こんにちは!今回は気象予報士試験 第60回 実技1 問2を解説します!
記述式問題は以下の項目でカテゴリー分けします。
実技試験記述5型
基本セット:どこで(場所・高さ・時刻)+ なぜ(原因・背景場)+ 何が起きている(現象)
- 分布型:「A側では ○○ であり、一方 B側では △△ となっている。」
- 時間変化型:「◯時には A であったが、△時には B となり、A から B へと変化した。」
- メカニズム型:「〜ため、□□が強まり、その結果△△となる。」
- リスク型:「〜ため、◯◯のおそれがあり、△△への注意(警戒)が必要である。」
- 構造型:「◯◯付近の ◇◇hPa で気温減率が小さい安定層の上端となっており、ここが前線面に対応する。」
こちらの記事を参考⇒【実技試験講義No.1】気象予報士試験実技試験記述5型 – 独学資格塾
(1)解説
◇模範解答
トラフA: 東経 145°(許容144°)、トラフB: 東経 149°(許容150°)
◇解説

図2(上)の500hPa高度場に示されたトラフA・Bの位置と、その12時間後の移動先に着目します。
トラフとは上層の気圧の谷で、渦度極大域や等高度線の大きく屈曲した箇所に対応します。問題では初期時刻のトラフA・Bの位置が図示され、12時間後のそれらの新たな位置(東への移動)が問われています。
初期場で示されたトラフAおよびトラフBは、それぞれ東進し12時間後には図のように東経約145°と149°付近まで移動します。読み取りの際は、トラフと500hPa等高度線(例えば5160m線)の交点の経度を確認します。トラフAは約145°E(許容144°E)、トラフBは約149°E(許容150°E)と特定でき、これが解答となります。このように、渦度極大や等高度線の折れ曲がりを捉えることでトラフ位置を定量的に把握できます。
(2)解説
◇模範解答
① トラフA: 方向 北東、距離 500(400)km。トラフB: 方向 同位置、距離 0 km。
② 2つの低気圧は、初めの12時間はトラフBの進行方向前面で発達し(1つにまとまり)、その後の12時間はトラフAの進行方向前面で発達する。
③

◇解説
①12時間後の地上天気図における三陸沖の低気圧(問題文中「この低気圧」)と上空トラフA・Bの相対位置関係に着目します。
問題は「低気圧とトラフA・Bとの距離と方向」を問うています。低気圧と各トラフの位置関係を見ることで、上層トラフが地上低気圧のどちら側(前面か後面か)に位置するかを把握できます。12時間後の時点で、地上低気圧とトラフA・Bの位置を地図上で測定し、方位16方位と距離を100km刻みで答える必要があります。
7日9時(三陸沖)に存在した2つの低気圧が12時間後(7日21時)に合体して北海道付近に1つの低気圧となりました。この低気圧(三陸沖由来の低気圧)は、トラフAに対しては北東方向約500kmの位置関係にあり、トラフBに対してはほぼ同じ位置(真上)と言える配置になります。計測し計算すると、トラフAと低気圧中心の間隔を約500km(許容400km)、トラフBとは0km(重なる)と算出できます。またトラフAの方向は低気圧から見て北東、トラフBは同位置(すなわち方向の表記は「同位置」で回答)となります。この結果から、12時間後の上空ではトラフBが地上低気圧直上に位置し、トラフAはやや南西側(低気圧の後面)に控えている状況が読み取れます。
②7日9時から24時間後(8日9時)にかけての、三陸沖の2低気圧(→合体低気圧)の発達過程と、それに影響を与えた上空トラフの変化に注目します。問題文では「トラフAおよびBとの関係に着目し、時間の経過に即して」低気圧の発達を述べるよう指示されています。つまり、時間経過(初めの12時間、その後の12時間)ごとに、どのトラフが低気圧の発達に寄与したかを説明する必要があります。2つの低気圧は、初めの12時間(7日9時→7日21時)では上空トラフBの進行方向前面で発達し、一つにまとまったと考えられます。実際、トラフBは7日21時時点でもほぼ同じ場所に留まり、その前面(東側)にあった2低気圧が合体・低圧部として発達しました。その後の12時間(7日21時→8日9時)では、トラフBが消滅しトラフAが東進して低気圧に接近・同位置に至ったため、トラフAの進行方向前面で低気圧はさらに発達することになりました。この間に地上低気圧の中心気圧は低下し続け、発達は8日9時まで持続しています。要するに、低気圧の発達に寄与する上層トラフが、前半の12時間はB、後半の12時間はAへと主役が移り変わったということです。時間経過に沿って整理すると、「7日21時まではトラフB前面で2低気圧が発達・合体し、その後8日9時まではトラフA前面で低気圧がさらに発達した」とまとめられます。これにより、上空の支援するトラフが交代しながら地上低気圧が急発達したメカニズムを説明できます。
記述式解答のポイント:時間変化型
どこで・いつ: 初めの12時間はトラフBの進行方向前面/その後の12時間はトラフAの進行方向前面
なぜ:50ノットの南西(南南西)風/相対的に弱い南西風
何が起きている: 収束がみられる
③(作図)は以下の手順で作成します。
前線解析(作図)
- 閉塞の判断
- 前線位置の推定(高層天気図)
- <閉塞している場合>閉塞点と閉塞前線の型の決定
- 作図
こちらの記事を参考⇒【講義】前線解析 – 独学資格塾
●閉塞の判断
強風軸(ジェット流)が巻き込むように伸びており、寒気の流入や暖気の突っ込みも見えることから閉塞していると判断できます。


●前線位置の推定(高層天気図)
等温線集中帯の南縁および風のシアー、帯状に伸びた上昇流域により前線位置を推定します。

●<閉塞している場合>閉塞点と閉塞前線の型の決定
前線の推定値に対して強風軸が通る点を閉塞点とします。
閉塞点から地上低気圧中心に対して伸ばした閉塞前線に対して寒冷前線の進行方向後面の寒気のほうが温度が低く、温暖前線の進行方向前面にある寒気との間で、温度差が大きくなる(”人”の形になる)と判断できます。

以上より地上天気図の風のシアに配慮しながら作図すると模範解答になります。
(3)解説
◇模範解答
①700hPa 面の鉛直流分布の特徴:地上の気圧の谷に沿って帯状の上昇流域となる。
850hPa 面の気温分布の特徴:地上の気圧の谷に沿って温度場の尾根となる。
②地上の気圧の谷の北東側は北よりの風、南西側は西よりの風で相対的に強く、気圧の谷付近で風が収束する。
③北にある
④㋐低、㋑対流不安定、㋒b、㋓750、㋔800、㋕高、㋖上昇流、㋗950、㋙対流
◇解説
①図2(下)に示された7日21時の700hPa面鉛直流(ω)と850hPa面気温の分布図に着目します。700hPa面では、地上の気圧の谷に沿って帯状の上昇流域が形成されています。つまり、地上の低圧部に対応して上空で空気が持ち上げられている帯があるということです。これは前線や低気圧の影響で広範囲に上昇流が発生していることを示します。850hPa面では、地上の気圧の谷に沿って温度場の尾根(暖気の張り出し)が見られます。地上低気圧の東側に暖かい空気が北へ突出するような温度分布となっており、これが温度の尾根(温暖舌)として現れています。総じて、気圧の谷に沿って垂直方向の大気運動と温度場の特徴が顕著であり、これらは低気圧や前線帯に伴う典型的な構造と言えます。
記述式解答のポイント:分布型
どこで・いつ: 地上の気圧の谷に沿って
何が起きている: 上昇流域が形成/温度場の尾根が見られる
②地上の気圧の谷を挟んでこの付近の南西側と北東側の風向・風速を示す矢羽のデータに着目しようにも、そのデータが乏しく判断がつきません。よって一般分野の知識から等圧線と風の関係を考察して解答を導きます。風は等圧線を横切る形で高圧側から低圧側へ吹くことになります。地上風の気圧の谷を挟んだ風向の違いの特徴として気圧の谷の南西側では風は西よりの風となり、北東側では北よりの風であると推察されます。風の強さは等圧線の込み具合から南西側のほうが相対的に強くなると判断できます。
記述式解答のポイント:分布型
どこで・いつ: 北東側/南西側
なぜ:北よりの風/西よりの風
何が起きている: 収束している
③実際重ねて比較してみると12時間前に比べ24時間後は北に位置している。
④今回は、本文を読みながら図の情報と対応づけて空欄に入る語句を判断します。まず、相当温位に着目すると、地上の気圧の谷付近では680hPa付近より下層で相当温位が高度とともに低下しており、これは下層が暖かく湿り、上層が冷たく乾いた構造であることを示すため、「低」「対流不安定」と判断できます。さらに、この成層状態が変化する高度は湿数3℃以下の湿潤層の上端とほぼ一致しており、地上の気圧の谷付近で気団変質を受けた空気が収束して形成された雲の発生しやすい層を示すものと考えられます。次に、対流不安定となっている気層の上端は、相当温位が低下から上昇に転じる高度を読み取ることで求められ、北東側では約750hPa、南西側では約800hPaとなり、地上の気圧の谷の直上ではこの上端高度が周囲より高くなっていることがわかります。最後に、気圧の谷付近では鉛直流が上昇流となり、その最大値は−120hPa/h程度と強く、湿数3℃以下の湿潤層も950hPa付近まで達していることから、地上の気圧の谷付近では対流性の雲が発達する可能性が高いと判断できます。
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