こんにちは!今回は気象予報士試験 第58回 実技1 問3を解説します!

記述式問題は以下の項目でカテゴリー分けします。

実技試験記述5型

基本セット:どこで(場所・高さ・時刻)+ なぜ(原因・背景場)+ 何が起きている(現象)

  • 分布型:「A側では ○○ であり、一方 B側では △△ となっている。」
  • 時間変化型:「◯時には A であったが、△時には B となり、A から B へと変化した。」
  • メカニズム型:「〜ため、□□が強まり、その結果△△となる。」
  • リスク型:「〜ため、◯◯のおそれがあり、△△への注意(警戒)が必要である。」
  • 構造型:「◯◯付近の ◇◇hPa で気温減率が小さい安定層の上端となっており、ここが前線面に対応する。」

こちらの記事を参考⇒【実技試験講義No.1】気象予報士試験実技試験記述5型 – 独学資格塾

◇模範解答
北緯42.0°、東経145.0°
高度800 hPa、風向南東、風速90ノット、距離200 km

共通する特徴:風向の不連続線が連なる位置で風速が極小になっている
低気圧の中心付近は相対的に高温であり、そのピークは低気圧性循環の中心のすぐ東側にあって特に高度700 hPa付近で顕著である。

◇解説
図7の南北・東西鉛直断面において、16日3時の地上付近の風向分布を確認すると、南北断面では北緯42.5°付近を境に風向が大きく変化しています。すなわち、それより南側(北緯38°付近~42.4°付近)では西南西~南南西の風(西成分を含む風)ですが、42.5°より北側(北緯42.8°付近~47°付近)では南東~東の風(東成分を含む風)に変わっています。同様に、東西断面では東経145.0°付近を境に、西側(東経141°~144.8°付近)は西~北西の風(北風成分を含む風)、東側(東経145°~150°付近)は南風(南風成分)となっています。このように「どこで」風向が不連続(大きく変化)しているかを両断面図で捉えることで「何が起きている」かが分かります。南北方向・東西方向それぞれで風向の変化する境界が交差する位置、すなわち北緯42.5°・東経145.0°付近が地上の低気圧性循環の中心位置と推定されます。これは低気圧の風が反時計回りに吹くという「なぜ」の原理(循環の特徴)に合致する結果です。

②上記で特定した低気圧中心(北緯42.5°)の「北側約2°(約200 km)離れた地点」における風の鉛直分布に注目します。図7の南北断面を見ると、中心の北側(約北緯44.5°付近)で800 hPa付近に相対的な風速の極大領域があります。その風は南東風で最大約90ノットに達しており、低気圧周辺の風の中でも突出して強いことが読み取れます。この風の極大は低気圧に伴う下層ジェット(暖気の強風軸)であり、中心から約200 km離れた位置で生じています。「どこで」風速が強まっているかは風の極大位置で示され、「なぜ」そこに強風域があるかは低気圧に伴う圧力傾度の強い領域(暖気移流に伴うジェット形成)によるものです。「何が起きている」かというと、低気圧北側で南東の強風(約90ノット)の下層ジェットが発生していることになります。この高度・風向・風速・距離の組合せが問われており、したがって「高度800 hPa、風向南東、風速90ノット、距離200 km」が答えとなります。

③図7の東西鉛直断面図(下図)には風向の異なる気流がぶつかる面が存在しており、これが風向の不連続線(前線面)に相当します。設問では「各高度で風向が不連続になっている位置を連ねる実線」を描くよう求めています。具体的には、「どこで」風向が急変しているかを高度ごと(例えば100 hPaごと)に探し、その不連続点(風向が切り替わる風矢羽根の根元と根元の中間地点)を滑らかに結んでいきます。記入範囲は地上から気温が-24℃となる高度付近までで、問題文の指示に従い上空の一定高度まで線を引きます。下の図に青実線で示したのがその風向不連続線で、低気圧の前線面を表現しています(図中の実線)
描いた不連続線付近の風速分布の特徴にも着目しましょう。風向が不連続となっている各高度の近傍では、周囲と比較して風速が最も小さい領域がこの実線に沿って連なっていることが分かります。これは前線面付近で風が収束し、鉛直方向の運動や摩擦の影響で風速が減少するためです。すなわち「なぜ」風速が極小となるかといえば、異なる風向の空気が衝突する境界面(不連続線)では抵抗が大きくなり風の勢いが弱まるからです。「どこで」それが起きるかといえば、まさに描いた風向不連続線上です。「何が起きている」かを端的にまとめると、「風向の不連続線が連なる位置で風速が極小になっている」という状態になります。この点が風の分布における共通の特徴であり、模範解答では約25字でその旨が記述されています。

④図7の風・気温の鉛直断面図に示された気温分布を分析すると、低気圧性循環の中心付近は周囲よりも相対的に気温が高い領域(暖域)になっています。南北・東西両断面で中心付近の温度場を見ると、温暖な空気が低気圧中心を囲むように存在し、中でも東西断面において中心の直東側で気温の山(高温の膨らみ)が上空に向かって突き出す様子が顕著です。「どこで」その高温のピークがあるかというと、低気圧中心のすぐ東側、約700 hPaの高さに明瞭な暖気の突出が見られます。これは低気圧の東側で南から暖気が流れ込み、上空に持ち上げられた結果、700 hPa付近に暖気のコアが形成されたためと考えられます(温帯低気圧の暖域の傾斜による現象が背景)。「なぜ」このような高温域ができているかといえば、低気圧の暖鋭面付近で暖気が集中・隆起しているためです。「何が起きている」のかを整理すると、低気圧中心付近には周囲より高温な暖気核(ウォームコア)が存在し、特に中心直東の700 hPa付近でその高温の度合いが最大になっているということです。この構造は低気圧の発達段階でみられる特徴で、暖気の存在はこの後の気象影響(降水の相態や量)にも影響を及ぼします。実際、本設問と関連する気象状況では気温上昇により降雪が雨に変わり得るため、融雪による増水などへの注意が必要になることが後続の設問でも触れられています

◇模範解答
①「イ」(16日4~5時ごろ)、+50 cm
60 cm
「イ」(16日5時ごろ)

◇解説
①付属図8に示されたデータから、まず低気圧が北海道・根室港に最も接近する時刻帯を読み取ります。気圧が最も低くなる時間が低気圧最接近の目安であり、図によれば16日4~5時頃に根室港の気圧が極小となっています(選択肢では「イ」に相当)。この時間帯が低気圧の最接近時刻です。次に、その頃の天文潮位(潮汐による潮位変化の予想値)を確認します。図上で実線で示された天文潮位曲線を見ると、16日06時にかけて潮位がピークとなり、平常水位に対し+50 cm程度の最高値を示しています。問題文の指示に従い正負の符号付き・5cm刻みで表現すると「+50 cm」が該当します。したがって、「16日4~5時(イ)」に低気圧が最接近し、その頃の天文潮位は+50 cmと答えることになります。

②根室港における潮位の最大上昇量(いわゆる気圧低下による高潮分)を計算します。基準となる15日9時の根室港の海面気圧は図からおよそ1011 hPa程度と読み取れます(一番近い等圧線1008 hPaと1012 hPaの間に位置)。低気圧通過により根室港の気圧は16日5時頃に約950 hPaまで低下します。この気圧差は約61 hPaにもなります。一般に大気圧が1 hPa下がると海面は約1 cm上昇する「逆圧効果」がありますが、問題文では「1 hPaあたり1 cm潮位変化し、10 cm単位で答える」よう指定されています。したがって61 hPaの低下は約+60 cmの潮位上昇に相当します。計算上は+61 cmですが10 cm単位に四捨五入して+60 cmとします。以上より、高潮による潮位変化分は約60 cmと見積もられます。

③根室港付近の地形と風向による潮位変化のタイミングについて考えます。根室港の位置図を確認すると、港が面している海域は西〜北側の方角に開けています。つまり、北または西からの強風が吹くと海水が港に吹き寄せられやすい地形です。一方、低気圧接近時の根室地方では、低気圧の進路や位置関係から北寄りの風が強まる時間帯があります。具体的には16日未明~明け方に低気圧中心が東方の海上に位置するため、根室では北西〜北風が顕著になります。この局面で気圧も最低値をとり、風による吹き寄せ効果と気圧低下効果の両方が最大となるため、潮位の最大上昇が発生する時刻16日5時前後と予想されます。設問はその時間帯を選ばせる形式で、「イ」が該当しました(ちょうど16日4~5時台に相当)。要するに、「どこで」(根室港で)「いつ」(16日明け方)「なぜ」(北〜西風による吹送流と低気圧による気圧低下が重なるため)「何が起きる」(潮位が最大値に達する)という内容になります。以上の理由から、根室港の潮位は低気圧最接近時の明け方(北〜西風が吹いている時間帯)に最も高くなると解釈できます。


以上です!独自解説とAIを組み合わせ解答・解説を作成しています。訂正・ご意見あればコメントやご連絡いただけると幸いです。皆で最高の独学環境を作り上げていきましょう!

【過去問解説】第58回 実技1 問3

どくりん


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