、安定性=対流不安定
◇解説
図10(850hPa相当温位・鉛直断面図。※東経127.5°に沿った南北断面、図中にD・E・Fの位置をプロット)の情報を基に、各点における850hPa相当温位の相対的特徴と安定度を判断します。点Dは断面図で等相当温位線集中帯(前線帯)の南端に位置しており、850hPaの相当温位値は約346Kと周囲と比べ高めです。この点の安定性を見るため、下層950hPa(約344K)の相当温位と比較すると高度が上がるにつれて相当温位が大きくなっている(=温位傾度が正)ため安定成層となります。点Eでは850hPa相当温位が約347Kと局地的な極大値を示しています。しかし下層950hPaにはそれ以上(約348K以上)の高相当温位空気が存在しており、高度とともに相当温位が小さくなる(=温位傾度が負)ため対流不安定です。点Fは再び前線帯の南縁付近に位置し、850hPa相当温位は約344KとDやEに比べて小さい極小となっています。下層950hPaは349K以上の非常に高い相当温位空気に覆われているため、850hPaとの比較では強い負の温位傾度が存在し対流不安定となります。以上を整理すると、D:相当温位の傾度が大きい部分の南端に当たり安定、E:相当温位極大で対流不安定、F:相当温位極小(南端)で対流不安定という組み合わせになります。
(2)解説
◇模範解答
「領域Gでは、強雨域の南側は50ノットの南西(南南西)風、北側は相対的に弱い南西風で、その間に収束がみられる。」
◇解説
図10および図11(950hPa相当温位・風予想図と地上付近の雨量時系列図)に示された領域G(宮崎県付近から四国・高知県西方海上にかけての地域)に注目し、950hPa風の分布と強雨域との位置関係を説明します。領域Gにおける950hPaの風向は概ね南西ないし南南西で全域ほぼ一定ですが、風速には南北差が見られます。領域Gの南側では風速がおよそ50ノットに達し非常に強いのに対し、北側では40ノット前後と相対的に弱いことが予想図から読み取れます。したがって領域G内では南北で風速のシア(勾配)が大きく、南側の高速流と北側の低速流の境界付近で風の収束が発生しています。この収束域は図11に示された強い降水域(6日9時の1時間20mm以上の降雨)に対応しており、強雨域の南側に南西の強風軸、北側に弱風域があってその間で風がぶつかり合っている様子を説明できます。以上を踏まえ、解答例のように「南側は~、北側は~で、~収束している」という文章で45字程度にまとめます。
記述式解答のポイント:分布型
どこで・いつ: 強雨域の南側/北側
なぜ:50ノットの南西(南南西)風/相対的に弱い南西風
何が起きている: 収束がみられる
(3)解説
◇模範解答
① 北緯33°
② 強雨域は、950hPaの集中帯の南端付近に位置する。
◇解説
①図10・図13(850hPa相当温位・風・降水18時間予想図)を用いて、東経129.5°上で850hPaと950hPaの集中帯(等相当温位線の集中帯)の南端が地上(1000hPa)まで達すると仮定した場合の、地上における集中帯南端の緯度を推定します。図10には東経129.5°断面上における850hPaの集中帯南端位置(北緯34°付近)と950hPaの集中帯南端位置(北緯33.2°付近)が示されています。850hPa(約1500m高)から地上1000hPaまでさらに約500m下降させると仮定すると、南端の緯度は950hPaの位置よりもう少し南になるはずです。図13では集中帯南端がわずかに南下している様子もうかがえます。問題文のヒント「1hPaの差=10m」に従い鉛直変位を緯度差に換算すると約0.8°程度の差となり、北緯33.2°からさらに南へ0.8°弱移動すると北緯33°付近に達します。従って解答は「北緯33°」となります。
② 東経129.5°における20mm以上の強雨域(図13の黄色着色部分)と集中帯との水平位置関係について述べます。強雨域の中心はこの断面上北緯33.2°付近に位置しており、これに最も近い高度の集中帯は950hPa面上の集中帯南端(北緯33.2°付近)になります。すなわち強雨域は950hPaの集中帯南端付近にほぼ対応しており、他の高度(850hPaや地上)の集中帯端よりも950hPa上の前線帯に近接しています。従って「強雨域は、950hPaの集中帯の南縁付近に位置する」という表現が適切です(集中帯の「北端/南端」についても言及する指定なので、南側の端にあたる旨を明記しています)。
記述式解答のポイント:分布型
どこで・いつ: 950hPaの集中帯の南端付近
何が起きている: 強雨域が位置する
(4)解説
◇模範解答
① 108mm、15時
② 大雨の前は南南西の風が強まったが、その後風向が時計回りに変化し西になり弱まった。
③ 気温、露点温度ともに低下(下降)した。
④ 南下する前線の通過
◇解説
① 図12(長崎県佐世保の時系列図)より、前3時間降水量の最大値とその時刻を読み取ります。佐世保の6日5時~17時の降水経過を見ると、13時~15時頃にかけて1時間降水量が急増しており、この時間帯に3時間降水量のピークがあります。実際、15時に前3時間降水量の108mmという最大値が観測されています。したがって空欄①には「108mm」、空欄②(時刻)には「15時」と入ります。
② [記述の型: 時間変化型] 図12から大雨発生前後の風向・風速の変化を読み取ります。1時間降水量が最大となった13時前後を境に風の状況が変化しており、まず大雨となる直前には南南西の風が次第に強まり約40ノットに達していました。その後、大雨の時間帯を過ぎると風速は落ち着き、風向は徐々に時計回り(右回り)にシフトして最終的に西風へと変化しています。すなわち「大雨の前は南南西の風が強まり、(大雨後は)風向が西へと回って弱まった」という経過になります。問題文の指示「大雨の時間帯とその前後」に沿い、この前後での風の変化を40字程度で記述します。
記述式解答のポイント:時間変化型
どこで・いつ: 大雨の前/後
何が起きている: 南南西の風が強まる/風向が西へと回って弱まる
③同じく図12から大雨の時間帯の気温と露点温度の変化を読み取ります。13時頃の大雨発生時に、気温(実線)・露点温度(点線)の両方が急激に下降していることがグラフから確認できます。すなわち大雨に伴って周囲の気温・湿度が下がる現象(冷たい降雨やダウンドラフトによる冷却効果)が現れています。従って「気温、露点温度ともに低下した」と簡潔に答えられます。
④空欄②および③で述べた大雨前後の風向・風速変化、および気温・露点低下は、佐世保付近を通過した前線が南下する気圧場変化に対応しています。一般に梅雨前線などの温度帯(相当温位線集中帯)の南下時には、北から寒冷乾燥な空気が流入して気温・湿度が下がり、風向も南風から西寄り(北寄り)へと変化します。佐世保で観測された大雨後の状況(気温・露点の顕著な下降と風向の南→西への時計回りの変化)は、まさに寒冷前線の通過によってもたらされたものです。したがって空欄には「南下する前線の通過」と記述し、これらの変化が前線の南下による現象であることを示します。
(5)解説
◇模範解答
① 高
② 非静力学
③ 帯状
④ 南
⑤ 南西
⑥ 収束
⑦ 高
◇解説
空欄①・②はメソスケールモデル(メソモデル)が大雨予想に頻用される理由に関する一般知識です。メソモデルは空間分解能が高く(細かく)全球モデルより局地の地形や現象を詳細に表現でき、また対流スケールの運動を直接解像できる非静力学モデルであるため、積乱雲による局地的豪雨の予想に適しています。次に空欄③は、図13(メソモデル予想)と図14(実況・解析雨量図)の比較から読み取れる、メソモデルの弱点に関する記述です。メソモデルでも前線近傍の強い降水帯は予想できるものの、図14に見られるような細長い降水帯(線状降水帯)の表現が不十分な場合があります。したがって「線状(=細長い帯状)」と補います。
空欄④~⑦は、図1および図9~図14の各資料に基づいた6日9時の大雨発生要因のまとめです。まず風の場に関して、梅雨前線の南側では暖湿な南寄りの風が吹き込んでおり、実際6日9時の850hPa・950hPa図でも大雨域の南側で強い南西~西南西風(約45~50ノット)の吹走が見られます。空欄⑤にはこの風向を16方位で答えます(図中の風向矢羽根より南西(または西南西)と判定)。一方、大雨域の北側では風速が南側よりも弱く、風向も南寄りで共通しているため、その間で収束(空欄⑥)して上昇流を生じています。また相当温位の分布に関しては、図13・図14より大雨域は前線に対応する等相当温位線集中帯のすぐ南側で発生しており、さらにその南側に位置するわずかに離れた高相当温位域(空欄⑦)内でも降水が強まっています。以上のポイントを押さえ、空欄④「南」、⑤「南西」、⑥「収束」、⑦「高」とそれぞれ補填します。これらは問3全体を通じて分析した結果の総括となる記述であり、梅雨期の大雨予想における重要事項が網羅されています。
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