こんにちは！今回は気象予報士試験 第62回 実技1 問1を解説します！
(1)解説
◇模範解答
① 東北東（または東）、② しゅう雨（弱）、③ 海上強風、④ 34、⑤ 48、⑥ 24、⑦ フック、⑧ にんじん、⑨ 安定、⑩ 6、⑪ 9
◇解説
第1問では、与えられた文章中の空欄に適切な語句や数値を補充します。図1によれば、九州の西海上に前線を伴う1014 hPaの低気圧が存在し、白抜き矢印で示された進行方向は東北東寄りです。したがって空欄①には「東北東」（東北東と東のどちらでも正解）と入り、鹿児島の現在天気は天気図記号から「しゅう雨、弱」と読み取れるため空欄②に「しゅう雨（弱）」が入ります。次に、この低気圧に対して発表されている海上警報を示す「GW」は海上強風警報（Gale Warning）であり、これは「最大風速が34ノット以上48ノット未満、または今後24時間以内にその状態になると予想されるとき」に発表されるものです。従って空欄③〜⑥には、この基準を表す数値「34」「48」「24」がそれぞれ入ります。
続いて、第2段落では衛星雲画像の特徴に関する設問です。九州西方の低気圧に伴う雲域の北縁と南西縁の形状から“フック”と呼ばれる雲パターンが現れており、地上低気圧の中心付近に対応しています。よって空欄⑦は「フック」です。また、領域Aには活発な対流雲を示す“にんじん状の雲”（テーパリングクラウド）が見られるため、空欄⑧は「にんじん」が正答です。領域Bには山脈の風下側に発生する停滞性の地形性巻雲が描かれており、この雲ができる条件は「山頂付近から対流圏上部までほぼ安定な成層状態で風向が一定」であることです。そのため空欄⑨には「安定」（＝安定成層）が入ります。
第3段落では、500hPaのトラフと850hPaの前線位置の対応について問われました。図3(下)の850hPa気温場では等温線が3℃間隔で引かれており、地上天気図の前線と重ね合わせると、温暖前線はおおむね6℃〜9℃の等温線付近、寒冷前線は9℃〜12℃の等温線付近に対応していることが読み取れます。よって空欄⑩には「6」、⑪には「9」が入ります（気象業務支援センターの解答例では⑩＝9、⑪＝6も正解とされています
(2)解説
◇模範解答
地上低気圧中心と500hPaトラフとの位置関係: 距離：約400 km、方向：西北西
◇解説
地上低気圧と上空500hPaトラフとの位置関係については、図1（地上天気図）と図3(上)（500hPa高度場）を重ね合わせて測定します。試験当時、500hPaのトラフは地上低気圧の西に位置しており、その最近距離は約400 kmと算出され、方位は西北西となりました。距離は緯度線の長さ（北緯30〜40°で子午線1度≈1100km）から比例計算で求め、コンパスを用いて精度良く測定します。方位は地図上でおおよそ45°傾いていたため北西と見間違えやすいですが、緯線が左上がりである点に注意し西北西と判断します。
(3)解説
◇模範解答
温度移流: 低気圧の中心の東側では暖気移流、西側では寒気移流で、東側の方が強い。
鉛直流: 低気圧の中心の東側は最大 -56 hPa/h の上昇流、西側は最大 +17 hPa/h の下降流となっている
◇解説
温度移流と鉛直流の分布に関する設問では、850hPa面の風と気温分布、および700hPa面の鉛直流の極値に注目します。地上低気圧を基準に見ると、低気圧東側では南〜南西風が暖気側から吹き込んで等温線が南側凸となっており暖気移流、低気圧西側では北寄りの風で等温線が北側凸となっており寒気移流となっています。また矢羽根の長さや等温線間隔から判断して東側の暖気移流の方が強い状態です。したがって、模範解答としては「低気圧の東側は暖気移流、西側は寒気移流で、東側の方が強い。」という記述になります。
次に700hPa面の鉛直流ですが、図3(下)を見ると、低気圧東側には-56 hPa/hの極大を含む上昇流域、西側には+17 hPa/hの極大を含む下降流域が存在します。低気圧の東側では暖気移流域で上昇流が発達し、西側では寒気移流域で下降流となっている典型的な分布です。解答時には符号付きで極値を記述する指示があるため、「東側は最大-56 hPa/hの上昇流、西側は最大+17 hPa/hの下降流」と記載します。このような鉛直流分布は低気圧による大気の鉛直構造を反映しており、暖気移流が強い東側で顕著な上昇が発生していることがわかります。
(4)解説
◇模範解鵜
① 790 hPa、根拠：「安定層の上端」であること。
② ㋐湿潤 ㋑相当温位 ㋒絶対安定
◇解説
①鹿児島上空における大気の鉛直安定度に関する問題です。図4（鹿児島のエマグラム）から、地上の温暖前線に対応する「安定層」がどの高度にあるかを読み取ります。安定層とは気温減率が小さい層のことで、時に逆転層を含みます。鹿児島のエマグラムでは約880hPa〜790hPa付近にかけて気温減率の小さい層（安定層）が確認できます。したがって、地表面の前線から延長した安定層の上端が前線面に相当すると考えられ、その気圧は790 hPaとなります。問題文で「10 hPa刻みで」答える指示があるため、790 hPaと整数値で解答します。また根拠としては「安定層の上端である」ことを簡潔に述べます。なお、この安定層には明瞭な逆転が無いため「逆転層の上端」とは言えず、「安定層の上端」と表現するのが適切です
②続いて同じ鹿児島のエマグラムに関連し、一般知識が問われました。図4には湿数（露点差）の鉛直プロファイルや相当温位の線などが描かれています。㋐は該当は湿潤断熱線となる。㋑は断熱変化で保存されるのは相当温位となります。㋒は鹿児島では安定層が見られたことから、気温減率は湿潤断熱減率より小さく、大気は“絶対安定”の状態にあります
以上です！独自解説とAIを組み合わせ解答・解説を作成しています。訂正・ご意見あればコメントやご連絡いただけると幸いです。皆で最高の独学環境を作り上げていきましょう！
タグ: 第62回 実技1