【第62回 気象予報士試験 専門知識】問13 大雨警報・洪水警報に用いる指数をわかりやすく解説

こんにちは!今回は第62回気象予報士試験 専門知識 問13を解説します!

この問題は、大雨警報や洪水警報の発表基準に用いられる表面雨量指数土壌雨量指数流域雨量指数についての問題です。

それぞれの指数が「何の危険度を表すのか」「値を地点間で単純比較してよいのか」を整理することがポイントです。

この問題で重要なポイント

  • 表面雨量指数は、短時間強雨による浸水害リスクを表す
  • 地形勾配が大きい場所では、水が流れ出しやすく、表面雨量指数は小さくなりやすい
  • 土壌雨量指数は、同一地点では値が大きいほど土砂災害の危険性が高い
  • 土壌雨量指数の値は、異なる地点同士で単純比較できない
  • 流域雨量指数は、河川上流の雨量と流下過程を考慮する

■ 問題文

大雨警報や洪水警報の発表基準に用いられている各種指数について述べた次の文(a)〜(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

(a)地形勾配のみが異なり、他の条件(土地利用状況や地質など)が同じ2地点において、同じ時間に、同じ量の雨が降った場合、地形勾配の大きい地点の方が表面雨量指数の値は大きくなる。

(b)同一地点においては、土壌雨量指数の値が大きいほど土砂災害の危険性が高いが、異なる2地点においては、値の大きい地点の方が土砂災害の危険性が高いとは限らない。

(c)河川の上流域で雨が降ると、下流域の流域雨量指数の値は時間が経過してから大きくなるが、値が大きくなるタイミングは上流域の雨量が多い場合も少ない場合もほぼ同じである。

(a) (b) (c)

■ 解答

(a)誤
(b)正
(c)誤

■ 解き方の方針

この問題では、3つの指数を次のように区別しましょう。

表面雨量指数

浸水害の危険度

土壌雨量指数

土砂災害の危険度

流域雨量指数

洪水害の危険度

特に、土壌雨量指数は「同じ地点内での大小比較」はできますが、「異なる地点同士の単純比較」は注意が必要です。

■ (a)地形勾配が大きいと表面雨量指数は小さくなりやすい

(a)は誤りです。

表面雨量指数は、短時間強雨による浸水害の危険度を表す指数です。

地形勾配が大きい場所では、降った雨水がその場にたまりにくく、下流側へ流れ出しやすくなります。

一方、地形勾配が小さい平坦な場所では、水が流れにくく、地表面にたまりやすくなります。

ここがひっかけ!

地形勾配が大きい

水が流れ出しやすい

浸水しにくい

表面雨量指数は小さくなりやすい

問題文では「地形勾配の大きい地点の方が表面雨量指数が大きくなる」としているため誤りです。

したがって、(a)はです。

■ (b)土壌雨量指数は地点間で単純比較できない

(b)は正しいです。

土壌雨量指数は、降った雨が土壌中にどれだけたまっているかを表し、土砂災害の危険度を判断するために使われます。

同じ地点であれば、土壌雨量指数の値が大きいほど、土壌中の水分量が多く、土砂災害の危険性が高いと判断できます。

しかし、異なる地点同士では注意が必要です。

土砂災害の起こりやすさは、地質、地形、植生、過去の災害履歴などによって異なります。

そのため、単に土壌雨量指数の数値だけを見て、値が大きい地点の方が必ず危険とはいえません。

土壌雨量指数の比較

同一地点で比較

値が大きいほど危険度が高い

異なる地点で比較

地質・地形などが違う

単純比較はできない

したがって、(b)はです。

■ (c)上流の雨量が多いほど下流で早く指数が大きくなる

(c)は誤りです。

流域雨量指数は、河川の上流域に降った雨が下流へ流れ下る影響を考慮して、洪水害の危険度を表す指数です。

上流域で雨が降ると、その雨水は時間をかけて下流へ流れます。

そのため、下流域の流域雨量指数は、雨が降った直後ではなく、時間が経過してから大きくなります。

ここまでは問題文のとおりです。

しかし、上流域の雨量が多い場合と少ない場合で、下流域の指数が大きくなるタイミングがほぼ同じとはいえません。

一般に、上流域の雨量が多いほど流出が大きくなり、下流域の流域雨量指数が大きくなるタイミングも早くなりやすいです。

流域雨量指数のイメージ

上流で雨が降る

雨水が河川を流れ下る

時間差で下流の危険度が上がる

上流の雨量が多い

下流で指数が大きくなるタイミングも早くなりやすい

問題文では「雨量が多い場合も少ない場合もタイミングはほぼ同じ」としているため誤りです。

したがって、(c)はです。

■ 選択肢確認表

選択肢 正誤 理由
(a) 地形勾配が大きいほど水が流れ出しやすく、表面雨量指数は小さくなりやすい
(b) 土壌雨量指数は同一地点では比較できるが、異なる地点同士では単純比較できない
(c) 上流域の雨量が多いほど、下流域の流域雨量指数が大きくなるタイミングは早くなりやすい

以上より、正しい組み合わせはです。

■ 受験生がつまずくポイント

1. 地形勾配が大きいほど危険と考えてしまう

土砂災害では急斜面が危険なイメージがありますが、表面雨量指数は浸水害の危険度を表します。

浸水害では、水がたまりやすい平坦地の方が危険になりやすいです。

2. 指数の対象災害を混同する

表面雨量指数は浸水害、土壌雨量指数は土砂災害、流域雨量指数は洪水害です。

この対応を間違えると、選択肢の判断が難しくなります。

3. 土壌雨量指数を地点間で単純比較してしまう

同一地点なら、値が大きいほど危険度が高いと判断できます。

しかし、異なる地点では地質や地形などが違うため、値だけで単純比較できません。

4. 流域雨量指数の「時間差」を見落とす

上流で降った雨の影響は、すぐに下流へ現れるとは限りません。

下流域では時間差をもって流域雨量指数が大きくなります。

■ まとめ

  • (a)地形勾配が大きいと水が流れ出しやすく、表面雨量指数は小さくなりやすいため誤り
  • (b)土壌雨量指数は、同一地点では値が大きいほど危険度が高いが、異なる地点では単純比較できないため正しい
  • (c)上流域の雨量が多いほど、下流域の流域雨量指数が大きくなるタイミングは早くなりやすいため誤り

正解は④

(a)誤・(b)正・(c)誤

この問題で必ず押さえたいこと

表面雨量指数
= 浸水害

土壌雨量指数
= 土砂災害

流域雨量指数
= 洪水害

異なる地点の土壌雨量指数
= 単純比較できない

各指数は、どの災害の危険度を表しているのかをセットで覚えることが大切です。

※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。

以上、第62回 専門知識 問13の解説でした!

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