こんにちは!今回は気象予報士試験 第63回 実技2 問3を解説します!
(1)解説
◇模範解答
① 各時刻の最低気圧(伊良湖付近の値): 17時 996.7 hPa, 18時 997.2 hPa, 19時 1001.7 hPa, 20時 1002.6 hPa
② 伊良湖は台風進行方向に向かって経路の右側に位置する。理由:伊良湖の風向が時計回り(南→西→北西)に変化したため。
③ 台風の中心位置は直線A上に推定される。
◇解説
詳細な解説:
①各時刻(17時、18時、19時、20時)における地上気圧の最低値を答える問題です。図9には各観測地点の海面更正気圧の下3桁が表示されています(例えば“997”は999.7 hPa等を意味)。17時から20時にかけて、東海地方付近で最も低い気圧を示した地点をそれぞれ読み取ると、17時:約996.7 hPa、18時:約997.2 hPa、19時:約1001.7 hPa、20時:約1002.6 hPaとなります。これらはおそらく愛知県伊良湖周辺(渥美半島付近)での値ですが、ポイントは18時より19時の方が数値が大きく、気圧が上昇している点です。通常、台風が接近すれば気圧は低下するはずですが、19時にかけて逆に上がっていることに注目してください。これについては後述する(3)で理由を考えます。
②伊良湖が台風の進行方向に対して「右側」か「左側」かを問うものです。台風の右側・左側とは、台風の進行する向きに直面したときにその右手側か左手側かを指します。一般に、台風の進行方向右側では通過時に風向が時計回りに変化し、左側では反時計回りに変化します。図9にプロットされた伊良湖(愛知県・伊良湖岬)の風向変化を見ると、17時に南風だったものが、18時には西風、19~20時には北西風へと時計回り(南→西→北西)に変化しています。これは伊良湖が台風の右側に位置する証拠です。従って解答は「右側」、理由は「伊良湖の風向が時計回りに変化したため」となります。このように風のシフトで台風の進行方向に対する相対的位置を判断でき、特に海上の観測では有用な知識です。
③台風中心の位置が図9中の「直線A」上にあることを説明するものです。図9では伊良湖付近に南北に引かれた直線Aが描かれています。浜松と四日市の気圧がともに1001.1 hPaであったことや、直線Aに沿って風向が左右対称になっていることなどから、台風の中心はこの直線A上に存在すると推定できます。言い換えれば、直線Aが台風の進行経路(中心の通過線)に一致しているということです。よって解答は「台風の中心位置は直線A上に推定される。」です。この分析により、20時時点での台風中心は伊良湖のやや南側、遠州灘上に位置していたと考えられます。
(2)解説
◇模範解答
17時: 北緯34.9度、東経136.8度
18時: 北緯34.8度、東経137.1度
19時: 北緯34.7度、東経137.3度
◇解説
17時・18時・19時における台風中心の緯度経度を答えます。これは図9の各時刻の風向分布から台風中心(風の収束点)を推定し、それを経度緯度目盛りで読み取る作業になります。図9では、各時刻とも台風中心付近には「風のシア」すなわち風向の合流線が描かれており、その交点が中心とみなせます。解答例では、17時:北緯34.9度・東経136.8度、18時:北緯34.8度・東経137.1度、19時:北緯34.7度・東経137.3度と推定しています。実際には多少の読取誤差があるでしょうが、台風が時間とともにやや南東方向(陸地側)へ移動したことが示唆されます。これは台風が東海地方付近で急速に衰弱しつつあったため、地表では中心の循環が不明瞭になり、解析上“循環中心”が南東側に押し出されて表現された可能性があります。この辺りは高度な内容ですが、指定通りの数値を答えられれば十分です。
(3)解説
◇模範解答
台風中心は伊良湖に近づいたが、台風が衰弱し中心気圧の上昇が大きかったため。
◇解説
上述の気圧変化について「台風中心が伊良湖により近づいたにもかかわらず気圧が上昇した理由」を問うものです。20日18時から19時にかけて伊良湖付近の気圧が上昇した背景として考えられるのは、台風自体の急速な弱体化です。台風が接近すれば局地的には気圧は下がるはずですが、同時に台風の中心気圧が上昇(弱体化)すれば、その効果が勝って観測点の気圧は上がり得ます。実際、台風は上陸後急速に勢力を失って中心気圧が上昇していました。その上昇幅が、距離接近による気圧低下幅より大きかったために、結果として伊良湖の気圧は上がったのです。従って解答は「台風中心は伊良湖に近づいたが、台風が衰弱し中心気圧の上昇が大きかったため」です。言い換えれば、接近による局地効果より台風の衰退による大局効果のほうが顕著だったということになります。これは温帯低気圧化の典型的な現象で、台風進路左側ではこのように気圧上昇を観測する場合があります。
(4)解説
◇模範解答
関東地方北部(および長野県中部)に寒気が流入する。
◇解説
図9と図8下段(20日21時の850 hPa気温・700 hPa鉛直流予想図)を用いて、17~20時の間に関東地方北部で生じていた気温場の変化を説明する問題です。図9の17~20時にかけて、長野県より東側、関東北部で等圧線の間隔が広がり気圧が上昇していることに着目します。通常、地上の気圧が上がるときはその地域に寒気が流入している可能性があります。実際、図8(20日21時予想)を見ると関東付近に850 hPaの気温の谷が形成されており、関東北部~長野中部にかけて寒気が流入している様子が描かれています。つまり、台風通過後の背後から冷たい乾燥した空気が関東地方に流れ込んできたのです。以上より、答えは「関東地方北部(および長野県中部)に寒気が流入する」となります。この寒気の南下により、関東地方では台風一過後に気圧が上昇し、気温が低下したと考えられます(北寄りの風に変わり涼しい空気が入った状況)。これは秋雨前線を北に押し上げていた暖気が一気に引き下がることで起こる現象です。台風が温帯低気圧に変わる過程で、背後に冷たい高気圧が張り出してくる典型例と言えるでしょう。
(5)解説
◇模範解答
中心付近の強雨域は急速に弱まるが、中心から離れた御前崎南東の帯状強雨域は北東に進んで強まっていく。
◇解説
図10(解析雨量図)に示された強雨域(1時間降水量20 mm以上の領域)の分布と強度の時間変化を、台風中心の動きに言及して50字程度で述べる問題でした。図10によれば、17時から20時にかけて静岡県沖や伊豆半島付近に強い降雨帯が見られます。17時時点では、静岡県御前崎の南に南東方向へ伸びる帯状の強雨域が確認できます。時間の経過とともに、台風中心付近(東海沖)の強雨域は急速に縮小・弱化していきます。一方で、御前崎南東沖の帯状降雨は北東方向へ移動しながら勢力を増し、色が赤くなる(雨量が増す)傾向が見られます。このことから、「中心付近の強雨域は急速に弱まるが、中心から離れた御前崎南東の帯状強雨域は北東に進み強まっていく」と表現できます。解答例にもほぼ同じ記述が示されています。つまり、台風本体の降雨は衰える一方で、台風から離れた東側で前線や湿舌(暖湿流)に伴う降雨帯が発達したことを示唆しています。これは台風が温帯低気圧に変わる際によく見られる現象で、中心の対流活動は弱まり、代わりに温帯低気圧の雨域が発達していくプロセスと言えるでしょう。
以上です!独自解説とAIを組み合わせ解答・解説を作成しています。訂正・ご意見あればコメントやご連絡いただけると幸いです。皆で最高の独学環境を作り上げていきましょう!
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